ぺんき屋モリエン 塗装Tips
 

 

【可塑剤移行の問題】



<現象>
コーキングの上に塗装をしたところ、1年後にコーキングの上の部分だけ
汚れがついて、コーキングの跡が目立ってしまった。

塩ビ鋼板を塗り替えたところ、半年で全面に埃などがついてしまい
大変汚くなってしまった。

これらの現象は、可塑剤の移行が原因です。


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<可塑剤の移行とは?>
可塑剤というのは、コーキングや塩ビ等のゴム類や樹脂に入っている添加剤です。
ゴムや樹脂の柔らかさを維持する役目を果たしています。

可塑剤を含むゴムの成分の一部は、ゴム(樹脂)同士をくっつけて
置いておくと、片側のゴムから、もう片方のゴム(樹脂)へゆっくり
と成分が溶け出していきます。

ゴムに塗料を塗った場合も同じように、成分が塗料へ移ってきます。
可塑剤の入ったコーキングへ塗装を行うと半年から2年ほどかけて
ゆっくりとコーキングの可塑剤が、塗料へ染み出してきます。

この現象が可塑剤の移行です。

ゴムや樹脂の種類によって移行する可塑剤の量に大きな違いがあります。
ポリサルファイド系やシリコン(ピュア)系のコーキングは、可塑剤の移行する
力が強いです。(問題が起きやすい)
 

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<可塑剤が移行するとどうなる?>
可塑剤が移行し塗膜表面に達すると、表面がネバネバし、ゴミがつきやすくなります。
塗装面が汚れてしまい、黒ずんだり、カビが生えたようにも見えることがあります。
 

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<防止策>
方法は2タイプあります。
1.可塑剤の少ないノンブリード型のコーキングを使う
もともと塗料に移行する可塑剤のあまり入っていない、コーキングを使うことで回避します。

2.可塑剤移行防止プライマーを使う
可塑剤の移行を防ぐプライマーを塗ることで、可塑剤の移行を防ぎます。
プライマーの種類や施工条件によって性能に差があります。
ポリサルファイド系やシリコン(ピュア)系のコーキングには、効きません
塩ビ鋼板には、塩ビ鋼板用プライマーなどがあります。

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<予防方法>
アルキッド樹脂系塗料を使った場合は、以下のことにご注意ください。

・拭き取った布、塗料の付着したシートやダンボール、集めた塗料カスは、
 山積みしたり容器やビニール袋にまとめたりしない。

・拭き取りや洗浄にしようした布きれ、ウエスは必ず水に浸してから
 処分 するか、速やかに焼却処分する。

・ウエスをすぐに焼却しない場合は、水を十分に入れた容器に沈めてフタをし、
 水が蒸発しないように注意する。

・ 安全な焼却設備がある場合は、そこで焼却する。

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<移行防止プライマー>
ブリードオフプライマー
塩ビ鋼板用プライマー
ぺインター20
IP軟質塩ビコート
リフノン
ラフトン逆プライマー


仕様書やカタログの注意事項はすみずみまでよく読んでからペイントして下さい。

「塗装仕様」部分だけではなく、カタログ最後の方に記載されている「塗装についての注意事項」欄にも必ず目を通してからペイントするようにして下さい。先に読んでおくことで、作業性アップや安全性の確保につながります。

上記ご説明の中でわかりにくい点、またご不明な点がございましたら お気軽にご相談下さい。

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塗料の基本的な使い方

新設コンクリートへの塗装

石膏ボードの下地処理について

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