メンテナンス その2 シフトワイヤーの調整 (SISの調整)
スポーツ自転車を買うと、その変速の気持ちよさに驚くかもしれません。
ところが長く乗っていると、だんだんと最初のころのような気持ちのいい変速をしなくなってしまいます。
変速の性能はパーツの精度にかかっている部分が大きく、一般に高いパーツであれば変速の性能も上がります。
しかしどの変速機にしたって、ワイヤーを引っ張ることでディレイラー(変速機)を動かし、シフトチェンジをするという基本的な仕組みは共通です。
ワイヤーが伸びてしまうと思ったような変速フィーリングが得られなくなります。
しかも新品であればあるほどワイヤーが伸びやすいのです。
新品の自転車を組み立てるとき、ワイヤーをぐいぐい引っ張って「初期伸び」をとる作業を行いますが、それでもやはり、だんだんとワイヤーは伸びていきます。これはもう仕方のないことです。
そこで今回はワイヤーの調整について説明します。
おもに後ろの変速機について説明します。
(※シマノ製のロードの変速機(トップノーマル)についての説明です。
最近のマウンテンバイクで主流になりつつあるローノーマルの場合は方法が異なりますのでご注意ください。)
それと、以下の調整を行うためにはタイヤを空転させないといけないので、メンテナンススタンドが必要になります。
とりあえず最初にシマノの説明書を抜粋します。
…こんな感じです。
このとおりにすれば変速はスパッと決まるようになります。
ですが、これで終わってしまってはこのコーナーの意味はない!
それにこの説明ではちょっと分かりにくい部分もありまして、特に「レバーの遊び分だけ操作」というのは非常に微妙です。
なかなか分かりにくい部分です。
そこで以下、当店での調整方法をご紹介します。
写真はリアディレイラー(リア変速機)を後ろから見たところです。 AとBのボルト(ネジ)とCの調整ボルトでリアディレイラーの調整を行います。 ですがAとBはよっぽどのことがない限りいじる必要はありません。 最初にしっかりとショップで調整してあればこの二つのボルトの役目は終わりです。 今回いじるのはCの「調整ボルト」。シマノの説明書にも登場していますね。 ワイヤーに直結していることからも分かるように、この「調整ボルト」をいじることでワイヤーの張り具合を正しくし、正確なシフティングができるようにします。 |
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まずフロントのギアをアウターギヤ(大きいほうのギヤ)に… |
次にリアのギヤをサードギヤ(小さいほうから数えて3番目のギヤ)に入れます。 | |
説明しておくとこの「調整ボルト」を時計と反対周り (つまり自分のいるほうから見て奥のほう)に回すと チェーンはギアの大きいほうへ(つまり奥のほうへ)少しずつ動いていきます。 「奥に回すと奥に動く」。けっこう分かりやすいんじゃないでしょうか。 それと逆で、時計回りに回すと、チェーンはギヤの小さいほうへと動きます。 「手前に回すと手前に動く」わけです。 |
それではここからが本番です。 クランクを回しながら、調整ボルトを奥のほうへ(時計と反対回りに)と回していきます。 ここで重要なのは「音」です。 チェーンがシャーッと回っている音をよく聞きながら作業を行ってください。 |
やがてチェーンの側面が4番目のギヤの側面とこすれだして 「シャリシャリシャリ…」と異音がし始めます。 この音が聞こえ始めたら次はボルトを手前に(時計回りに)回していくと この「シャリシャリシャリ…」という異音が小さくなっていきます。 ボルトを少しずつ回していって 異音がちょうど消えたところから、さらに2分の1回転、ボルトを手前に回してください。 |
たいていはこれでうまく変速するようになるはずです。
実際にクランクを回しながら変速をしてみて、その具合を確認してください。
そういえば「SIS」っていったいなんやねん?という説明を忘れていました。
「Shimano Index System」の略です。「位置決め機構」とも呼ばれますが、要するに変速のシステムのことです。