種から生まれて電気を食べる不思議な生物、ニョロニョロ。

言葉を持たず、意志の有無も不明、集団でわらわらと移動する
ニョロニョロは、ムーミン谷で厭われる存在です。

英語名はハッティフナット。
ニョロニョロというのは日本語名ですがなかなかピッタリの名前ですよね。

その不思議な生態は『ムーミン谷の仲間たち』(講談社)
収録の「ニョロニョロのひみつ」で詳しく述べられています。
自由きままに旅するニョロニョロに心惹かれたムーミンパパはボートに
同乗して旅に出るのですが、言葉も通じないニョロニョロたちに
次第にいらだちを覚えて・・・。

映画『かもめ食堂』では「電気を食べる」と表現されていましたが、
ニョロニョロたちが恐ろしいのは体が電気を帯びていて、
雷が大好きだということです。

そんなニョロニョロがマグではお行儀よく椅子に座って
膝だか太股だかにカップ&ソーサーをちょこんと乗せています。
これは絵本『それからどうなるの?』(講談社)の1コマ。
また、コミックス『ひとりぼっちのムーミン』(筑摩書房)には
スーツケースを手にムーミンの家に押しかけ、「カクテルはないの?」
と要求する場面が出てきます。
小説と絵本、コミックスでは、設定が異なっているんですね。

『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)では、「〜〜するべからず」と
楽しみを禁止するたてふだを立てた公園番に業を煮やしたスナフキンが
夏至の前日にニョロニョロのたねを蒔いて、公園番を感電させ、復讐を果たします。
白くてツヤツヤしたたねを蒔くと、ニョロニョロが頭から
にょきにょきと生えてくるのです!

そのニョロニョロのたねをイメージしたドリンクの飲めるお店
「ムーミンスタンド」も大人気。店内にはニョロニョロの飾りやグッズもいっぱいです。
ニョロニョロの不思議さに惹かれた方はぜひ行ってみてください。

気分も明るくなるオレンジ色のマグには、ピリリと電気を連想させる、
自家製ジンジャーエールを。
表面をきれいにした生姜を薄切りにして同量の砂糖を加え、
30分以上おきます。水分が出たら中〜弱火で30分ほど
煮て、レモン果汁1個分を混ぜ、生姜を取り出したらシロップ完成。
生姜はそのまま食べてもよし、刻んでジャムにしたり、生姜焼きなどの料理に入れたり。
新生姜を使うと、きれいなピンク色のマイルドなシロップになります。
辛いのがお好みの方は根生姜にシナモン、クローブなどのスパイス
を加えてみてください。

もっとお手軽に作りたいときは、すりおろし生姜、ハチミツ、
レモン汁を混ぜるだけでもOK。

紅茶やお湯、水割りでもいいですが、
ソーダのほうが雰囲気が出るかな?

text: 萩原まみ(too)

北欧最大のデパート、フィンランドのストックマン。
2012年に創業150周年を迎え、カルティオのライトグリーン復刻、
マリメッコのkestitシリーズ、パラティッシの特別色パープル等、
さまざまな記念アイテムを発売して話題を集めました。

ギフト用のラッピングペーパーには1950年代、トーベ・ヤンソンが
ストックマンのために描いたムーミンたちが再登場!
同じ絵をアレンジしたコースター、トレイ、コーヒー缶、紅茶缶なども
「どれもカワイイ!」と大人気で売り切れ続出でした。

そんななか、当初、25000個限定で売り出されたのがこのマグです。
買えるのはストックマンの実店舗と基本的には国内向けの通販のみ。
すぐになくなることはないだろうと思っていたら……
店頭販売開始を待たずに先行通販分が完売!

店頭に並んだ分も瞬く間に姿を消し、
一時期、オークションでの価格は100ユーロ前後と高騰しました。

フィンランド本国にも、熱狂的なコレクターのいるムーミンマグ。
ネットには再販を望む声があふれ、年末に追加販売が実現。
再販当日、開店と同時にエスカレーターを駆け上り、
マグ売り場に殺到する人々の姿が!
アラビアムーミンマグの人気を実証する“事件”となりました。

さて、ラッキーにも手にすることができた、このストックマンマグ。
いちばん目立っているピンク色の人物はママ? それともムーミン?
ハンドバッグを手にしているのでやっぱりムーミンママでしょうか。
黒いバッグにはストックマンの最初のロゴが描かれています。
ということは、ハンドバッグではなくストックマンの紙袋?
特定のキャラクターではなく、
「ストックマンに買い物に来たムーミン族の代表」という解釈もあるようです。

たくさんのキャラクターが描かれているのも、このマグの魅力。
傘に乗って空を飛んでいるようなフィリフヨンカとリトルミイ、
パイプをくゆらすスナフキン、ニョロニョロもいます。
スニフらしきキャラクターは気球に乗っていたり、気球から
落っこちたのか尻餅をついてたり、猫に向かって走っていたり(?)。
仲良く並んで雲に乗っているのは、原作ではムーミンとフローレン
ですが、前髪も足輪もないので、ムーミンとパパかもしれません。
別のところにちゃんと前髪と足輪のあるフローレンの姿も見えます。

アラビアムーミンマグには珍しく、磁器の色そのままの白がベースで、
細かい絵を散らした総柄です。
バッグを持った人物、傘などの色付きの部分はアウトラインなし、
ほかのキャラクターは黒い繊細な線で描かれています。
パステル調ですが、甘すぎず、大人でも使いやすいデザインです。

最終的に何個作られたのかははっきりしませんが、
結局、日本での販売はなく、フィンランドでもとっくに完売。
残念ながらスコープでの取扱予定もありませんので、悪しからず……。

text: 萩原まみ(too)

原作小説とコミックス&アニメでは性格がまったく違うフィリフヨンカ。

フィリフヨンカというのもムーミン同様、種族の名前です。
ヘムル族と並んでよく登場しますが、
たいていは几帳面な独身女性として描かれています。

男性のフィリフヨンカは『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)に出てくる
舞台監督のフィリフヨンクさんという人物ぐらいでしょうか。

一方、コミックスとアニメに登場するフィヨンカ夫人は
3人の子持ちで躾けに厳しく、きれい好きな教育ママ。
夫(子供の父親)の存在は不明ですが、
マグにも描かれている子どもたちの上の2人は男の子のようです。

マグの正面のフィリフヨンカと子どもたちの絵は、
コミックス『ふしぎなごっこ遊び』(筑摩書房)のワンシーン。
ムーミンママというとしっかり者で完璧なハウスワイフという
イメージかもしれませんが、おおらかで、義務よりも楽しさを
優先させるタイプなので、完璧な隣人であるフィリフヨンカに
対抗心を燃やしたり、コンプレックスを抱いたり。
ムーミン一家の“いい人”ぶりが炸裂する、楽しいエピソードです。

裏側のちょっとセクシー(?)なポーズは『ムーミン谷の仲間たち』(講談社)
収録の短編『この世の終わりにおびえるフィリフヨンカ』で、
絨毯を洗っているシーンです。
海でカーペットを洗うのはフィンランドの夏の風物詩。
ヘルシンキの海辺にも絨毯を洗うためのスペースが設けられています。
フィンランドの海は塩分が薄く、絨毯の色が長持ちするんだそうです。

暖かな色合いのフィリフヨンカマグは飲み物を選びません。
『ムーミン谷の11月』(講談社)で不在のムーミンママに代わって
台所の残り物を上手にやりくりするフィリフヨンカにちなんで、
胡麻きな粉豆乳を作ってみました。
中途半端に残りがちなきな粉と常備されていることの多いすり胡麻を
スプーン1〜2杯、あれば豆乳、なければ牛乳に入れ、
蜂蜜かお砂糖でお好みの甘さに。
カルシウムやイソフラボンの効果でイライラした気持ちが治まって、
フィリフヨンカのように張り切って掃除がしたくなるかも!?

