短い言葉で季節の刹那的な美しさを表現している、季語。四季とともに生きる、日本人ならではの文化です。気付けばいつの間にか季節は巡り、過ぎ去っていってしまうもの。そんな「今」しかない季節の美しさに目を留めてみたら、いつもの日常の中に素敵な発見があるかもしれません。こちらのコンテンツでは季語と、その季語を用いた簡単な一文をご紹介。皆さまも手紙や日記帳に、季節の美しさを書き留めてみませんか。
【冬三日月とは】冬の三日月のこと。凍てついた空で刃物のように鋭く、そして静かに輝く、美しく幻想的な月。
【冬三日月で一文】空にかかる冬三日月を眺めながら、家まで歩いた。(日記)/冬三日月を見ると、あなたの美しい横顔を思い出します。(口説き文句)
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【風花とは】風にのってやってきた雪のこと。空は晴れているにも関わらず、雪片がひらりひらりと舞い降ります。
【風花で一文】風花だと誰かに伝えたかったのだけれど、すぐに溶けてなくなってしまった。(ふとした思い) -
【春待つとは】厳しい冬の中にも少しずつ春の気配。晩冬に春の訪れを想う気持ちのこと。
【春待つで一文】私は最近朝起きるのが億劫で、春待つ日々です。(手紙) -
【探梅とは】晩冬に早咲きの梅を探して歩くこと。
【探梅で一文】探梅のために、いつもの散歩道を外れてみよう。(小さな決意) -
【雪晴とは】雪が降ったあと、空が清らかに晴れあがること。
【雪晴で一文】雪晴の下、子供たちの楽しげな声が響き渡っていた。(日記)
季節のミニコラム「晩冬の朝早く」
寒くてつい朝起きるのが億劫になるけれど、冬の朝の素晴らしさを知っていたら、起きるのも楽しみになるかもしれない。そんな冬の朝の良さのひとつが「霜」。ためしに公園や川原といった緑の多いところに行ってみれば、一面半透明の、儚くも美しい白さに覆われている。触れたら壊れてしまう繊細さだとか、手に入れられないからこそ感じられる美しさだとか、それゆえのもどかしさだとかが、なんだかシンと胸を打つのである。冬の朝、昼を迎える前に消えてなくなる、束の間の存在。霜の姿は一瞬で、だからこそ、魅力的なのです。