明治5年創業。150年以上、日本人のための靴を作り続けている『大塚製靴』公式オンラインショップ(楽天店)




“Craftsmanship since1872”では、大塚製靴の持つ靴作りの技術や素材についてご紹介致します。
「なぜその技術が良い靴を作るために必要なのか」という点から、技術や素材はただ単純に“難しいから価値がある”“希少であるから価値がある”のではなく、良い靴を作り上げるためにそれを使うことが必然であったという事実をお話していければと思っております。



■矢筈(やはず)とは何か

矢筈とは一般的に、矢の一端の弦にかける部分(矢尻の反対側)の事を指す名称である。しかし革靴において【矢筈】と言った時には、それは本底のコバ(革の断面)の仕上げの事を指す。

本底のコバを、その語源でもある矢の一端の弦にかける部分と同じように、三角形の尖った形に仕上げるスタイルが【矢筈】である。この仕上げによって、グッドイヤーウェルテッドにおいて特徴的な厚みのある本底(ソール)を華奢でエレガントに見せる事ができる。元々日本が発祥といわれている技術である。

■矢筈仕上げのためだけに作られた専用のカッター

矢筈仕上げは、あまり頻繁に見られる仕上げ方法ではない。なぜなら、鋭角に削り取る仕上げはただ平坦に削るのとは違い誤魔化しがきかず、高度な技術を必要とするからだ。

そして当然、削るためのカッターも矢筈専用のものを用意する必要がある。右の写真は、矢筈のためのカッターである。刃の形状を見て頂ければ、仕上がりのコバのスタイルも想像して頂けるだろう。高速回転するこのカッターにコバを押し当てて削ってゆく。鋭角の頂点が描く美しいラインを生み出すためには、上下のブレは僅かでも許されない。熟練の職人だからこそ任せられる仕上げである。
■エレガンスにこだわった曲線

“矢筈仕上げ”と言って、くの字にコバを落としただけの単純な仕上げを施した靴をしばしば見かける。しかし、これでは矢筈仕上げの目的を十分に達成しているとは言えない。少しでもエレガントに見せることこそ、矢筈仕上げを施す意味である。

OTSUKA M-5 の靴に施されている矢筈仕上げは、緩い曲線を描くように削りとられており、頂点の部分の角度が鋭角となりよりエレガントに見えるよう計算されている。意匠の一つ一つには必ず目的があるという事を知らしめてくれる部分である。

この技術を使用している靴
■M5-011(外羽根Uチップ)
■M5-100(内羽根ホールカット)
■M5-101(外羽根ストレートチップ)
■M5-102(ボタンブーツ)
■M5-103(内羽根プレーン)
■M5-104(サイドゴアブーツ)
■M5-105(内羽根ストレートチップ)
■M5-107(編み上げブーツ)
■M5-107(編み上げブーツ Black)
■M5-100(内羽根ホールカット)
        DarkOlive

■M5-100(内羽根ホールカット)
        NavyBlue

■M5-101(外羽根ストレートチップ)
        Tan&RedBrown

■M5-110(編み上げブーツ “チェビオットツイード”)