薩摩錫器
▲薩摩錫器の街
鹿児島県国分市
▲薩摩錫器の製造元
岩切美巧堂さん
▲焼酎工場の蒸留器の管に錫が使用されている

鹿児島と錫器


 鹿児島県国分市、ここに日本の錫器文化を担う職人たちが鹿児島の伝統工芸品「薩摩錫器」を製造している。

 薩摩(鹿児島)と錫ってどんな関係?と思われるかもしれません。それは、17世紀半、谷山(鹿児島市)に錫鉱山が発見されたことによります。当時の用途は、大砲の原料である青銅(銅と錫を化合させてつくる)の原料として利用されていました。
 錫器作りの技術は元々大阪にありました。これを導入し特産品を育てようという取り組みが始まったのは、明暦元年(1656年)と言われています。
そして、錫は人体に無害であることから飲食器や工芸品等に広く利用されていきました。このようにして生まれた薩摩錫器は、当時、藩外に販売するほか、藩主をはじめとする一部特権者が使うのみであったようです。
 尚古集成館には島津の藩主達が愛用したという調度品(酒器、花瓶等)が残っています。いづれも表面が白地(磨き)でデザインも単純なものです。


このように歴史のある錫器ですが、工芸品に価するものを作り上げるには大変な熟練が必要で、現在、薩摩錫器の技を伝えているのは3軒だけになってしまいました。その中でこの伝統工芸の屋台骨を支えているのは国分市の岩切美巧堂です。




ずっしりとした重みが焼酎の味を引き立てる。

 さて、錫の特性ですが、錫は無害であり、分子が粗く不純物を吸収する性質を持っています。
 また、熱伝導率が高いことも特徴の一つです。これらの特性などから、現在も焼酎工場で蒸留器の管に錫が使われています。
 このように焼酎の蔵本が品質を守るために使っている素材を使って作られた酒器で燗をつければ焼酎の味もまたまろやかなものになるのではないでしょうか。
鹿児島の文化である焼酎と伝統工芸品の錫器で鹿児島の文化と歴史をお楽しみください。




◆製造工程のご紹介◆
製造工程は、まず型どりから始まります。
1.純錫のインゴット1本25kg 2.溶かした錫の温度は色で判断 4.鋳型に流し込み型を抜く
代々残された型で大まかな成形のあと、木工施盤で削り出す。「木よりも素直」な性質で細工しやすい。
5.ロクロで削る 5.この道48年の神技 6.硝酸液に浸けて梨地を出す
絵付けは希硝液によるエッジングである。腐食された梨地の地肌の中で描かれた絵が美しく輝き出す。
7.絵をつける 8.最終仕上げ 完成
このようにひとつひとつ手作りで作っています。