短い言葉で季節の刹那的な美しさを表現している、季語。四季とともに生きる、日本人ならではの文化です。気付けばいつの間にか季節は巡り、過ぎ去っていってしまうもの。そんな「今」しかない季節の美しさに目を留めてみたら、いつもの日常の中に素敵な発見があるかもしれません。こちらのコンテンツでは季語と、その季語を用いた簡単な一文をご紹介。皆さまも手紙や日記帳に、季節の美しさを書き留めてみませんか。
【山笑うとは】春の山の草木が芽吹き、明るく華やかになった様子のこと。
【山笑うで一文】山笑う姿に、思わずシャッターを切りました。(日記)/ 故郷の山笑う頃に、またお会いしましょう。(手紙)
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【春光とは】春の光のことではなく、春の風光、つまり春の景色のこと。
【春光で一文】春光の美しさが、眩しい季節ですね。(手紙) -
【踏青とは】青々としてきた野山の草を、踏んで遊ぶこと。
【踏青で一文】いつもの散歩道、愛犬と踏青をして歩いた。(日記) -
【朝寝とは】春の朝の心地よさから抜けられず、いつまでも眠ってしまうこと。
【朝寝で一文】休日の朝寝の魅力にどっぷりはまり、妻に怒られた。(反省) -
【北窓開くとは】冬の間寒さのために閉じていた、北側の窓を開くこと。
【北窓開くで一文】 北窓開いたら、部屋の中にも春がきた。 (日記)
季節のミニコラム「風の色」
風は、目に見えない。たとえば遠くの枝が揺れ、髪がふわりと顔にかかり、そして雲が流れるのなんかを見たりして、私たちは風の存在を知覚する。風はもちろん無色だけれど、何もかも色付く春は、風にも色が付いたように感じられる時がある。春特有の霞がかかったような、ぼんやりとした空気。その中にふわふわと滲む、桜の色、行き交う人々の、淡く優しい服の色。花も人も、みんな春の色を纏いだす。その色が春のあたたかな風を受け、じわりとけだしたかのように、風に色をのせるのだ。今日の風は、何色だろう。風の色が見えたら、今年も春爛漫の証です。