※フィリフヨンカマグは2013年に生産終了しました。

text: 萩原まみ(too)

器用で優しい、水浴び小屋の冬の住人。

トゥーティッキは原語でも英語でも同じ名前で、日本のアニメや
コミックスでもトゥーティッキと呼ばれています。なぜか小説が日本語に訳された際、
「おしゃまさん」という愛称がつけられました。

一見、人間のようですが、ちょっと不思議な形の足にご注目。男の子のようにも
見えますが、女性という設定です。赤いボーダーのセーターに、ボンボン付きの
帽子がトレードマーク。この帽子とパンツはアニメでは緑色でしたが、
フィンランドでは青。アラビアのマグも青色です。

トゥーティッキは年齢不詳ですが、ムーミンよりは少し年上らしく、
パパやママにとっても良き友人。冬眠せず、避寒もしないという珍しいタイプで、
ムーミン一家が眠りにつく冬にはパパが作った水浴び小屋に無断で住みついています。
『ムーミン谷の冬』(講談社)でムーミンがひとり冬眠から目覚めてしまったときは、
冬の世界のガイド役をさりげなく務めてくれました。

トゥーティッキのモデルはトーベ・ヤンソンのパートナー、トゥーリッキ・ピエティラ。
彼女は有名なグラフィックアーティストで、タンペレのムーミン谷博物館に
展示されている多くの立体作品を作りました。
トーベは「生涯独身で、夏にはひとり孤独に島で創作に勤んだ」
なんて語り継がれていましたが、実際はその隣にはトゥーリッキが。

トーベはダンスが大好きで創作と真摯に向き合いながらも人生を謳歌していたそうです。
トーベの島、クールヴ・ハルでの暮らしを綴った『島暮らしの記録』(筑摩書房)は
トーベが文章を書き、トゥーリッキが挿絵を添えたもの。
ふたりの素顔についてもっと知りたい方は、
写真集『ヤンソンとムーミンのアトリエ』(講談社)をぜひどうぞ!

2014年はトーベ生誕100周年のメモリアルイヤー。トーベとトゥーリッキの島暮らしと
旅の様子を綴った貴重なドキュメントフィルムの上映とDVD発売も予定されています。

さて、トゥーリッキ同様、トゥーティッキも手先が器用で、特にコミックスでは
さまざまな活躍を見せます。『ムーミン、海へいく』(筑摩書房)では大工道具片手に
船の作り方を指南、ムーミン一家と共に航海に出かけます。

マグに描かれているのもそんな場面で、いつも腰に下げている愛用のナイフで
小さな船を作っています。裏面は『ムーミン谷の冬』で、冬の間使っていた
水浴び小屋をきれいに掃除しているところです。

このマグで飲みたいのは、2007年の冬マグ「Snow Lantern」の雪玉で作ったランプを
ムーミンと見つめる名場面をイメージした、マシュマロ入りのココア。
無糖のココアを少量の熱湯で溶き、牛乳を適量入れたらレンジで温め(もちろん鍋で
温めてもいいですが、手軽にレンジで加熱できるのもマグのいいところ!)雪玉に
見立てたマシュマロをたっぷり浮かべます。このメニューは、かつて、ららぽーと横浜に
あったムーミンオーロラカフェ(現在閉店)の「おしゃまさんのマシュマロラテ」への
オマージュです。マシュマロはココアだけでなく、ラテやミルクティに浮かべても
甘みが加わっておいしいですよ。

text: 萩原まみ(too)

愛らしい花嫁姿は、ロッドユール妻=スニフのお母さん!

柔らかいピンクを背景に花束を持って佇む花嫁。
彼女はソースユール、スニフのお母さんです。
先に紹介したロッドユールと並べると
スニフがお母さん似だってことがよくわかりますね。

このソースユール、
ロッドユール以上に出番の少ないキャラクターです。
『ムーミンパパの思い出』(講談社)の後半、いきなり
ロッドユールとソースユールの結婚式の場面が飛び出します。

ムーミンパパがソースユールの存在をすっかり忘れていたため、
ふたりの出会いの詳細は不明。
ただ、結婚式を執り行おうとした王さまいわく、ふたりはひと目惚れで、
ボタンを交換したり、散歩したりして、愛を育みました。
互いに夢中で、おっちょこちょいなふたりは、招待客の到着を待てず、
さっさと結婚式を挙げてしまうほど、深く愛し合っていたのです。

マグに使われている絵はどちらも『思い出』からのもの。
ですが、実は、ウェディングドレス姿の横には、
帽子代わりの鍋に花を差して正装したロッドユールが!
暖炉の火にあたっている絵も本当はロッドユールに寄り添っています。
マグではソースユールの部分だけが使われ、ロッドユールは
カットされてしまいました。
新婚カップルに対してあまりにむごい仕打ち……
マグを使うときはそんなことは考えないほうが
ハッピーかもしれません(笑)。

ロッドユールとソースユール、
ふたつのマグはウェディングギフトや引き出物に最適です。
スニフを足せば、誕生祝いや新居への引っ越し祝いにも!
色みに統一感があるので食卓でのコーディネートもバッチリ。
そんな用途を想定して、スニフ一家が大抜擢されたのでしょう。

ソースユールの優しい色に合わせて、
米麹で作る甘酒なんかを入れるのもオススメですが、
作り方がややこしいので、暖かいエッグノッグはいかが?
卵1個を鍋でよく溶き、砂糖を大さじ1程度入れて混ぜ、
牛乳カップ1弱を入れて、混ぜながら中火にかけ、
とろみがついてきたら火を止めます。
好みで、シナモン、ナツメグ、
大人はブランデーやラム酒を。
風邪のひき始めにもよく効きます。
もっとパンチのあるものがよければ、
『思い出』のエピローグで再会を祝してみんなで飲んだラムいりトディでも。
ラムとシロップをトニックかお湯で割るだけです。
ソースユールみたいに最愛の人に寄り添って
暖炉の前で飲めたら最高ですね。

text: 萩原まみ(too)

まさかの大抜擢、ロッドユールはスニフのお父さん。

2010年にこのマグが登場したとき、ムーミンファンは「まさか!?」、
あまりムーミンに詳しくない人は「誰?」と思ったのでは。

鍋を帽子の代わりにかぶった風変わりな格好の彼の名前はロッドユール。
ムーミンパパとフレドリクソン、スナフキンの父のヨクサルと共に
冒険の旅をしていた仲間です。
青いコーヒー缶に住んでいましたが、残った赤いペンキで缶を塗ったら
乾かなくなり、住処を失って旅に同行することになります。

