受け継ぐ気持ちとそのカタチ
受け継ぐ気持ちとそのカタチ


母ひとり、娘ふたり。仲良く三人で使うもの。

土屋鞄のスタッフである金子は、ご両親と姉妹で四人家族。お母さまの郁子(いくこ)さんと娘二人の間では、その日のコーディネートに合わせてコートやストール、鞄など、貸し借りをすることも多いそう。

郁子さんが娘二人にと成人のお祝いにと贈ったパールのネックレスは、母娘三人でお揃い。自分用を購入した時、機会がきたら娘たちにもあげようと考えていたという。ひとつ持っておけば一生使えるパール。郁子さんももう十五年以上も使っているそうだ。

「しっかりとしたものを長年使うのが良いなと思って」と、郁子さんは言う。金子はネックレスの他にイヤリングも持っていて、郁子さんが使っていたのを譲り受けたそうだ。結婚式などきちんとした服装でのぞみたい時、ネックレスとイヤリング、必ずふたつとも身に着け大切にしている。

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シンプルだから世代を超えて。母娘で使う、大切な日の鞄。

フォーマル用の鞄も、たまに二人で交換して使っている。それぞれ「クラシックハンド」「グラスフォーマル」という鞄で、二つとも年齢を問わないシンプルなデザイン。そのため母娘で使えて良いなと思い、話し合いの末購入したそうだ。金子は学生の頃から身に着けるもののアドバイスを、郁子さんからもらっていたという。例えば小物との合わせ方や、永く使えるデザインや生地はどういったものなのかということ。「母のアドバイスは今思い出してみても、正しいものばかりだったなと思っています」。まるで友達のように貸し借りをして使う楽しみは、母娘で趣味が合い、仲が良いからこそ。二人が纏う空気は、どこか似ている気がした。

お気に入りのポイントは?

金子が使っているのは「クラシックハンド」。お気に入りのポイントは、コロンとしていて愛らしいフォルム。「フォーマルの鞄は飽きがこないシンプルなものの方が良いなと思い、こちらを購入しました。本革だからきちんとした印象がありますね。けれども丸く優しい形をしているのでかっちりし過ぎず、合わせやすいです」。

郁子さんが使っているのは「グラスフォーマル」。気に入っているのはクルミボタンがアクセントになっている、他にないデザイン。表面からは一切金具が見えていないところが好きだという。きめの細かな革のふっくらとした質感から、温もりや柔らかな雰囲気を感じるそうだ。またフォーマルバッグではめずらしい、大きめのマチも使い勝手が良くてお気に入り。金子も荷物が多くなりそうな時は、こちらのバッグを借りるのだとか。

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左:郁子さんは全身ブラックでシックなコーディネート。すっきりとシンプルな中に、バッグの大き目のボタンがアクセントになっている。
右:金子がパーティなどでよく着るというお気に入りのドレスは、ふわり柔らかな形。光沢のあるバッグは、上品な大人の女性を演出してくれる。

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革の種類もフォルムも違う、母娘それぞれのフォーマルバッグ。けれども「永く使えるものが良い」と、選んだ時の想いは一緒。郁子さんは「いずれは娘たちに譲ることになるかな」と、物を受け継ぐ視点でも選んだという。「多くは持たず、ひとつを大切にしたい」。そう言ってふわり笑顔を交わす母娘に、温もりあふれる革の鞄はよく似合っていた。

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