12世紀から
毛織物を続ける村の毛布

ポルトガル本土で最も標高の高いエストレラ山脈の奥深くにある牧草地に12世紀から羊毛業に携わってきた山合いの小さな村、マンテイガスはあります。
日本で羊毛業が始まったのは100年程前。
そして、日本で12世紀といえば平清盛、源頼朝の時代にまでさかのぼるわけですから、その歴史と伝統の奥深さは圧倒的です。 そのとてつもなく長い年月、この地域は高品質のウール・丁寧な手仕事・高い美意識で名声を得てきており、毛織物がこの地域の シンボル、アイデンティティであり続けています。
そして、この地域に受け継がれてきた伝統的な手法をそのままに、文化的な遺産といえる品質を維持し広めるため、20世紀初めに設立されたのが今日まで3代にわたり家内企業として毛織物を作り続けているECOLAです。

ありのままの色

ECOLAの毛織物は、なんと羊を飼うところから始まります。除草剤や化学肥料などが使われていない広い牧草地で、のびのびと育てた羊たちの毛を5月に刈り取り、そこから良質な部分を丁寧に選んで使用します。また、ECOLAでは基本的に羊毛の染色は行っていません。まさにありのままの色。羊の色です。そのため色目に個体差がでてくる事があります。購入した年でその柄が濃かったり薄かったりするのもそれが理由です。さらに、化学染料を使わず自然の色合いのままの織物に仕上げるため、繊維は内部のタンパク質を保持したままの完璧な状態。だから自然な伸縮があり、体にフィットし捻りが加わっても元の状態に戻ります。非常にしっかりとした触感があります。

自然の香り、羊の香り

花こう岩の地層で濾過された汚染のない標高1400mから取り込まれる天然の湧水(一定温度:7℃)で羊毛を洗浄します。 製品に仕上がるまでに化学物質は使われておらず、その類まれなこだわりぶりは製品への圧倒的な信頼に直結しています。その証ともいえるのが、その香り。化学洗剤を使った強力な洗浄で、羊毛の持つ脂分を落とすことをせず、湧水でのみ洗浄するため、羊毛が脂分をしっかりと保っています。そのため、羊毛が本来持つ脂の匂い、羊の香りがします。それが、また心地良いのです。そして、流石に手織りではありませんが織機で織られ、その他の仕上げ作業、フリンジの作成、ラベルの縫いつけ、ステッチなどは全て手作業で行われています。

終わらない物

こんな世の中だからってわけではないけれど価格だけではなく、環境の事を考えながら物を選びたい。そんな事を考えるとECOLAは素直にエコだなって思います。自然に害がないというより自然と共存しているような物作り。大きく変わる事なく続いている、その美しい物作りの姿勢が大事に使い続けたいという気持ちを僕達に与えてくれます。環境に優しく、手にすると捨てられない、終わらない物。 それこそ、真にエコな物ですよね。混入物があったり、ちょっとした染みがあったりはしますが広く流通している毛布にはない、大きな価値を持つ純粋な毛布。とても温かいです。

2012年5月、どんなところで、どんな人たちがエコラを作っているのか?どうしても見てみたくて、ポルトガルのマンテイガスまで取材に行ってきました。アルバムとムービーをどうぞ。