『ムーミンパパの思い出』(講談社)の説明によれば、
ロッドユールというのはがらくた集めをする小さな動物。
趣味はボタン集めですが、ガラクタが多すぎて、すぐにものをなくしてしまいます。

ムーミン谷でコレクターといえばヘムレンさん一族ですが、
ロッドユールは彼らのようにきちんと整頓したり、秩序立てて蒐集したり
ということはしません。
ただただボタンが好きで、ひたすら集めるだけ。
その気質は息子のスニフにも受け継がれていますが、
スニフは宝石や光り物が大好き。
父親のボタン集めのほうがお金のかからない趣味ですね。

ロッドユールは小説では『ムーミンパパの思い出』だけに登場する、
あまり出番の多くないキャラクター。
コミックスにはそっくりの外見のキャラクターが出てくるのですが、
彼はお父さんと瓜二つの息子で、スニフの兄のクロットユールです。

マグに使われている絵そのままのカットは見当たらないようなので、
クロットユールの要素もミックスされているのかもしれません。
ちなみに『思い出』のロッドユールにはヒゲがありますが、
マグの絵にはヒゲがありません。 (しかし、『思い出』のミムラには
なんとしっぽがあるので、細かいことは言いっこなしで!)

そんなロッドユールがマグに大抜擢された理由……
翌2011年にその謎が解けました。(次回に続く!)

明るい紫色のロッドユールマグには、インスタントのお味噌汁を
入れてみました。
もちろん手作りでもいいのですが、手軽なインスタントの味噌汁や
お吸い物を飲むときにもマグはオススメです。
でも、そのままでは味気ないので、切り干し大根とお麸などを追加。
乾物をちょい足しするときは、先にマグに入れて熱湯を注ぎ、
軽く戻してから、お味噌を入れて味をつけてください。
お麸が「ボタンみたい!」と、ロッドユールも喜んでくれるかも?

text: 萩原まみ(too)

すべてを凍りつかせるおそろしい女の魔物、モラン。

ムーミン童話における二大バケモノ(?)モランとニョロニョロ。
どちらも意志があるのかないのか、コミュニケートは困難ですが、
モランのほうは光や暖かいものに引きつけられるという性質が。
しかし、モランの通った後には霜が降り、花は枯れ、生き物は寒さに震えます。
1時間以上、モランが座った場所には何も生えないと言われるほど。

そのため、人々から忌み嫌われ、友達もいなかったモランに、
ムーミントロールだけが思いやりを持って接します。

『ムーミンパパ海へいく』(講談社)でムーミンたちの明かりを追って、
灯台守の島までついてきたモランにムーミンはカンテラの灯を差し出します。
モランは明かりを見つめながら歌のような音をたて、
体を揺すって踊るのでした。

モランは言葉を発することはないと思われていますが、
『たのしいムーミン一家』(同)でトフスランとビフスランの持つ
ルビーの所有権を主張するモランは「高いだよ」「たりねだ」と
片言で訛りのある言葉を話します。
頭と体の境目が不明のマツコ・デラックス体型ですが、
裾のヒラヒラはスカートなんです。

フィンランドの長く厳しい冬の象徴であるかのようなモラン。
作者のトーベ・ヤンソンが、夏を過ごしていた群島地域ペッリンゲには
モランそっくりの形の巨大な岩があります。
今では目と口が書き加えられ「モラン岩」と呼ばれて、
地元の子どもたちから親しまれているそうです。

ベースの紺色がきれいなモランのマグは、個人的に大のお気に入り。
でもやっぱり、モランの性質を知っているせいか、
夏場にはあまり手が伸びません。 (暑苦しくてたまらない日に
少しでも涼しげな気分を味わおうと あえて使うことはありますが)。
空気が澄みきって、月や星が美しく輝く秋から冬が
いちばん似合うような気がします。

作ってみたのはカフェロワイヤル。
角砂糖に染み込ませたブランデーから立ち上る青い炎、
モランも喜んで踊ってくれるかな?

text: 萩原まみ(too)

原作小説のモノクロ原画を生かし、冒険物語を表現したシリーズ。

ピンク色の「LOVE」と並んで、毛色の違うこのマグは
「ムーミンアドベンチャー」というラインのもの。
マグ以外に19センチプレート、ボウル大小、ピッチャー、トレイ、
カトラリー、ジャー(蓋付き容器)時計がありましたが、すべて廃盤。
新たに「MOVE」というシリーズに生まれ変わりました。

アドベンチャーのカトラリー以外の全アイテムに共通する
走るムーミンの絵の出典は、コミックス『黄金のしっぽ』 (筑摩書房)。
ムーミンが走っているのには驚きのワケがあります。
しっぽが黄金に光りだし、一躍、有名人になったムーミン。
しっぽの管理をマネージャーに任せることに。
そのマネージャーが連絡を取りたがっていると聞き、
「ハリウッドから手紙がきたのかも!」
と駆け出していくのです。

背景に使われているのは、小説の挿絵。
トーベ・ヤンソンの緻密な原画をほぼそのまま生かしています。
走るムーミンが目立っているため、どのアイテムも同じ背景だと
勘違いされがちですが、すべて別の絵が使われていて
アイテムごとにひとつのストーリー=冒険物語になっています。

マグの背景は『たのしいムーミン一家』(講談社)
で、ニョロニョロ島にピクニックに出かけたムーミン一家、フローレン、
スニフ、ヘムレンさん、スノーク、スナフキンの8人が
嵐やニョロニョロの襲撃を乗り越え、朝陽を眺めているシーンです。
後ろ姿のシルエットだけですが、スナフキンが登場している
数少ないマグでもあります。

白黒ですから何でも合いますが、コーヒーだとちょっと寂しいから、
ムーミンたちが旅先でもよく食べているスープを入れてみました。
手軽なインスタントもいいですが、残り野菜とベーコンなどを炒めて
コンソメでさっと煮れば簡単なスープの出来上がり。
木曜日には北欧の慣習にならって、豆のスープにしてみては?

text: 萩原まみ(too)

夫婦? 双子? 女の子カップル?
ふつもいっしょの いたり組。

赤い帽子をかぶったトフスランとスーツケースを抱えたビフスラン。
ふたりはいつもいっしょで
「あべものが、たるよ」と言葉の一部を入れ換えた、
ふたりだけに通じる不思議な言葉を話します。

このトフビフ言葉は速水もこみちさん主演のドラマで
恋を盛り上げる演出のひとつとして使われたこともありました。
オリジナルのムーミングッズをプロデュースしているIhanat Muumiさんが
facebookで使っているのもトフビフ言葉です。

『たのしいムーミン一家』(講談社)では夫婦と訳されていますが、
性別ははっきりしません。
昭和版アニメでは、トフスとビフスという名前で
双子という設定になっていました。
アニメではトフスランが男声で、ビフスランが女声です。
英語だと「Thingumy and Bob」で、ビフスランのほうが男名前!?と思いきや、
名前が不明なときに使う「thingamabob」(誰かさん?)を
半分に分けたネーミングとのこと。
しかし、フランス語ではふたりとも女性名だという説も!?

