角張ったパイピングが強調する、四角いシャープな輪郭。その線の太さが水牛革の変化に富む表情としなやかさを引き立たせ、全体の印象を和らげているのが面白い。ハードな形に、柔らかでエレガントな表情。この硬軟のコントラストが革の経年変化をより際立たせ、手にするたびに違う表情で持ち主を愉しませてくれる。

滑らかな曲面が優雅な、イタリアンレザー製のハンドル。前後で長さに差をつけた斬新な設計は、握るときにすっきりと重なり、手の中にしっくり収まる計算だ。また根元の裏にまで革を縫い付け、倒した時にも品格を保てるようになっている。

充実した収納力を、台形のマチがスタイリッシュに見せる。パイピングのフレーム効果と連携し、荷物の量を外から想像させないのが男の美学だ。また、サイドにあるファスナー止めのホックには肉盛りが施され、贅沢感をさり気なく加えているのが心憎い。