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リフォーム 塗り壁ナビ


既存の下地を生かして塗り壁材でリフォームする場合には、下地の種類・状態によって処理方法が異なります。
大橋塗料で販売させていただいている塗り壁の多くは天然材料であることから、適切な下地処理が仕上がりに大きく影響しますので、お客様に失敗のない下地処理を行っていただく参考になればと考え、このページをご用意しました。

また、DIYで塗り壁を施工される方で、下地の状態の適正な判断が難しい場合や、不明点がある場合などは、どうぞお気軽にお問い合わせください。
石膏ボード・合板下地の固定状態が劣化により悪くなっている場合は、まずボードを貼り直してください。
特に、古い合板の場合はアク・シミを多く含んでおり、下地処理をしても100%アクを止める事ができず、剥離の可能性もあります。
ボードの状態を適性に判断し、状態によっては思い切って貼り直すことがトラブル防止に繋がります。
下地:ビニールクロスの場合
下地がビニールクロスの場合、そのクロスを剥がすかどうかで迷われるかと思います。
もし、クロスがプカプカ浮いていたり捲れたりしていない状態であれば、剥がさずにそのまま下地として使用可能です。
ビニールクロスをそのまま生かす
近年の塗り壁材には、ビニールクロスに直接塗ることの出来る材料が数多くありますが、下地処理をしないで直接材料を塗り付けた場合、綺麗な仕上がりにならないケースが多く発生しています。
特に、下記の内容に該当する場合は、下地処理をしていただく事を強くお薦めします。
リフォームの際には、マスカー等でしっかりと養生していただく事が、綺麗な仕上がりへの第一歩となります。

[Step-@]
まず、洗剤をつけた濡れ雑巾などでクロス表面の手垢などの油ジミを取り除きます。

[Step-A]
クロスが少し浮いている部分がある場合、カッターなどで切り込みを入れて、クロス用ボンドを付けて貼り直しをします。
クロスが捲れてしまった場合や、壁際で剥がれてしまった場合等は、パテ材でその部分を埋めてください。(タッカーやビスなどを使ってクロスの補強をした部分もパテ材で埋めてください)

[Step-B]
もう一つの注意点は、クロスのジョイント部分の状態です。
クロスは月日が経過するとジョイントの部分が離れてきて、浮いてきたり凹凸が出てきたりします。
この状態のまま施工すると、その部分だけやせてラインが出たり、薄い塗り壁材ではクラックが起きてしまいます。(右写真)
ジョイント部分の処理は、パテ材で埋めるか、ファイバーメッシュで補強してからパテ材で平滑にするようにしてください。

[Step-C]
上記A、Bのような状態でパテ材で下処理を行った場合には、必ずシーラー処理【推奨:IPバリアコート(シミ止め効果有)】を行ってください。
これをしないと、水をまったく吸わないクロスの部分とパテ材の部分で、吸い込みムラが発生してしまいます。

以上で、ビニールクロスの場合の下地処理は完了です。
あとは、仕上げ材料の工程通りに塗装作業を進めてください。

ビニールクロスの凸凹に注意!!
左写真のようにクロス表面の凹凸が大きい場合は、塗り厚の少ない材料(0.5〜2.5mm程)では、仕上げ材が乾いて痩せた時にクロスの凹凸柄が仕上げに出てきてしまいます。(仕上げる塗り壁材料の塗りの厚さにもよります)
特に、パターンをフラット仕上げにする場合はお気を付けください

凹凸を埋める為の下塗材は、リクロスフィーラーがお薦めです。
リクロスフィーラー施工後は、仕上げ塗り壁材で施工可能です。
下塗材を塗らずに施工したい場合は・・・
仕上げの材料でシゴキ塗りし、ある程度乾いてからもう一度仕上材を塗る『2回塗り仕上げ』をしていただくことにより、クロスの凹凸はかなり出にくくなります。

お薦め下地材:メーコー リクロスフィーラー
◆リクロスフィーラーは、ビニールクロス専用の下塗材です。   
◆クロスのシミなどを抑えるシーラーの効果と、クロス表面の凹凸を埋めるパテ材としての効果を両方併せ持った下塗材です。
◆1工程で、シーラー処理『シミ止め』とパテ処理を同時に行うことができます。   
◆コテ塗り・ローラー塗り、どちらでも施工可能です。   
◆仕上げ材との相性も良く、塗装後は直接仕上げ材を塗る事が可能です。
ローラー塗りの場合(砂骨材ローラーを使用)
ローラーで塗る場合は、砂骨材ローラー極細目を使用して下さい。
リクロスフィーラーは原液がパテ材のように硬いので、5〜10%程希釈してご使用ください。
なお、うすめ過ぎると目止めの効果がなくなってしまいますのでご注意下さい。
コテ塗りの場合

コテ塗りの場合はそのまま使用できます。
練済みですから、攪拌は不要でスムーズに塗る事ができます。
施工後はほとんどフラット状態になりますので、薄塗りの仕上げ材でも下地の影響が出にくくります。