曖昧さはムーミン童話の魅力でもあるので、
謎は謎のままにしておきたいと思いますが、
ひとつのヒントになりそうなのが、
トフスランとビフスランのモデルは作者トーベ・ヤンソンと、
トーベが児童劇『ムーミントロールと彗星』の脚本に手こずっているときに
的確なアドバイスを与えた演出家のビビカ・バンドラーだということ。
『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)のエンマのモデルにもなった人物で
同書はビビカに捧げられています。

トフスランとビフスランはふたりの世界に生きているせいか、
周りが見えないところがあり、ムーミンママの大切なハンドバッグを勝手に拝借して、
大騒ぎを引き起します。
ねずみより小さいふたりはママのバッグをベッドがわりに使っていたのでした。

濃いコーヒーの色がよく映える緑色のトフスランとビフスランのマグ。
仲良しのふたりにちなんで二種類のものを組み合わせると
さらにおいしくなるものを考えてみました。
思いついたのは甘くてほろ苦いイタリアのデザート、アフォガート。
バニラアイスクリームに熱いエスプレッソを掛けて、
熱々の冷え冷えをいただきます。
しっかりした磁器のマグは多少のことでは割れる心配がなく、
いろんな使い方ができますね。

text: 萩原まみ(too)

スティンキー=臭いヤツ。
フィンランドではいちばん人気!?

モジャモジャの体に悪事を企むワルそうな笑み。
日本でも人気が高く、キャラクターグッズの種類も多い
スティンキーは、フィンランドでは特に男の子にいちばん人気なんだとか。

存在感大のスティンキーですが、実は原作小説には登場しません。
コミックス版オリジナルキャラで、ストーリーを進めるために
重要な役割を果たしています。
それぞれ個性的だけれど悪意ある住人の少ないムーミン谷にはめずらしく、
臭いわ、家を食い荒らす(!)わ、かなり困ったヤツです。

アニメ版ではもう少し子供っぽく他愛ない悪戯を仕掛けることが
多くて、どこか憎めないところも。
本心ではムーミンたちといっしょに遊びたいだけなのに
素直になれないようにも見えます。

そんなスティンキーマグの絵は、
『彗星がふってくる日』(筑摩書房)で
彗星の接近に脅える人々に売りつける
“紫外線から身を守り、衝撃波も吸収する魔法の水”を
両手いっぱいに抱えているところ。
もちろん、中身は魔法の水などではなく、サンオイルらしき謎の液体。
けっこう悪知恵が働くんですね。

体からは臭気が立ち上っていて、食器向きの絵ではないような気もしますが、
モノトーンのせいか意外に使いやすくてよく手が伸びます。

このマグに合いそうなのは何か意表をついた飲み物。
世界一マズい飴と言われるサルミアッキ入りウォッカあたりが気分ではありますが、
日本では入手困難なので、ふだんはマグでは飲むことのない
コーラなんてどうでしょう?
お酒好きの方ならウィスキーやラムをコーラで割ったカクテルを。
レモンかライムを絞ってどうぞ。

text: 萩原まみ(too)

人気者のはずなのにマグでは意外に不遇なスナフキン。

クールでハンサム、ときに無言で音楽を奏で、ときに
奥深い格言をさらりと呟きます。

ハーモニカと孤独を愛する音楽家で旅人でもあります。
日本ではムーミンの登場人物のなかで1位2位を争う人気者。
ムーミン、ミイと並び、グッズも数多く発売されています。

が、意外にもアラビアマグへの登場は少なく、
夏と冬に発売されるシーズンマグにもいまだ起用されず。
2010年に新しい形で復刻されたフィギュアにも、スナフキンの姿は
残念ながらありませんでした。

昭和アニメのスナフキンは
パイプをくわえ、ギターを爪弾く、渋いお兄さん(おじさん?)。
平成アニメでは少し若返って
ムーミン達と遊びに興じることも。
原作小説やコミックスでは、その中間ぐらいのイメージでしょうか。

スナフキンのことを人間だと思っている人もいるかもしれませんが、彼は「ムムリク」族。
原語名はスヌスムムリクといい、直訳は「嗅ぎ煙草野郎」ですが、
日本語では発音しづらいため、
英語名のスナフキンが採用されました。

束縛や強制を嫌う性格はお父さんのヨクサル譲り。
お母さんはミイやミムラねえさんと同じ、ミムラ夫人です。

マグに使われている絵は、絵本『さびしがりやのクニット』(講談社)からの1シーン。
奏でているのはハーモニカではなく横笛です。
後ろ姿はコミックス『ひとりぼっちのムーミン』(筑摩書房)収録の
『ムーミン谷への遠い道のり』から。
釣りが好きで、浮きも自作するスナフキンらしいポーズです。

寒さが苦手なムーミンたちは長い冬の間、冬眠して過ごします。
スナフキンは家を持たず、夏は川のほとりでテント暮らし、
秋がくると南へと旅立ちます。
(例外的に『たのしいムーミン一家』では、
ムーミン屋敷でムーミンと共に冬眠しています!)
つまり、スナフキンは基本的にはムーミン谷の夏だけの住人。
そのせいか、スナフキンのマグは春から夏に使いたくなります。

テントの横でスナフキンが淹れたコーヒーの味に思いを馳せながら、
ブラックコーヒーを飲むもよし、
焚き火でこしらえた(と、想像して)スープを飲むもよし。
パキッと明るいオレンジジュースなんかも、よく合うと思います。
できれば、屋外に持ち出して海や山を眺めながら
のんびり味わいたいですね。

text: 萩原まみ(too)

廃盤マグの面影を残す異色の一品。

現在発売されているムーミンマグは
1つのマグにひとりのキャラクターがどーんと描かれているタイプ。
一目で「ムーミンのマグ」とか「パパ」とわかって親しみがわきますね。

このピンク色の「LOVE」だけは廃盤マグのパターンです。
2002年に他の色が廃盤になった後もなぜかこれだけが残りました。
明らかにこれだけラインナップ外なので
いつ廃盤になってもおかしくない…と言われながら早10年。
でも、持っていない方は、早めに買っておいたほうが安心でしょう。

他の廃盤マグよりも、使われている絵の点数が少ないかわりに
大きめに配置されていて、「LOVE」というメッセージがしっかりと伝わってきます。
仲むつまじいムーミンとフローレンを描いた3点の絵は、
すべてコミックスからの引用です。

道を挟んで見つめ合っているカットは『あこがれの遠い土地』(筑摩書房)。
フローレンマグの裏面でムーミン以外の男の誘いを待っていたフローレンですが、
やはり最終的にはムーミンの良さを認識。再会を喜んでいます。

ギュッと抱き合っているカットは『まいごの火星人』(同)。
壊れたラジオの修理に墜落したUFOの部品を使ったことからさまざまな怪現象が!
小さくなってしまったムーミンが元の大きさに戻った喜びを
分かち合っているシーンです。

後ろ姿のカットは『恋するムーミン』(同)収録の『家をたてよう』から。
ミムラ夫人のマグに描かれているミムラきょうだいの襲撃に
困り果てたムーミンは、新たに家を建てることを思いつきます。
その家を赤く塗るか青く塗るかで言い争いになったふたりですが、
ミイが「紫の花柄にすれば?」と皮肉たっぷりにアドバイス、仲良く花を描きはじめます。
マグではカットされていますが、ふたりの下にはミイがいて
「あんたらおばかだね」と落書き。
そんなことにはまったく気づいていないラブラブのふたりなのでした。

