第2回
日本とアメリカのアダプターの違いについて

 コラム第2回、今回は時々お客様からいただくお問い合わせについて書かせていただこうかなと思います。

 当店では、直輸入の商品をいくつかお取り扱いしておりますが、中には「専用アダプタ」が付属、もしくは装着されているものがいくつがあります。それらの アダプタには120V向けと書かれていることが多いのですが、それを日本国内の一般的な100V電源に使ったとき、どのような影響があるのかについてご説 明させていただきます。
 120Vアダプター(アメリカバージョン)は、直流9Vで動作する製品のために、家庭のコンセントから供給される電源が交流約120 V(実質117V以下)である米国のユーザー向けに、交流約120Vを直流9Vに変換する電源装置です。対して、100Vアダプター(日本バージョン) は、日本の家庭のコンセントから供給される電源が交流100Vのため、交流100Vを直流9Vに変換するための電源装置です。
 つまり、日本で主につかわれるアダプタは、「100V仕様」なのに対し、アメリカで使われているのは「120V仕様」となっています。こう書くと、まるで全く違うもののように思われるかもしれません。
 しかし、当店では、「直輸入」のエフェクターにアダプタが付属するばあい、120V仕様のものをそのままお付けしております。それは、当店ではもちろん、他の日本の ユーザー様、アメリカのユーザー様にも実際に両方のアダプタをご使用いただき、検証いたしました結果、少なくともエフェクターに関しては大きな違いがないという結論を得ることができましたためです。

 ただ、これだけでは不安に思われるお客様のいらっしゃると思いますので、実際にACアダプタとはどういったものなのか、まずはその仕組みをご説明したいと思います。
 エフェクターに使われるACアダプタは、正確には「AC/DCアダプタ」と呼ばれます。家庭用の交流電流を、各エフェクターにあわせた電圧の直流電流に変換します。
 こ の仕組みは、まずコンセントから交流電流を入力し、「変圧器」と呼ばれる回路(コイルを2つ使った単純なものです)で電圧を降下、つまり減圧させます。続 いて電流の直流化です。ダイオードによって整流を行い、その後コンデンサやコイルを用いて、平坦な電流へと変換するものです
 これはコンセントからの入力が、「交流電流」なのに対し、エフェクターの駆動に必要な電源が「直流電流」のために必要なものなのですが、交流電流で駆動する エフェクターについては、もちろん交流から交流へと変換するアダプタ(AC/ACアダプタ)をお付けします。AC/DCアダプタとAC/ACアダプタの違 いは、仕組みの後半、ダイオード等による直流化が必要かそうでないか、というだけです。

 では、結局120V仕様のものと100V仕様のものの違いは、どういう部分でしょうか?
  • コンセント形状に関しては、日本の製品はそのまま入ります。
  • アメリカの電圧は110V〜120Vです。
 日本は100Vのため、電圧が異なるのですが、一般的にはそのままでも使用可能です

 なぜ使用可能か、ということをご説明いたします。先ほどの仕組みで、アダプタには「変圧器」が入っていると書きました。変圧器とはその名の通り、元の電 流を変圧させ、電圧を変える機器のことです。巻き数の違った2つのコイルによって、電磁誘導をおこなって電圧を変えます。
理想的には、コイルの巻き数によって入力に対する出力の比は常に同じになる形なのですが、実際にはここでかなりのロスがあり、結局アダプタから出力される電圧は、120Vと100Vでほとんど違いがない、ということになってしまいます。
 さらに、アメリカの電源は一般的に120Vとして知られていますが、実際にはもっと低い値のものが供給されています。
 エフェクターはライブハウスやスタジオ等、電源を多く必要とされる場所で的確に動作するよう設計されているため、幅広い誤差に対応できるよう作られていま す。つまり、100Vのコンセントに120Vのアダプタをつけたとしても、そこで出てくる電源は誤差の範囲というわけでして、それによって動作に支障をき たすことはなく、エフェクターを製作したエンジニアが求めた性能を発揮させることができます。

ただ、真空管アンプなどの電圧にデリケートな製品(特にアンプの場合はACアダプタの変圧機が「減圧」でなく「昇圧」を行いますので勝手が違ってきます)は音の違いが大きくなる場合がありますのでご注意ください。
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