謹啓
私は過去二十年来当地の皆様の厚い御庇護を受け絶えざる御支援を頂いております事を常々心に銘じ竹こそ私を生かす道、私はこの道を征くの信念で誠心誠意一貫して竹材専業メーカーとして努力を続けて参りました。然しながら時としては竹材のある銘柄に関しては全く不振で売れないこともありましたが
「人の行く裏に道あり花の山」
の例へ積極的な研究と努力次第では却ってその銘柄の原竹不足と云ふ嬉しいしい花の山を見出す事も御座居ます。竹は草でもなく、木でもなく竹そのものです。私は私と共に歩んで来た竹を心から愛しております。「竹はセキモソウ(妬母草)とも云ふそして竹の子は生えると一旬と六日にして母とひとしくなる」と中国では昔から伝えられて居ります(五台山牧野博士文庫本草綱目に記されてゐます)竹と云ふ字は竹の葉の形です若竹の誇り高い生々しさわまことに魅力あるものですが形ばかりではなく竹のもつ優れた生長力弾力に富み、いかなる大雪にも折れないで低姿勢で雪を凌ぐ強い忍耐力、そして眞直ぐに正しく育つ素直な性格や大地にしっかりと四方八方に根を張る地下茎の頑強さそれに生えた年内に自分のからだを肥さず枝も遠くへ伸ばさないで自分でつくる生食分は自分の生きる限度にとゞめてあとはすべて子供の生長にまわしひたすら子孫の繁栄をはかる誠に珍しい健気な働きもの、この竹に対するやむにやまれぬ愛着が、そして私達の生活に溶け込んでゐる竹への親しみと広く一般の人々に一層竹への御理解を深めて頂ければと不本意な設備ではありますが此度竹の展示場を当社隣接地に設置致しました。
またどんなことでも最初にするといふことはむつかしい事ではありますが御利用下さる皆様の立場になってすることには間違いはないと確信致しまして竹の利用とはどんなものか、一見して御理解頂けるべくまたどんな事でも揃い創作し製造する日本の竹材専業メーカーとして開設致した次第で御座います。
創業以来七十数年竹材の製造加工にただただこれだけに黙々と努力を続けて参りました。
ここに平素の御愛顧を心から御礼申し上げますと共に重ねて展示場設置を御案内申上げます。竹材の製造とは製品とは如何なるものか百聞は一見にと申します何卒御暇の節は是非御気軽に御来居下さる様御待ち致しております。
昭和四十五年三月
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| 竹細工の展示場「虎竹苑」が出来た1970年代になると高知市から四万十川へ続く唯一のルートである国道56号線の交通量が増えてきました。お客様も少しづつご来店される事が多くなりそれに伴い商品数も増え、様々な竹細工を生産するようになりました。さらに昭和47年にはお客様に更に沢山の竹製品をご覧にいれたいと日本最大級と言われる大展示即売場を作りました。天井から壁にいたるまで全部銘竹で装飾した竹の館と呼ぶにふさわしいお店でした。竹とは思えないような美術品、茶華道の竹器、趣味と実用をかねた竹籠、創作民芸品、装飾用建材、各種袖垣など子供心にも大迫力の店内でした。 |
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| 虎斑竹の事をどこで聞きつけたのか、イギリスのBBC放送が取材に来たこともありました。虎竹の竹林はもちろんですが、店内をくまなく1日中かけて撮影していきました。 |