ピンク色がベースですが、モノクロ原画が使われているので、
甘すぎず、大人っぽい雰囲気。
結婚祝いや引き出物、バレンタインギフトなどにもオススメです。

色数が多くないので、何を入れてもよく合いますが、
ちょっと意外なところで蒸しパンを作ってみました。
小麦粉大さじ6杯と砂糖大さじ1、ベーキングパウダー小さじ1を直接マグに入れ、
大さじ4杯の牛乳か水で溶きます。電子レンジで約1〜2分、加熱したら出来上がり!
もこもこと膨らんでくる様子が楽しく、あっと言う間にできます。
ココアを混ぜたり、チョコチップやドライフルーツ、
ソーセージやチーズをトッピングしたりしてもおいしい。
加熱時間はレンジによって調節してくださいね。

text: 萩原まみ(too)

平和なムーミン谷を守る署長さんの意外な趣味とは・・・

2009年に登場した署長さんマグにはちょっと驚かされました。
日本では、茶色い毛に覆われたご先祖さまの人気が高いですし、
他にもスナフキンの父ヨクサル、ホムサ・トフト、スノークなど
マグに登場してもおかしくないキャクラターがいたからです。

署長さんとは呼ばれていませんが、
『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)にはおまわりさんのヘムルが登場。
コミックスには何人かポリスマンが出てきます。
昭和アニメで署長さんを務めたのはヒゲのある年配の人物。
平成アニメはこの若い署長さんで、
ミムラねえさんと恋人同士という設定でした。

多少のゴタゴタはあるものの、基本的にムーミン谷はとても平和。
署長さんの出番は少なそうですが、汚くて臭いスティンキーが
住人を困らせたり、吸血鬼が出没したり、海賊が現れたり、
なんだかんだでけっこう忙しいんです。

明記はされていないものの、おそらく種族はヘムル。
ポリスマンという職業は厳格なヘムル族にぴったりですね。
ヘムルの特徴である収集癖はないらしく余暇にやっているのは薔薇いじり。
同じ趣味を持つムーミンママとガーデニング談義で盛り上がることもあります。

フィンランドのナーンタリにあるテーマパーク、ムーミンワールド
では、園の中心地点あたりの警察署が案内所になっています。
冬の開園時にはスキーやスケートの貸し出し拠点に変身。
夏場は留置所に入って囚人ごっこをして遊ぶことも!
また、署長さんの服を着たスタッフが遊びの手助けをしてくれます。

男の子も好みそうなカラーリングの署長さんマグ。
前年にリリースされたミムラマグと組み合わせると、
いかにも“ペア”な雰囲気に。ムーミンパパ&マママグはちょっと
使いづらいな、なんていうカップルの方にもオススメです。

さて、これまた何でも合うマグですが、ガーデニング好きの
署長さんにちなんでフレッシュハーブティーを。
できれば自分で育てた無農薬のミント、カモミールなどを
ひとつかみ入れ、熱湯を注いで軽くつぶします。
お好みでハチミツを入れても。
市販のハーブティとはまた違うフレッシュな風味をご堪能あれ。

text: 萩原まみ(too)

ミイたち妹弟の長女、
おしゃれなミムラねえさん。

2012年発売のミムラ夫人マグの回でもご紹介しましたが、
ミムラ夫人はとにかく子だくさん!
なにしろ、別の種族であるはずのヨクサルとの間に
スナフキンも生んでいるんです。

そんなミムラきょうだいのなかでも別格なのがミムラねえさん。
ミムラというのは種族名ですが、
単に「ミムラ」と呼ぶときはいちばん年上のミムラねえさんを指します。
女優のミムラさんがご自分の芸名になさったことでも有名ですね。

『ムーミンパパの思い出』(講談社)では、人をからかうのが大好きな
いたずら好きの女の子でしたが、『ムーミン谷の夏まつり』(同)
では妹のミイのしつけに気を配るしっかり者に成長しています。
『ムーミン谷の11月』(同)では朗らかで、ダンスが大好き。
ムーミン一家不在のムーミン屋敷に住み着いた他の住人を冷静に観察、
心のなかで分析する様子は毒舌の妹、リトルミイに
共通する気質も感じられます。

一方、コミックスでは、
冬マグに登場するブリスクさんに片思いして、周囲を振り回すなど、
惚れっぽくて恋に一喜一憂する、ふわふわした一面も。
お好みなのはマッチョタイプ。
平成アニメでは、署長さんと恋人同士という設定でした。

マグに使われている絵は
『ムーミン谷の夏まつり』で舞台の口上を述べているシーン。
よく見ると目がハート型でとってもキュートです。

裏側はコミックス『ムーミン谷のクリスマス』
(筑摩書房)収録の『預言者あらわる』で、預言者の影響で髪形を変え、
ムーミンに見せているところ。
いつもはミムラ族特有のおだんご頭のミムラねえさんですが、
髪をとかしたり、肩に垂らしたり、おしゃれを楽しんでいるようです。

使うだけで女子力が高まりそうな濃いめピンクのマグには
グリーンスムージーを。
レシピはいろいろありますが、小松菜、ほうれん草などの青菜に、
バナナ、リンゴ、ミカン、レモンなどのフルーツをプラス、
水、牛乳、豆乳などの水分を加えてミキサーかジューサーで液状に。
美肌やダイエットに効果的、
ミムラのように美しくなった自分に惚れ惚れしちゃいましょう♪

text: 萩原まみ(too)

「ばんざい!」
「めでたしめでたし!」

「フレー!」という言葉は日本語だと「がんばれ!」みたいなニュアンスで
応援するときなどに使われますが、
フィンランド語で「Hurraa!」
英語で「Hurray!」を直訳すると
「ばんざい」「めでたしめでたし」といった感じでしょうか。

2012年、WDC(World Design Capital)のモデル都市に選ばれた
フィンランドの首都ヘルシンキ。
このマグは、WDCヘルシンキ2012のオフィシャルパートナーである
アラビアから発売された関連商品のひとつです。
底のバックスタンプはムーミンですが、これまでのムーミンマグと
かなり印象が違います。

それもそのはず。
実はこのマグの元絵はムーミン童話ではないんです。
トーベ・ヤンソンが描いた絵本『さびしがりやのクニット』
(講談社)のパーティの場面で、
この下のほうにはニョロニョロ、フィリフヨンカ、ヘムレンの姿が。
テントみたいに見えるのはかいてんブランコの屋根で、
大勢のホムサたちがブランコに乗って遊んでいます。

同書にはスナフキン、ミイといったおなじみのキャラクターも
登場するので、ムーミンの世界と地続きと考えていいでしょう。
ですから、マグの取っ手の左側でおどけた表情で踊っているのや
チークダンスを楽しんでいるのは、ムーミン族かスノーク族の誰かだと思います。
スニフみたいな姿も見えますね。

黒と黄色の鮮やかな色使いは絵本の原画そのまま。
下のほうにチラリとアクセントになっている赤い丸はホムサが手にした風船です。

華やかで大人っぽい雰囲気の「Hurray!」は、ほかのムーミンマグ
とのコーディネートは少し難しいかもしれませんが、
ムーミン以外の単色のteemaマグと組み合わせてもしっくりきます。

WDCヘルシンキの記念商品のため、2012年で生産終了。
日本ではイッタラ直営店限定での販売でした。

今後もこの「Hurray!」やストックマンのような限定マグが作られるのか・・・
新展開が楽しみですね。

text: 萩原まみ(too)

彼女の名前はノンノン or フローレン?
それともスノークの女の子?

