2006 フィンランド紀行

 
皆様初めまして。
すすめるデザインでお馴染みの「ワダケンジ」氏のお父様の知り合いの谷野大輔です。
私どもは1階がカフェ、2階をデザイン事務所として愛知県の豊橋市を起点とし、東へ西へと活動しております。偶然にも1階のカフェで「ティーマ」を使っているということがきっかけとなりまして、昨年のバードカフェ以来、SCOPEの皆様と仲良くさせて頂いております。おまけに「森のブロックメモ」もめでたく商品化。もう思い残すことはございません。お買い求め頂きました皆様、本当に有り難うございました。 この様に、紙に線を引いたり、設計をしたり、コーヒーを飲んだりしながらフラフラ生きているので、皆様の本当に知りたい所に直球を投げ込むことが出来ませんが、ショッピング中のコーヒータイムとしてお立ち寄り頂けましたら幸いです。
谷野大輔 谷野大輔(たにのだいすけ)
有限会社ノクトルーノ代表取締役。愛知県豊橋市でカフェを運営する傍ら、「フォノンデザイン」として建築、グラフィックデザインなど幅広く手掛けている。
1974年千葉生まれ
1999年名古屋芸術大学大学院修士課程(デザイン)卒業。
2000年2月愛知県豊橋市にフォノンカフェルームオープン。
2001年にフォノンデザイン開業
2005年フォノンの建物が商環境設計家協会JCD主催の
     デザイン賞に於いて奨励賞を受賞。
白樺  
 


2月中旬、フィンランドはマイナス16℃。日本より9時間半とヨーロッパの街では一番近いこの街。機中より見下ろすとそこは一瞥してその寒さが伝わり、外へ出て絶句。(この渡航の少し前、知り合いのパティシエにマイナス20℃の冷凍庫へ入れていただいたが、コンプレッサーの音だけが耳に残り、寒いは寒いのだけれども、ここまで身にしみることは無かった。)近頃見かけなくなったスパイクタイヤで武装したタクシーにゆられ中心部へむかう。職人的芸当で雪道を操るドライバーの腕前にひたすら感嘆の道中。自動車ラリーで雪のステージにめっぽう強いのが北欧人であることは子供の頃から知ってはいたが、20数年後のこの日見事に腑に落ちたのであった。どうやら人々はこの気候での生活を経て、結果ラリーで速いという事のようだ。

この様に、早くも道中からブツブツと目に映る光景をあーでもない、こーでもないとやっていると、街中を縦横に走るトラム(路面電車)が雪の中から現れては消える。これがヘルシンキの街へ入ったことを意味するのだが、一国の首都としてはあまりに小さな町並みに、これまた驚くのである。
私達の宿となったのは中央駅にほど近いデザイナーズホテルで、その窓からは中央駅はおろか、中央郵便局、はては国会議事堂の屋根辺りまでは見渡せるといった具合だ。聞けば街のサイズは約2キロ四方。後はひたすら森と湖というから、人々が木を削ったり、布に絵を描いたり、ガラスや陶器をこねたりして生きてきたのが解る気がした。

予定している文章量からすると、完全にバランスを逸した長い前置きはこの辺として、この旅の目的は昨年大好評のうちに終了した「バードカフェ」のお礼と報告を兼ねたイッタラ詣でである。「楽しい鳥達を有り難う」「イッタラの食器ウチのカフェで愛用しています」の二言の為に、ベスト観光シーズンを大幅にハミ出し、凍てつくフィンランドまで行く事となったのだ。それだけ伝えるのならば、あらゆる手段が選べる今日。しかし、冷静に考えればフィン語も英文も超不得手につき、どちらにせよニヤニヤすることぐらいしか出来ないので、行くだけ行ってニヤニヤする。これが武士。サムライである。


本社・工場ともScope平山氏書き下ろしの正確かつスバラシイ出張記録と同じく、驚くばかりの手厚い歓迎と好待遇。重複するので大幅に割愛するとして、ここでは市内より北に位置するヌータヤルヴィ工場での出来事について少々。
バードを始め、数々のアートピース(ガラスの手作業製品)が造り出されるのがこの地ヌータヤルヴィ。隣接するのは冬季休業の博物館で、まずはここからご案内いただいた。複雑な国の成り立ちを踏まえ、この工場から送り出された数々のガラスに出迎えられる。処女作のバードもカルティオもここで出会える。

一同大いに盛り上がったところで核心の工場内へ、外とはうって変わって灼熱のガラス工房である。目に飛び込むのは、二つの3人編成のチームでのんびり造り出される「バード」。全世界に飛び立つバードが、この少人数でまかなわれていることを思うと、我が家の鳥達が何やら途方もない物に感じる。
おまけに作者オイヴァ・トイッカ氏にも出会うことが出来、目の前の出来事がDVDで観た状況と寸分の狂いもないことを思い知らされた。脚色ゼロは私が保証する次第である。とにかく正直に、黙々と、真摯に作業を続ける人々の姿は、日々デザインを生業とする私の目にはウロコであった。
ちなみに失敗作は愛なく「ガシャーン」とブッ壊され、「それほしいなぁー」と言うが早いか壊すが早いかの瞬時の出来事。廃ガラスは建材として再利用されるそうだが、廃ガラスとしてはあまりの美しさであったことを記憶している。

