職人の手仕事によって、革製品をつくる土屋鞄。分野は同じでなくとも、ものをつくることや製品に対する想いに対して共感することに、日々たくさん出会います。ものづくりにまつわる日本各地の出来事や、古くから伝わる日本の美意識、お話をうかがってみたいと心惹かれる方についてなど。今日のコラムでは、土屋鞄のスタッフが共感し、多くの方と共有したい話題についてお届けします。

今日のコラム/入谷の朝顔まつり

夏の到来を告げる風物詩、入谷朝顔まつり。

WEDNESDAY, 15 July, 2015

夏の朝に早起きをすると、きれいな姿を見せてくれる朝顔。小さい頃を思い出すような、どこか懐かしい風情を感じませんか。
今年で66年目を迎えた、日本最大規模の朝顔市「入谷朝顔まつり」。毎年7月6~8日の3日間、東京・台東区で開催されています。初日の朝6時、会場へ向かいました。

今日のコラム/入谷の朝顔まつり


朝顔が庶民の間に広がったのは、江戸時代。入谷の複数の植木屋が朝顔づくりを始め、評判になったことがこの地が「朝顔の街」と呼ばれるようになったはじまりです。まつりの期間中は、入谷鬼子母神の境内やその周辺に多くの朝顔販売店が軒を連ね、辺りは瑞々しい朝顔一色に。

今日のコラム/入谷の朝顔まつり


毎年初日の朝は、常連さんが多めとのこと。早い方は朝5時から。朝は花がいちばんきれいに咲くころ。早くに出かけると、その様子を見ながら鉢を選ぶ楽しみがあります。
今年はあいにくの雨のせいか、初日のお客様は例年に比べ少なめとのこと(もしかしたら、この日はFIFA女子ワールドカップ決勝戦が朝に中継される影響もあったかもしれません)。それでも朝6時にもかかわらずにぎわいをみせる会場では、ひとりで何鉢も買っていかれる方も。また、遠くに住む家族や友人宛てにその場から配送する方の姿も見受けられました。

今日のコラム/入谷の朝顔まつり


「朝顔まつりの日になると、夏がはじまるなって思うよ」
入谷鬼子母神近くで、30年ほど朝顔を販売する方が話してくださいました。毎年同じ日の同じ場所に、愛情を注いで育てた朝顔を並べる。なじみの常連さんや新しいお客様に朝顔を届けると、夏を実感するのだといいます。
季節を感じる出来事が何かひとつふと訪れると、それだけで日常が豊かになるように思えました。
これからの季節、いたるところで私たちの目を楽しませてくれるであろう、朝顔。今年の夏は、少し早起きをして夏を感じてみてはいかがでしょうか。

今日のコラム/入谷の朝顔まつり


白い花の真ん中が丸く赤に染まった「日の丸」と、昔から人気がある海老茶色の「団十郎」がともに咲く鉢を購入。ちゃんと棒を立てたり手入れをしながら育てると、10月くらいまではもつとのこと。これからしばらくの間、朝に花を愛でることが日課になりそうです。

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入谷朝顔まつり
開催:毎年7月6~8日
会場:入谷鬼子母神(真源寺)周辺
主催:下谷観光連盟、入谷朝顔実行委員会





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取材時期:2015年7月
掲載:2015年7月15日