革を水に濡らして、味は出るのか?

4つのコース
レザーエイジングダービーとは?

革好き永遠の課題「革の味の出し方」を実験で検証する「レザーエイジング・ダービー」。今回は、ヌメ革に水を染み込ませる「水拭きコース」を実験します。常識では、革は水に弱いはず。ですが一部の革好きの間では、「ヌメ革を水拭きすると味が出る」という説が囁かれています。その真偽を確かめるのが今回の目的ですが、はたして、味は出たのでしょうか?

キーケース

実験サンプルに使うのは……
「Naturaヌメ革 キーケース」

最も素朴なエイジングが楽しめるヌメ革で仕立てたシンプルなキーケース。革初心者にもお薦めです。

水で革を拭く

馬
濡れたヌメ革は、本当に味が出るのか?

「水拭きコース」の第1回目の実験は、冷たい水で革を丹念に濡らしてゆくという実験。但し、革は濡れると色落ちや水シミ・水膨れ、そして乾いた後にゴワゴワになって型崩れを起こしたりするので、その点に気を遣いながら慎重に実験を進めました。

実験に使用した水は、浄水器を通した冷たい水道水。これをスポンジに染み込ませて革の表面を繰り返し拭き、徐々に水を染み込ませてゆきます。全体に水が満遍なく浸みこんだら、日陰干しで乾燥。冬のため、丸一日置いてじっくり時間をかけます。さらにこれを1セットとして、2回繰り返しました。



効果は……若干エイジングが認められました。色がやや濃い目に変わり、表面にはうっすら艶が出てきています。どうやら、ヌメ革は水に濡れると少し色が濃くなるようです。それが部分的だと「シミ」ということに。よって、全体を満遍なく濡らすのが大事なわけです。

但しこの方法は、やはりリスクがあることも分かりました。1つは、革質や革の状態によって、予想外のシミや斑ができてしまうこと。もう1つは、コバ塗りが水分で剥がれやすくなることです。また乾燥する時に油分が一緒に抜けるため表面が若干カサつき、オイル補充が必要になるという問題も。今後はこれらのリスクを踏まえつつ、どのようにしたらより良い味が出るのかを検証してゆきたいと思います。

ボトムスの尻ポケットに入れている革財布の艶が早く出るのは、出し入れのたびに摩擦で磨かれるから……そんな「通説」は、果たして正しいのでしょうか? 次回の実験報告を、どうぞ楽しみにお待ちください!