ムーミンのガールフレンドで、姿はムーミンそっくりですが、
スノークという別の種族です。

スノーク族の特徴は感情によって体の色が変わること。
ふだんは黄色ですが、恐怖を感じると紫や緑、恋に落ちると赤といった具合。
おしゃれが大好きな彼女のご自慢はふさふさの前髪と
左足に光る金のアンクレットです。

小説の日本語訳では彼女の名前はスノークのおじょうさん、
コミックス版ではスノークの女の子と呼ばれています。
昭和アニメでの名前はノンノンで緑色の体をしていたのですが、
nonという音には否定的な響きがあるという理由で、平成アニメ版では、
ドイツ語版の名前に基づき、「おじょうさん」を意味する
フローレンに変わりました。

スノーク族にはフローレンのほかに兄のスノークがいます。
アニメ版のフローレンに親しんできた世代の方は、「お兄さまぁ〜」とかわいらしい声で
スノークの世話を焼く優しい妹、というイメージが強いかもしれません。

作品によって、名前だけでなく性格の設定にも微妙な違いが。
小説とアニメは少女っぽくてコミックス版はやや大人。
『たのしいムーミン一家』(講談社)では、船首飾りの木製の女王さまに
やきもちを焼いて、魔法使いの“飛行おに”に
パッチリまつげの大きな目に変身させてくれるようおねだり、周囲を唖然とさせます。
コミックスでは、ドキドキさせてくれないムーミンに
不満を抱いて、新しい恋を探そうとする積極的な一面も。

マグに使われているのは、コミックス『ムーミン、海へいく』(筑摩書房)で、
宝石の詰まった海賊の宝箱を見て目をキラキラさせているシーン。
裏側の横たわっている絵はなんと、どこかの若い貴族が
かわいらしく頼りなげな自分に声を掛けてくれるのを待っているところなんです。

きれいなレモンイエローのマグにはすっきり透き通った紅茶やハーブティーがぴったり。
美容を気にするフローレンに倣ってローズヒップティーなどいかが?
コーヒー好きが多いことで知られるフィンランドですが、
フレーバーティーの種類も豊富。
人気紅茶メーカーNORDQVISTからはパッケージにムーミンを起用した
アロマティーも出ています。
ティーバッグ&マグなら、気分に合わせて手軽に
フレーバーをチョイスできますね。

2012年、ムーミンマグと同時に
この「Snorkmaiden」も製造中止となりました。
新しいデザインのフローレンマグの登場をどうぞお楽しみに!

text: 萩原まみ(too)

2012年に発売されたばかり。
ミムラ夫人の子どもはなんと36人!

『ムーミンパパの思い出』(講談社)のラストシーンにチラリと登場、
スナフキンとミイがきょうだいだという衝撃の事実を明らかにしたミムラ夫人。

日本語では「ミムラ夫人」ですが、正確には「ミムラの婦人」、
英語では「ミムラ母」です。

マグにも描かれているとおり、少なくとも36人の子だくさん!
ですが、ミムラ夫は存在せず、スナフキンとミムラ&ミイが
異父きょうだいであることからもわかるとおり、
お相手は複数いたようです。
(あまりに次々と生まれるので、ひとりでに子どもができる
単為生殖なのではないか!?という俗説も囁かれているほどです)。

マグに使われている絵は、
コミックス『恋するムーミン』(筑摩書房)収録の
『家をたてよう』で、ムーミン屋敷に
17人の子どもを連れて押しかけたエピソードからの引用。
コミックスでは、このときがムーミン一家とミイの初顔合わせです。

ミムラ夫人の子育てはダイナミック。
叱るのが嫌いで、子どもたちがケンカしてもちょろっと水を掛けてお終い。
ムーミンママは台所を荒らされ、ムーミンは部屋を占拠されて、大弱り。
困り果てたムーミン一家は策を巡らせ、なんとかお引き取りいただくものの、
こっそり隠れていたちびのミイが居すわってしまいます。
ムーミンパパが電話をかけますが、「子どもに不自由はしてないから」と
ミムラ夫人は引き取りを拒否。
ミイはムーミン屋敷で暮らし始めるのでした。

さて、ターコイズブルーが爽やかなミムラ夫人のマグには
シリアルとフルーツ、ヨーグルトを入れてみました。
子どもが何十人いても手間なく食べさせられるシリアルは忙しい朝にぴったり。
ヨーグルトではなく牛乳でさらさらと食べてももちろんOK。
マグでは物足りない方は同じ絵柄のボウルで召し上がれ。

text: 萩原まみ(too)

かわいい皮肉屋、リトルミイ。

車のCMにも起用され、主人公ムーミンの人気をしのぐ勢いのリトルミイ。
フィンランドでも特に女の子から圧倒的な支持を得ているそうです。

ミイのいちばんの特徴はなんといっても小さいこと。
裁縫かごで寝起きしたりスナフキンの帽子に座ったりできちゃうほどです。
といっても、そもそもムーミンってどれぐらいの大きさなんでしょう?
原作者のトーベ・ヤンソンの答えは「電話帳ぐらい」だったそうですが、
肝心の電話帳のサイズもあまりはっきりしていません。

とにかくムーミンやミムラねえさんと比べて、ミイは格段に小柄。
ちびのミイ、リトルミイという名前もギリシャ語で最小を意味する
μ(みゅー)に由来します。

ミイの母は子沢山のミムラ夫人。
『ムーミンパパの思い出』(講談社)で20番目の娘として誕生しました。
同書の最後、思い出を語り終えたパパと旧友が再会するシーンでは
ミムラ夫人の子どもは36人に!
妹弟ができても、ミイはやっぱり小さいまま。
その後、長女のミムラねえさんとムーミン谷で暮らすようになり、
『ムーミンパパ海へいく』(同)ではムーミン一家の養女になりました。

ミムラ族特有のおだんご頭がキュートなリトルミイですが、
その性格はハードボイルド。
誰にでも遠慮なく自分の意見をズバズバ言うだけでなく、
怒るとガブリと噛みつくことも!
もじもじしがちなムーミンの背中を押してくれる存在でもあります。

平成アニメ『楽しいムーミン一家』のイメージが強いため、
ミイというと赤いワンピース姿がパッと思い浮かびますが、
昭和アニメでは黄色のワンピースを着用。
原作小説の挿絵やコミックスではたいてい無地で、
モノクロなので色はわかりません。

2008年、リトルミイのマグは、緑色の「Little My Sliding」から
黄色ベースの傘をさしている絵に切り替わり、
小さいお子さんにも好まれそうな楽しい雰囲気になりました。
アラビアマグに登場するミイの服は絵本版が採用されています。
旧緑マグのストライプの服は『さびしがりやのクニット』(同)、
新黄色マグのドットのワンピースは『それからどうなるの?』(同)
で着ているものです。

