メープルシロップとは
Q.メープルシロップって何?
A.メープルは英語でカエデのこと。シロップは蜜ですから、「カエデの甘い蜜」ということです。この蜜は樹液に含まれていて、カエデの中でもとりわけ樹液が甘くて豊富なサトウカエデの木から主に採取します。樹液は無色透明で濃度はなく、上品な甘みがあります。これを煮つめて余分な水分をとばし、十分な甘さと風味に仕上げます。添加物はいっさい加えず、メープル本来の味と香りを生かした天然のおいしい甘味料です。

Q.メープルシロップとメープルシュガーの違いは?
A.メープルシロップをさらに煮つめて水分を完全にとばし、粉末にしたものがメープルシュガー。メープルシュガーの糖度はグラニュー糖や上白糖と同じですので、砂糖と同じ感覚で使えます。メープル王国では、粒子の粗い「顆粒」と細かな「パウダー」の2タイプをご用意しています。

Q.メープルシロップの製造工程を教えて。
A.伝統的な方法では、1本1本のメープルの幹に穴を空けてバケツに樹液をため、これを大樽に集めます。樽は馬車にのせ、シュガーシャックと呼ばれる山小屋風の工場へ。ここで約50分の1まで煮つめると、とろりとした琥珀色のメープルシロップができ上がります。あとはフィルターでろ過して瓶詰するだけ。現在では、メープルの幹に長いチューブを差し込んで真空ポンプによって樹液を取り出し、直接工場に引き入れる方法も採られています。
★製造工程
1.樹液を入れた樽を馬が引いています。   2.樹液を濃縮する、シュガーシャック   3.縮機で約50倍になるまで煮詰めます   4.琥珀色のメープルシロップが出来上がります   5.フィルターでろ過します

Q.メープルシロップの色と風味はどうして生まれるの?
A.樹液自体は無色透明ですが、煮つめることによって黄金色になります。砂糖 がカラメルになるのと同じ変化です。また樹液に太陽が強く当たったり、時期によってミネラル分が多くなると、色のつき方がやや濃くなることもあります。一 方メープル独特の香りと味も樹液が本来もっているもの。煮つめられることで際立ってきます。

Q.産地によって、味や香りは違うの?
A.現実には、いろいろな土地のメープルシロップをブレンドしている製品が多いため、産地ごとの特徴はわかりにくくなっています。しかし、ワインが土地によってさまざまな風味を生み出しているように、メープルシロップも土地ごとに味や香りの個性を楽しむことができます。 メープル王国では、ケベック州産という州単位で産地を限定するだけでなく、州をさらに地方単位に細分化して、アパラッシュ地方、ボワフラン地方という2つの産地のメープルシロップを製品化しています。産地をより小さなエリアに限定し、その履歴を明確にすることによって、安心感や親近感を提供しています。

Q.メープルシロップのカラーの違いは 何?
A.カナダでは、薄いものから順に「ゴールデン」、「アンバー」、「ダーク」、「ベリーダーク」の4種類に分類しています。これは品質の差ではなく、光の 透過率による分け方です。メープルシロップは仕上がりの糖度が一定の数値に決められているため、すべてその数値に達するまで煮つめ ます。もともと糖度の高い樹液を煮つめる時は時間が短くてすみますが、糖度の低い時はやや時間が長くかかるというわけです。時間が短ければ色のつき方は少 なく(透過率が高く)、長ければ色が濃く(透過率が低く)なります。色の薄いほうが繊細で上品な風味で、バニラに似た甘い芳香があります。一方、濃い色の ほうはカラメル香が強く、コクを感じさせます。これらの特徴を生かしながら、用途に応じた使い分けをします。

Q.メープルシロップにカナダ産が多いのはなぜ?
A.メープルシロップは非常に地域性の高い食品です。全世界の生産量の80%を占めるのがカナダで、残りはほとんどがアメリカ合衆国のカナダ寄り。 つまり、北米大陸の北部でのみ産出される希少な甘味料です。北米大陸の寒冷地の気候や土壌がメープルの生育地として適しているのでしょう。 なお、カナダでは、東部のケベック州が90%と圧倒的なシェアを占めています。

Q.メープルシロップにも旬はあるの?
A.春が旬です。3~4月の、わずか6週間がメープルシロップの収穫期です。極寒地に育つメープルの木は、冬、寒さを乗り切るために樹液の糖度を高め、大変甘くなります。
春の訪れとともに昼夜の寒暖の差が大きくなると樹液は幹の中をかけ巡り、抽出しやすくなるため、この時期に集中して採取します。

Q.メープルシロップの歴史は?
A.起源は定かではありませんが、カナダが建国されるずっと以前、北米大陸の先住民であるインディアンが木々の樹液を吸っているリスを見て食用や薬用に使い始めたのが最初といわれています。その後、17~18世紀に入植したフランス人開拓者たちにもこの伝統が受け継がれ、カナダの特産品として定着しました。 発見にまつわる逸話は、リスのほかにも各地でいろいろと伝えられています。