今回は初めて模造刀をお買い求めされる方に向けて、模造刀に関してわかりやすく解説致します。
模造刀と銃刀法
模造刀、武道などに用いる場合は模擬刀と呼ばれたり、呼称が様々ではありますが以下が模造刀のおおまかな定義となります。
金属で作られ、かつ、 (1)刀、(2)剣、(3)やり、(4)なぎなた、(5)あいくちに著しく類似する形態を有するもの 又は、(6)飛び出しナイフに著しく類似する形態、構造を有するもの 硬質性のもので、現に刃が付けられ、又は少し加工すれば刃を付けられるような場合は、刀剣類や刃物に当たる可能性があります。
模造けん銃は所持禁止、模造刀剣類は携帯禁止です!/長野県警察より抜粋
銃砲刀剣類所持等取締法(以下銃刀法)に模造刀剣類は定義されていて、二十二条には
(刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物の携帯の禁止)
- 第二十二条
- 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが六センチメートルをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計つた刃体の長さが八センチメートル以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
銃砲刀剣類所持等取締法より抜粋
二十二の4条には模造刀剣類の記載があります。
(模造刀剣類の携帯の禁止)
- 第二十二条の四
- 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、模造刀剣類(金属で作られ、かつ、刀剣類に著しく類似する形態を有する物で内閣府令で定めるものをいう。)を携帯してはならない。
銃砲刀剣類所持等取締法より抜粋
ここまでを簡単にまとめると、模造刀剣類というものは「金属製で刀剣類に著しく類似する形態のもの」ということになり、木刀や竹刀などは模造刀と呼ばないことがわかります。そして模造刀を「携帯」(自分で手に持つ、身体に帯びるなど携えている状態)することは禁じられています。
ここまでで重要なポイント
- 模造刀剣類を所有することは銃刀法に抵触しない
- 携帯することは銃刀法に抵触する
模造刀は誰でも特別な許可などはいらず、購入・所持することができます。
しかし、携えてはいけないということは実際にお店で購入した場合や持ち運びはどのように行うのが好ましいでしょうか。
実店舗の「忍屋」ではお買い上げ頂いたお客様に上記のような形(ダンボール+専用お買い物袋)で模造刀をお渡ししています。
ご購入後の持ち運びには刀袋(一部の商品に同梱されています)や模造刀ケースをご利用ください。
一目で刀とわかる状態で携帯していると周囲の方々にも不安を与えてしまいますし、真剣なのか模造刀なのかは一見では判断できませんので検挙されてしまう場合もあります。
プライベートな空間である自家用車内でもケース等に入れておきましょう。
また、事件となった場合に銃刀法が適用されるかどうかは裁判所の判断になるようです。
参考:Wikipedia「模造刀」-判例による刀剣類の要件
当然のことながら人に向けたり打ち付けたりすれば模造刀でも殺傷能力があり罰せられます。
当店で取り扱っている刀剣類
観賞用の刀剣
「模造刀」「美術刀」「高級模造刀」のカテゴリに属するものは基本的には観賞用に簡素な作りとなっています。素振りには向いていません。
- 美術刀
- シンプルな仕上げの刀剣です。拵えなどの違いで選べるベーシックな刀剣です。
- 模造刀
- 戦国武将や幕末の志士が使用していた刀剣をイメージして作られたものです。
- 高級模造刀
- 模造刀と同じく戦国武将や幕末の志士をイメージしたり実在する刀剣に近づけたものです。模造刀よりも材質や仕上げをより良いものにした上位カテゴリです。
武道で使用する刀剣
当店のカテゴリでは「居合刀」「居合練習刀」「高級居合刀」がそれに当たります。刀を素早く抜いたり、素振りができる刀となります。
- 居合練習刀
- 刀身を砂型鋳造で作られたものに変更し、強度を上げた刀身を使用。素振りを目的としたカテゴリです。
- 居合刀
- 居合道の試合で使えるよう、鞘鳴りなどに配慮し精度をあげたカテゴリです。
- 高級居合刀
- 仕上げにこだわり、試合での使用も可能な当店で最高級刀剣のカテゴリです。
※上記カテゴリ外のものは「模造刀仕樣」等を商品名に併記しております。
カテゴリ | 試合使用 | 素振り | 価格帯(時期により価格は変動します。) |
---|---|---|---|
美術刀 | 3,400円より | ||
模造刀 | 5,900円より | ||
高級模造刀 | 22,400円より | ||
居合練習刀 | ○ | 14,600円より | |
居合刀 | ○ | ○ | 38,000円より |
高級居合刀 | ○ | ○ | 40,000円より |
当店で取り扱っている刀剣は打ち合いには使えません。刀同士、あるいは他のものに打ち付けた場合は刀身が変形してしまったり、傷が付いてしまったり、仕上げのメッキが剥がれてしまうことがあります。
お手入れの方法
模造刀のお手入れ方法は基本的にアルコールを染み込ませた布などで刀身をサッと拭き取ります。鞘や柄などは乾いた布などで同様に拭いてください。
手入れ道具について
当店でも販売している刀油と打ち粉のセットですが、こちらは真剣用のものとなります。模造刀や居合刀の刀身は真鍮や亜鉛、アルミニウムなどの合金製で表面にはメッキ処理をしているものがほとんどです。特に真剣と同じ手入れをせずとも布で軽く拭き取るだけで長持ちさせることができます。
また真剣用の手入れ方法として刀身と柄をつなげる「目釘」を抜くお手入れの方法もありますが、当店では推奨しておりません。
手入れ道具についても軽くご説明致します。
- 刀油
- 丁字油(クローブオイル)もしくは椿油が使われます。これらは刀身の錆び止め、刀身の摩耗を防ぎ、納刀をスムーズに行うためのものです。塗った油が古くなると錆びる原因となるため真剣の場合は塗った油をキレイに拭き取って塗り直すのに用いられます。
- 打ち粉
- 古くなった油の除去に使われる研磨剤のことを指します。白い包みの中に粉が入っており、軽く叩くようにして油を吸わせます。粉は砥石の粉末ですので分解したり敗れたりした時に吸い込まないよう注意してください。
手入れ道具は基本的に刀身の錆の防止に使われるものとお考えください。付いてしまった傷の修復などを行うものではございません。