鮮やかな色使いのミイのマグにはトマトジュースが似合いそう。
ミイをイメージしてピリリと辛いタバスコ、酸っぱいレモンをキュッと加えて。
大人の方はウォッカも足しちゃえばブラッディ“ミイ”になりますよ!

text: 萩原まみ(too)

子ねこに注ぐ視線が優しい、二代目スニフマグ。

茶色から、パステルグリーンへ。
リトルミイに続いて、新デザインに切り替わったスニフのマグ。
正直、ミイは人気キャラだし、落ち着いた印象の緑から
子どもにも受けそうな元気な黄色へのモデルチェンジは、なるほどと納得。
が、スニフは、こういってはなんですが
登場頻度の割には、日本ではそんなに人気の高いほうではないキャラクター。
新マグへの切り換えは意外でした。

ムーミントロールにとっていちばんの遊び友達、スニフ。
キラキラしたものが大好きで、欲張り。
怖がりやで、拗ねやすくて、口癖は「げろはいちゃう」。
ときに足手まといにもなるスニフですが
自分より小さいもの(ミイは別ですが)をかわいがる優しい一面もあるんです。

『ムーミン谷の彗星』(講談社)では
かわいい子ねこを見つけてミルクをあげたり、話しかけたり、
友達になろうとけなげな努力をします。
でも、気まぐれな子ねこはいっこうにスニフに懐いてくれません。
ムーミン谷めがけて接近してきた彗星がいよいよぶつかろうかというとき、
スニフは子ねこを探して安全な洞窟を飛び出します。
また、スニフが主人公の短編『スニフとセドリックのこと』
(『ムーミン谷の仲間たち』収録)を一読すれば、
スニフ観(?)が変わることでしょう。

コミックスのスニフは、小説よりやや大人の設定。
特にいちばん最初のムーミン童話『小さいトロールと大きな洪水』(講談社)では、
小さな弟のような存在だったスニフが
ムーミンをそそのかして金もうけを企むちょいワルに変身しています。

この新デザインのマグで、
子ねこをぎゅっと抱きしめているスニフですが、
これとまったく同じカットは原作には存在しません。
コミックス『ひとりぼっちのムーミン』(筑摩書房)の絵をベースに、
デザイナーのトーベ・スロッテさんが他の場面に出てくるねこの姿を
描き加えたんだそうです。

優しいペパーミントグリーンのマグには淡いピンク色のレモネードを。
『ムーミン谷の彗星』の売店で、スニフは「赤いレモン水」に飛びついていましたっけ。
海外ではピンク色のレモネードが市販されていますが、
日本ではあまり見かけません。
ラズベリーでもストロベリーでも生か冷凍の赤いフルーツをマグに入れ、
スプーンで軽くつぶします。
硬いときは、マグのまま、軽く電子レンジにかけてもOK。
そこにレモン1個分の果汁を絞り入れ、蜂蜜などで甘みをつけます。
水orソーダで割れば出来上がり。
くれぐれも飲み過ぎて“スニフしちゃう”(ゲ◎はいちゃう)ことのないように!

text: 萩原まみ(too)

映画『かもめ食堂』でミドリさんが使っていたマグ。

フィンランドの名品の数々が登場、
北欧好きの心をくすぐってやまない映画『かもめ食堂』。
そのなかで、片桐はいりさん演じるミドリがコーヒーを飲むときに
使っていたのがヘムレンさんのマグ。
小林聡美さん扮するサチエ愛用のオリゴマグとの、あえて統一しない
組み合わせが新鮮でした。

ヘムレンさんの種族名はヘムル。原語でヘムレンというのは
「そのヘムル」という意味だそうで、複数の「ヘムレンさん」がいます。
ヘムル族の慣習で、男性もスカートを履いています。

ヘムルの多くは高齢の男性で、収集家タイプ。
昆虫、切手、植物などを統計立てて収集、きちんと整理し、分類することを好みます。
アニメでも、植物が好きな独り暮らしのおじいさんとして描かれていました。

マグに登場しているのも『ムーミン谷の彗星』(講談社)に
出てくる昆虫採集のヘムレンさん。
ボトル入りの虫の絵がユーモラスです。
マグには描かれていませんが、実はヘムレンさんが虫眼鏡で覗いているのは
ぽっかりと口を開けた地面の割れ目。
新種の虫かと網ですくいあげたのは滝に落ちる寸前だったムーミンと
スニフ、スナフキン!
まったく意図せず、ヘムレンさんは3人の命の恩人になったのでした。

一方、スポーツや音楽が大好き、
陽気だけど空気が読めないタイプのヘムレンさんもいます。
冬限定マグによく登場するスキーの好きなヘムレンさんがその系統に属しています。

ほかにも『ムーミン谷の仲間たち』(講談社)の『しずかなのがすきなヘムレンさん』に
出てくる、騒がしいことが嫌いなヘムルらしくないヘムレンさんや
『ムーミン谷の夏まつり』(同)に登場する気の弱いヘムルのむすめなど、
いろんなタイプのヘムルが存在します。

きれいな紫色のヘムレンさんマグではコピルアックもいいですが、
ぜひ、緑茶か昆布茶を。
塩昆布に梅干しを入れ、お湯を注いだ梅昆布茶も、二日酔いの朝などにオススメです。
ペットボトルのお茶を電子レンジで温め直して飲む、なんて
ズボラなワザも、マグなら楽々です。

text: 萩原まみ(too)

赤白エプロンとハンドバッグがママのトレードマークになった理由は?

いつもエプロンを身につけ、黒いハンドバッグを肌身離さず持っているムーミンママ。
ハンドバッグには乾いた靴下や糸きれ、キャラメル、おなかの薬など、
ママを頼ってやってくるみんなの世話を焼くために欠かせないものが入っています。
エプロンは、いつも忙しく家事をこなすママの象徴ともいえるもの。
ですが、原作小説の初期に登場するママはエプロンをしていないんです。

実はムーミン族、外見は全員そっくり。
ぱっと見、誰がムーミンで誰がパパでママか、区別がつきません。
イギリスの新聞にコミックスが掲載されることになったとき、読者が混乱しないよう、
ママはエプロン、パパはシルクハットがデフォルトと決まったんだそうです。

日本のアニメの昭和版ではムーミンは青、パパとママはグレーと、
体に色がついていました。
しかし、本来、ムーミン族の体は白色。
平成版でもムーミンはブルー、パパはグレー、ママはクリーム色と、
色はついていますが、全体に薄い色になりました。

ムーミンママのモデルとなったのはハムの愛称で親しまれた
トーベ・ヤンソンの母、シグネ。
フィンランドの切手のデザインを数多く手がけた挿絵画家で、
アラビアから50年代に発売された初期のムーミンフィギュアの原型も
ハムの手によるものです。

「Moominmamma and the berries」はどこか懐かしい雰囲気の暖かなレッド。
ベリーを摘むママの絵は頭に飾った薔薇から推察すると、絵本
『それからどうなるの?』(講談社)の
挿絵がベースのようですが、絵本のママはエプロンをしていません。

マグをはじめ、アラビア社のムーミン食器のデザインは
デザイナーのトーベ・スロッテがすべて一手に引き受けています。
食器やカトラリーの形状に合わせて原画を組み合わせたり
必要な部分を描き加えたりアレンジをしているのだそう。
マママグの場合はエプロンが追加されただけでなく、
目も大きく、優しい表情に変わっています。