こうして「へー」とか、「ホー」とか「グッドジョブ!」と連日連発していると、あっという間に帰国をむかえてしまう。そして約束の「2000文字程度」もあっという間。
この貴重なページに文章を寄せることになったのは帰国してからなので、旅行者の目線となってしまったが、無理矢理総括へ突き進まなければならないので、ここらで「グイッ」とデザイナーの目線へ。


昨今の北欧ブーム。私とて仕事柄情報には事欠かないと思っていた。しかし、実際に私の見た街はズバ抜けてモダンでもなければ、ナチュラルづくしでも無かった。もっともアールト設計のレストランサヴォイ・フィンランディアホール・アカデミア書店等は街中に点在するものの、それを抱く街自体は歴史を重ねた古い町並みであった。日本で想う北欧と誤差を感じたのはこうした事由からであろう。但し、私達の手にするイッタラ、マリメッコ、アールトの家具等は文字通りの「モダン」である。悩みながらこれら二つの対象を結びつける手段として、導き出した回答はこうである。これらの商品というのは、ひょっとするとこの国の人々の願望の形なのではナイかと・・・。極東の私達が手にするものは皆、そうした願望を伝達し、私達がイメージ造り出来るだけの強さを備えていた。裏を返せば、デザインの的確さと精度なのである。人々の想いをデザインを用いて可視的なものにする。デザイナーにとっては夢のような話しである。

厚い雪にとざされ、隣国からの侵略にさらされ続けても、「伝えるべきこと」「かく在りたい」と思う願望・・・。話しがクドクドしてきたのでそろそろ結ぶが、
春を待ち望む人々が春色の食器で、春色のテーブルクロスで、温かい灯火で、この街に生きている。
外は寒いが何とも温かい話しである。

(この旅で、同行を快諾くださった日本代理店の最近偉くなった人。そしてイッタラ・アラビア本社の偉い人。通訳のトモコさん、工場長さん、不在中カフェを守ったウチのスタッフ達、同じく不在中、いつもより5倍ユルく仕事をこなしたスタジオグラッペリ竹内氏にこの場をお借りしてお礼致します。)

フォノンデザイン・フォノンカフェルーム


↓各画像クリックで拡大
アールト
▲今年はフラワーベース誕生70周年記念だそうです。この他にもひと味違う新色が各種登場の予定みたいですよ。今から楽しみです。

HELMI
▲アラビア社製のHELMI(ランプ) こちらも国内未入荷モノ!買える物はSCOPEで、買えない物は本国で! ゆらゆら揺れる姿が印象的です。底が完全な円形なので、ロゴマークはこの 様にサイドに!こうして北欧の人々は長い夜を楽しむのでしょうね。

Birds
▲70年代に初めて作られたバード。リアリティ というよりは、物語性が強い「鳥」の印象を 受けました。

カイ・フランク展
▲アラビア博物館で開催のカイ・フランクの回顧展。本当はこれを詳しくお伝えすべきだったのでしょう。

パラティッシ?
▲これはパラティッシを連想させるカイピアイネン作のアートピース。デザインはここから来たんですかねぇ。生産終了となったパラティッシブラック。私もファンの一人でございました。背景を見る思いです。

アラビア 業務用食器
▲アラビア社製のカップ。街のいたるところで見ました。日本未入荷だ そうですが、業務用としてポピュラーな様です。ご覧の通り取っ手が ナイのは、推測するに外出先から真っ先に手をあたためる為では無い かと、深読みしています。ウチの店でも使いたいなぁー(下心)

アールトボウル
▲アールトが設計したレストランサヴォイでのヒトコマ。デザートの食器もアールトでした。感動で味覚えていません。ご招待頂いた日本代理店の偉い人に感謝。

わんわん
▲比較的体毛の薄い彼?彼女?。にとっては厳しい季節 なのでしょう。ナイス着こなし。

 
下も見てね 今回寄稿いただいた谷野氏が運営する
フォノンカフェルームをちょっぴりご紹介
お近くの方はぜひ足を運んで見てくださいね。



フォノンカフェルーム│
phone 0532 66 0020│金曜定休│午前9時〜午後7時│
440-0858愛知県豊橋市つつじが丘2丁目19-6
■名古屋より東名高速音羽蒲群IC下車(35分)
  →国道1号線豊橋方面(25分)→259号線
  →中松山信号左折(10分)
■浜松より浜名バイパス終点下車(20分)
  →国道1線豊橋方面(20分)瓦町信号左折(5分)
■JR・名鉄豊橋駅下車・豊鉄バス4番乗り場
  より西口行き・才ノ神下車徒歩2分
※2005年度PHONONの建物は商環境設計家協会JCD主催のデザイン賞に於いて奨励賞を受賞。建築物も必見です。