ContentsTOP土屋鞄をつくる、たくさんの「ひと」店舗開発部・丸山哲生

建築事務所に7年間勤めた経験を活かし、店舗開発を担当している丸山。
気さくな人柄でテキパキと仕事をこなしながら、
より良い空間のあり方を、日々模索している。
「土屋鞄らしい店舗をめざして」と言う彼には、譲れない、数々のこだわりがあった。
店舗や工房の開発にあたり、全体の指揮を執る、プロジェクトマネージメントという仕事をしています。プロジェクトがプラン通り進むよう、不動産会社、スタッフ、設計事務所などと連絡をとり、調整をしていきます。また店舗のデザインにも関わっていて、土屋鞄のこだわりや想いを設計事務所とともに考えています。思うように進まない時も多いですね。店舗をつくるには、とてもたくさんの人が関わっているので。とにかく連絡を密に取り、たくさん話して、みんなでひとつの目標に向かっていけるよう、努力しています。大変な分、プラン通り進むと、嬉しいですね。
店舗を訪れたお客様に、土屋鞄の魅力がしっかり伝わるよう「土屋鞄らしい店舗」「お客様が商品とともにゆっくりしてもらえる空間」とはどんなものか、日々、考えています。例えば内装で使用する材料を選ぶ際にも、この二つの要素をしっかりと考えた上で選定しています。

まず「土屋鞄らしさ」の点。土屋鞄がお客様に伝えたい楽しみのひとつに「革の経年変化」があります。そのため素材には木やレンガや漆喰といった、革と同様に経年変化が楽しめるものを選ぶようにしています。月日ととも味わいを深める革製品の魅力を、店舗を通して伝えたいです。 使用する素材が決まったら、今度は商品がしっかり映えるように、色味、塗装、質感を選んでいきます。お客様にしっかり商品を見てもらい、理解した上で選んでもらいたいですね。革の質感や、黒や紺といった、微妙な色の違いが綺麗に見えるよう、商品を実際に置いたりし、じっくり考えるようにしています。
店舗をつくる上でのもうひとつのこだわりとして、内装を街の特色に合わせて変化させています。街の風景に土屋鞄の店舗が自然と融けこみ、上質なんだけど緊張することのない、程よい距離感を演出したいんです。

店舗の内装のコンセプトは、土地の歴史を調べたりして考えています。例えば白金店では、町工場がたくさん建っていたという歴史がありました。そこであえてボルトを剥き出しにしたりして、工場が持つ無骨な雰囲気を演出しています。

決まったものを使い回すのではなく、それぞれの街ごとに内装を一から考え、形にする作業は正直大変です。けれど丁寧な手仕事をコンセプトに据えている土屋鞄の店舗ですので、細かなところまで手を掛けた方が、その想いがしっかりと伝わると思っています。これからもじっくり、ひとつひとつの店舗と向き合っていきたいですね。