クロスを葉がして塗り替える

[Step-@] クロスを剥がす

[Step-A] クロスの裏紙を剥がす

クロスの裏紙は必ず剥がしてください。      
裏紙を残した状態で施工をすると、仕上げ材がその部分だけ浮いて影が出来たり、気泡が生じやすくなると共に、いずれ剥離してしまう恐れがありますので、必ず除去してください。

<裏紙の剥がし方>
霧吹きなどで水を吹き付けて湿らせてから、スクレーパーなどで取り除くか、裏紙はがし剤(ヤヨイ化学 クロス用トルトーレ)などで取り除いて下さい。

[Step-B] 下地処理(パテ処理・ファイバーテープ処理)
ボードに凹凸や穴がある場合は、パテ材で埋めてください。
ボードのジョイント部分にクラックが発生している場合は、ファイバーテープで補強してから、パテ材で表面を平滑に仕上げてください。
石膏ボードの劣化がひどい場合は、ボードを貼り直してください。

[Step-C] アク・シミ止めシーラー処理『推奨:IPバリアコートorリクロスフィーラー』
パテ処理が完全に乾いてから、アク・シミ止めシーラー処理をします。       
ビニールクロスを剥がした後でもアクやシミが残っていますので、シーラーを1〜2回塗ってください。
壁の凹凸が多い場合は、リクロスフィーラーを使用すると平滑に仕上げやすくなります。

以上で、クロスを葉がして塗り替える場合の下地処理は完了です。
あとは、仕上げ材料の工程通りに塗装作業を進めてください。

まとめ

ご紹介しました通り、ビニールクロスが下地の場合は、クロスを剥がした場合、残した場合のいずれでも、何らかの下地処理が必要なケースがほとんどです。
新築から月日が経過しておらず、新品同様で凹凸の少ない柄の場合のみ、下地処理無しでも綺麗に仕上げることができます。

下地処理の工程で登場した『リクロスフィーラー』は、クロスの下地処理に最適です。
『シミ止め』効果もあり、多少の凹凸も埋める事ができます。
また、リクロスフィーラーをしっかりと塗ることにより、本来下地としては密着の良くないビニールクロスの表面の密着が良くなり、樹脂が入っていない天然の漆喰や珪藻土も施工可能になります。
作業効率も良いので、リフォームにはお薦めの材料です。

塗り壁材料の商品説明に『ビニールクロスに直接塗れる』と書かれている場合であっても、上記のようにクロスの状態によっては、何工程もの下地処理が必要となるケースがあります。
施工前に、必ず下地の状態をよくチェックしてから作業に取り掛かるようにしてください。


下地:合板(木)の場合
合板下地の場合は新しくても古くても、アク・ヤニ止めのシーラーを塗布して処理します。
【 推奨:IPバリアコート 2回塗り 】
注意!!

合板下地は塗り壁材料、特に漆喰を塗るのには適していませんので、出来る限りボードへの貼り替えをお薦めします。

多くの塗料メーカーから合板のアク・ヤニ止めシーラーが販売されていますが、近年のベニヤや合板、古い合板は非常に強いアクとヤニを含んでいる為、100%ヤニを止めることのできるシーラーはありません。      
合板によっては1回塗りでヤニが止まる時もあれば、3回4回と塗っても黄色いヤニが浮き出てくる場合があります。
特に仕上げに漆喰を塗る場合は、シーラーの段階で黄色いヤニが出ていなくても、漆喰を塗って乾いてから黄色く浮き出てくるケースがあります。(漆喰自体が大量の水分を含んでおり、乾く段階で下地のヤニを吸い上げてしまう為)

また、合板は非常に反りやすく痩せやすいので、合板とボードがジョイントしている部分などは特にクラックが発生しやすくなります。

リフォームでビニールクロスを剥がした下地が合板であった場合には、月日の経過で生じたアクやヤニ、汚れた水分(シミとして出てくる)を含んでいますので、充分気を付けて処理下さい。


ジュラクや砂壁・京壁など古壁の場合

ジュラクなど表面の仕上げ材が劣化していないか確かめてください

古壁に劣化や汚れがなく、しっかりと密着していて剥がれが生じていない場合は、シミ止めシーラー『IPバリアコート』を塗布して仕上げ材の工程に進むことができます。

古壁表面に凹凸がある場合は、シゴキ塗りをして仕上げるか、中塗り材(スーパーカーボンブラスター)を塗ってから仕上げに進んでください。

古壁の劣化がひどい場合には、古壁を除去してください。
(例:表面を触るとポロポロ落ちてくる。霧吹きなどで水を湿らせると表面が浮いてくる等)
特に、古壁にクラックやシミ・カビの症状が多い場合には、古壁の下地から結露・漏水している可能性がありますので、専門業者(工務店・左官屋等)に依頼して調べてもらうことをお薦めします。

古壁の除去は、霧吹きなどで表面を湿らせてスクレーパーなどで取り除いてください。
除去後は土壁や中塗り壁が下地として出てくる場合が多いので、下地として充分な強度があるか確かめてから、シミ止めシーラー(IPバリアコート)を2〜3回塗る、または凹凸がある場合には中塗り材(スーパーカーボンブラスター)を塗ってから施工してください。
なお、下地にクラックが発生している場合には、パテなどで埋めてから施工してください。