弦の種類と性質

 弦は大事と良く言われるけれど、とりあえず買ったバイオリンに もきちん弦は張ってあるし、別段このまま でも問題ないのでは????、とお考えの方、まだ切れてもいないのに交換するともっと良 くなると薦められてなぜまだ使ってもいない新品の弦を換えなければいけないのか地と幾分だまされ た気分になっている方etc、、、、、弦は見た目にはどの弦も一緒に見えます。実際、バイオリン の販売、修理の人間でも弦の正確な品名などは根本の巻糸のカラーで始めて識別が出来る程です。あ る意味ではコンピューターのCPUのようでもあります。CPUに反してモニターなどはお金の金額 に応じてはっきりと見た目にもサイズ大きくなり、増えていく出費にも納得がいきます。 バイオリンの造りやケースなども同じです。しかし、 CPU同様、見えないところに技術と値打ちがつまっているのが弦です。現代のバイオリン 弦はCPUに劣らずバイオリンの音質を左右する決定的な要因の一つであり長くバイオリンとつきあ っていく為にはこの弦の理解は必須の課題と言えるでしょう。

この大事な弦についてのコメントや解説の少ない理由の一つは、各弦メーカーから 絶え間なく開発改良され続ける弦の多さとそのスピードにあります。今日の一押しが明日の一押しで はなくなっていることも少なくないからです。しかし、弦の基本知識と自分のバイオリンに必要なポ イントを把握しておけば、豊富な選択枝の中から自分の用途にあった経済的、音質的に最良の弦 を選ぶ事が出来、楽器の性能を何倍にも飛躍向上させる事も可能なのです。弦替えはある意 味では、バイオリンに新しいドレスに着替させるにもにた、スリリングな楽しみでもあるのです。自 分のバイオリンの変貌に驚きと喜びを感じたり、いささかがっかりしたりと、、、、、、、。

弦は大きく三種類に分けられます。  

        1)スチール弦     2)合成弦     3)ガット弦

    1) スチール弦

        スチール(メタル)弦は製造のコストが安い事から入門用、中級用のバイ オリンに付属してきます。特に、セットものは価格競争の面からも国産、輸入を問わずほとんどがこ のスチール弦です。製造メーカーとしては、弦の部分は消耗品という側面もあり、余裕が出来たら後 で替えて下さいといった感じでシワの寄せやすい箇所です。専門メーカーの本格的弦が付属してくる 事はまずありません。バイオリンの先生の中には、自動的に新品のバイオリン購入時にこの”おまけ ”の弦を別の専門弦メーカーのものと交換するよう義務づけているいる方も結構おられます。素材が 素材なので当然なのですが、金属的な固い響きはこの弦の特性でしょうがないのです。しかし、この 弦にもスチールならではののメリットもあります。それは、

                  * 音が明快で力強い。レスポンスが速い。
                  * 音量が大きい。ピッチが安定している。
                  * 切れにくい。

    以上のメリットのちょうど陰の部分とでもいったデメリットの部分は、

                 * 音が薄っぺらで深みにかける。オーバー トーンが欠落している、

    などです。スチール弦と言っても、専門メーカーのスチール弦には(T.Infe ld社のスピロコアなどように)銀、金、チタン
    等種々の素材が使用されている高級品もあり、これらは、また別の用途でプロの演奏者に 重用されております。ジャズの演奏家や、カントリー、フォークの演奏家などがそうです。最近では 、エレクトリックバイオリンにも広く使用されております。これらの、専門メーカーの弦は巻き方を 螺旋状にして力強い音色用に設計されたものや、各メーカーがそれぞれの特色を持った独自の改良を 施した弦が発売されております。これらは、スチール弦とはいってもセット付属の弦とは品質的にも価 格的にも全く別のレベルのものです。       

