革の魅力といえば、使い込んでゆくにつれて色味や艶が増し、味わい深い風合いになってゆく「エイジング(経年変化)」。上手に育てられていい色艶になった革製品は、愛着もひとしおです。でも、どうやったら「いい味」になるかといえば、よく分からないことが多いのが革の奥深さ。
そこで、「味が出る」とされる方法を実験して、効果を較べよう!という連載企画が、この「レザーエイジング・ダービー」です。用意した味出し方法は4コース。それらの中から毎回1コースをピックアップして、その効果を検証してゆきます。それではまず、4つの味出しコースをご紹介しましょう!
今回、実験サンプルに使うのが、こちらのキーケース。ナチュラルな風合いのヌメ革は、エイジングを楽しむのにぴったりです。色の薄いオークなら、さらに変化が分かりやすいですね。
「オイルコース」の第1回目は、土屋鞄のレザーケア講座などでたびたび登場している「コロニル・シュプリームクリームデラックス」。潤いと栄養を速やかに供給し、革を活き活きした状態にキープする定期的ケア向きのオイルは、エイジングでも絶大な効果を発揮するのでしょうか? 今回の実験では味出し効果を高めるため、通常は月に1回の使用で良いところを、1週間置いて2回くり返すという方法を試してみました。
塗ったら一気に飴色……とは流石にならず、色に関しては若干が濃くなる程度であることを確認。「コロニル・シュプリームクリームデラックス」は植物性のオイルが主成分であるため、色を深める作用はそれほど強くないことが推測されます。
その一方、軽く拭いただけで光沢感がはっきりと加わり、全体的に革の風合いが増したように感じられました。これはこのオイルがロウを含んでいるためで、しっかり磨くとかなりいい感じの艶が出ます。総合的に、このオイルはゆっくりキレイに味を重ねてゆくイメージでしょう。