マグの絵に合わせてベリージュースを飲むのもいいですが、
赤い色が映えるものを考えて、プリンを作ってみました。
卵1個に砂糖大さじ1、牛乳100ccをよく混ぜ、茶こしなどで漉します。
マグがすっぽり入る鍋にお湯を沸かし、ラップで覆ったマグを入れたら
蓋をして弱火で約10分。
ふるふると固まったら、火を止め、蓋をしたままさらに10分。
冷蔵庫で冷やしてどうぞ。
カラメルの代わりにベリージャムを添えてもいいかもしれません。
お母さんの手作りプリンを思い出す、
優しい味わいです。

text: 萩原まみ(too)

釣り竿を片手に、裏面では頬杖をついて、思索にふけるムーミンパパ。

冒険家を自称し、『ムーミンパパの思い出』(講談社)では
「思い出の記」を執筆する作家でもあるムーミンパパのふたつの面が
とてもよく現れています。

「思い出の記」によれば
パパは赤ん坊の頃、捨て子ホームの前に捨てられ、
窮屈な子供時代を過ごします。
自由と冒険に憧れ、ホームから脱走。
そして、発明家のフレドリクソン、スナフキンの父のヨクサル、
スニフの父のロッドユールと共に大航海に乗り出すのです。

ムーミンママと知り合って、自分の手でムーミン屋敷を建てたパパ。
ムーミン谷に落ち着いてからも冒険心に駆り立てられて
ニョロニョロと旅に出たり、一家を連れて孤島に移住したり、
ちょっとはた迷惑な一面もあります。

そんなムーミンパパのモデルは作者トーベ・ヤンソンの父ビクトル。
ヘルシンキのエスプラナーディ公園の噴水にも作品が残っている
著名な彫刻家ですが、収入は不安定で、トーベの母のシグネが挿絵作家として
一家の生活を支えていたそうです。

1999年から現在も作られている「Moominpappa in his thoughts」は
家族でマグを揃えたとき、お父さんでも抵抗なく使えそうな
黒一色のクールなデザイン。
マグだけでなく同じ絵のプレート、ボウルも人気が高く、
いったんすべて廃盤になったプレートのなかで、なぜかパパだけが再登場。
日本のイッタラショップでも販売されています(2012年11月現在)。

何を入れてもさまになるマグですが、
お酒大好きなムーミンパパにちなんで、
クリスマス時期に飲まれるフィンランドのホットドリンク、
グロッギはいかがでしょう。
赤ワインかクランベリージュースに
シナモン、カルダモン、生姜、レーズン、アーモンドなどを入れて
鍋で温め、蜂蜜か砂糖でお好みの甘さに。
読書や物思いのお供にどうぞ。

text: 萩原まみ(too)

ムーミンはカバじゃなくて、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンが
・・・・・てな説明はさすがにいまさら不要(と思いたい)ですが、
ざっくり基本的なことに触れておくと、原作者のトーベ・ヤンソンは
「ムーミンって何?」との問いに「存在するもの」と答えたそうです。
妖精よりはもっと身近な存在で、
悪さをしない妖怪に近いようなイメージでしょうか。

トーベ・ヤンソンが挿絵と文の両方を手がけた原作小説は全9作、
1945年の『小さなトロールと大きな洪水』から
1970年の『ムーミン谷の十一月』まで約26年に渡って執筆されました。

1954年、イギリスの新聞『イブニング・ニューズ』で
トーベと弟のラルスによるコミックス版の連載が始まり、
40カ国以上の新聞に掲載されて、人気が拡大していきました。
原作小説だけでは限りがあるため、アラビア社のムーミン食器の
絵の多くはコミックス版から採られています。
1969年と1972年、日本で二度、アニメーション化。ムーミンと聞くとつい
♪こっち向いて♪と歌ってしまう人は昭和ムーミン世代です。
1990年、『楽しいムーミン一家』として日本で三度目のアニメ化。
フィンランドを含む世界約100カ国で放映され、ブームを巻き起こしました。

1999年、アラビア社がムーミンマグのデザインを
大きく一新するにあたって最初に作られたのがムーミンパパ、ムーミンママ、
そしてこの「Moomintroll on ice」。
“ムーミン”というのは種族名なので、固有名詞としては
「ムーミントロール」が正式な名前。シリーズの主人公で元気な男の子です。

氷の上のムーミントロールの絵はコミックス『ムーミンパパとひみつ団』(筑摩書房)
収録の『やっかいな冬』から採られていますが、
原画ではシマシマの海パン着用。そう、その数コマ後の
海に飛び込んでいるシーンが2006年の夏限定マグ「The dive」です。
『やっかいな冬』の絵は冬限定マグにもたびたび登場しています。

後ろ姿のほうはというと、実は出典が突き止められていません。
なぜなら、コミックスの1コマ目はムーミンの丸くてかわいい
お尻から始まるのがお約束。似たようなカットが多数あるのです。

10年以上、定番中の定番として親しまれてきた
このムーミントロールのマグ、2012年に廃盤が発表されました。

色みは違うけど、フィンランドの国旗を連想させる白と青のみを使い、
ベースの白を氷に見立てたデザインは、シンプルで秀逸。
廃盤になったムーミン食器は一気に品薄になり、
プレミアがついてしまうので、今のうちにキープしておくことを
オススメします。(私も予備の予備の予備を買わねば!)

そんな「Moomintroll on ice」で飲みたいのはフィンランド人が大好きなコーヒー。
永遠に飽きることのない、定番中の定番の組み合わせです。

text: 萩原まみ(too)

うちにはアラビア社のムーミンマグがほぼすべてあります。

カイ・フランクがデザインしたteemaベースのムーミンマグは現在57種。
そのうち普通に買える現行品は21種です。

夏冬限定、店舗限定、数量限定などのイレギュラーなものを除くと、
デザインのパターンは2つ。

まずは、ベースカラーの上にモノクロ原画が数種類乗っているもの。
製作期間は1990-2002ですが、ピンク色の「LOVE」だけが唯一の例外で
1996年から今も作られています。

キャラクターをどんっと全面に押し出し、
把手を右にしたときに正面、左にしたときに後ろ姿が
描かれているのが現在のパターン。

今回紹介する「Daydreaming」は
ヘルシンキのアラビアファクトリーで
2005年、「Moomins at Arabia展」が開催されたことを記念して、
2005個限定で作られた幻のマグです。
オークションでは10万円以上の高値がつくこともあります。

『ムーミン谷の夏まつり』(講談社)の冒頭、ムーミントロールが
ママお手製の木の船のことを思いながら、
池のほとりにねころんでいるシーン。
ぐるりと1枚の絵がプリントされている珍しいパターンのデザインで、
着色もなく、原画そのままに見えますが、
実は幅の足りないところを補うため、ムーミンの左右の植物を組み換えて
配置し直しています。

これは私のムーミンコレクションのなかでも最上級に大切なもののひとつ。
ちなみにうちにないムーミンマグは最初に作られたcartoonの2種と
400個限定のFazer Cafeのクリスマスマグの3個です。

text: 萩原まみ(too)