    2) 合成弦

        合成弦(synthetic core strings)は芯にペルロンというナイロ ンの一種を用い、種々の金属でまいて作り上げた弦の事で、金属の巻き方、種類等様々な組み合わせ で多様な商品が発売されております。ガット弦の扱いにくさの欠点を補い、音色的にも非常にガット 弦に近い便利で使いやすさが好評です。ウイーンのトマスティック社が本格的なこの合成弦の<ドミ ナント>を発売以来、現在では他の弦メーカーの合成弦も出そろい、バイオリン弦の主流となっておりま す(後程各社の弦の特徴等を詳述の予定)。ナイロン弦、ペルロン芯材弦、シンセ弦、、、、etc.色 々な呼び方がありますが、各弦メーカーのネーミングの違い等によるもので、全て合成弦です。この 弦の特徴として、楽器に張り替えた直後はピッチが案定せず、しっかり伸張し良い音が出るようにな るまで2.3日かかるという難点があります。全体としてはスチール弦とガット弦の折衷案的な弦と いえますが、最近の高度な技術により、疑似ガット弦と言うアプローチではなく、新しい音のジャンル としての新鮮さに満ちた弦も発売されつつあり、使いなれた弦をお持ちの方にも注目に値する昨今 の状況です

    3) ガット弦

        古来からのガット弦製法は、羊の腸の繊維を取り出し、加工、乾燥させて紡 いだ大変手間のかかるものです。音の豊かさと奥深さ等の点で最高とされ、今日まで重用されてきまし た。しかし、発売されているガット弦の多くは、従来の純粋ないわゆるプレーンガット弦は少なく、表 面にゴールド、シルバーなどを巻いたガットを芯として加工したののがほとんどです。ガット弦はそ の音の良さの代償として以下の様な問題点があります。

                 * ピッチが落ち着くまで一週間近くかかる。
                 * 音がずれやすく頻繁に調音が必要。
                 * 湿度に敏感で影響を受けやすい。
                 * スチールや合成弦と比較して寿命が短い。
                 * 価格が高い。

    以上の理由もあって、ガット弦の使用者はプロや上級の演奏家がほとんど というのが実情です。

     世界の弦メーカー

     弦の製造(他の弦楽器も含めて)は今や一大巨大産業となりつつあります。大小 幾つもの弦メーカーがありますが、なかでも3社の製品が市場のシェアの大半を占めております。各 社ともそれぞれ異なった社風があり、そのプロフィールを 知ることで製品の理解も得やすくなるかと思います。

    Thomastic-Infeld < トマステック インフェルド>

        今や世界的バイオリンのスタンダード弦の代名詞的存在となったドミナン ト弦の製造メーカー。発売以来、数十年にわたって信頼使用されたこの弦のお世話になったバイオリニ ストも多く、知名度も抜群の弦メーカー。この会社は、1919年にオーストリアのウイーンに創立されま した。伝統的な職人的技術にハイテクも取り入れ、現在200人以上のスタッフで 3000種類以上の多岐にわたる弦を生産。製品の97%以上を世界100ヶ国以上に輸出してい る国際企業。市販されている下記の有名商品はこの会社代表的製品です。

                  * Dominant (ドミナント) * Infeld Red ( インフェルド 赤)
                  * Infeld Blue (インフェルド 青) * Supirocore (スピロコア)

    Pirastro < ピラストロ>

        ドイツの会社で、150人以上の従業員を抱え、製品の80%以上を輸出している伝統のある弦メーカー。他の同業メーカーの中でも、特にきわだっているのはその製品ラインの充実ぶりです。スチールから、合成、ガット弦までおよそあらゆるタイプの弦がこの会社の製品の中からだけで選択が可能な程です。各演奏者のさまざまな用途とニーズに合わせた弦の品揃えは世界一です。バロック音楽専用弦(コルダ)やガット芯の弦(オリーブ、オイドクサetc)に高い評価を受けております。      
                  * Olive (オリーブ) * Eudoxa (オイドクサ) * Chorda (コルダ) 
                  * Obligato (オブリガート) * Tonica (トニカ) * Chromcor (クロムコア)

                                      そのた多数

    D'Addario < ダダリオ>

        1905年にアメリカに創設されたこの会社は現在世界で最大規模のメーカーです。コンピュ-ター制御による張力制御システム等最もハイテク化された生産ラインからは日産300.000本以上の弦が造りだされております。特に、ギターなど他の楽器の弦の生産は世界のトップシェアをキーープしています。
                  * Plerude (プレリュード) * ProArte (プロアルテ) * Helicore (ヘリコア) 
                  * Zyex (ザイエックス) その他

    その他ノ大小問わず、ユニークなバイオリン弦を生産しているメーカーはまだまだあります。

         Super-Sensitive  <スーパーセンシティブ > アメリカ
         Savarez      <サバレス> フランス
         Larsen       <ラーセン> デンマーク
         Frojel       <フロジェル> スエーデン
         Jargar       <ヤーガー>  デンマー

     

     

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