〜Canon EF 11-24mm F4L USM 試写レポート〜

現実を超える超広角『Canon EF 11-24mm F4L USM』
※画像はオリジナルから縮小しています。
Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/80秒 / ISO:400 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM

Canon EF 11-24mm F4L USM


話題の新商品発表が続くCanon、その中でも“世界最広角”のズームレンズが先日発売となり注目を集めました。 今回の試写レポートでご紹介するのは、『Canon EF 11-24mm F4L USM』です。
今まで広角EFレンズはEF 14mm F2.8L USMという単焦点レンズが最広角でしたが、構図の融通が利く超広角ズームは風景写真などで欲しい所でした。また、EF8-15mm F4L フィッシュアイ USMというレンズが発売されていますが、魚眼レンズは広く写り込むものの周辺を大きく歪ませているレンズです。一方、今回のEF 11-24mm F4L USMは広角レンズの難点でもある歪みを徹底的に抑え、直線は直線として真っすぐに捉える事の出来るレンズ。その画角は11m時に対角線画角126度というとてつもない広さを持っています。
うっかりレンズの前側を持つと自分の指まで写り込んでしまう本レンズ。初めてファインダーを覗いた時、そのあまりにも広い世界に驚きました。そして標準焦点域でほとんど写真を撮っている私には「このレンズは手強そうだ」というのが素直な感想でした。
試写の日は雨まじりの強風が吹く悪天候。光の少ない条件での撮影でしたが、その描写力を感じていただけたらと思います。

まずは美しいステンドグラスの写真から。最初「この位置かな」とファインダーを覗いたのですが、全然被写体との距離が遠く、3歩ほど近付き撮影をしました。 超広角が故に中心を少しでも動かすと周囲のパースが強烈に変わります。写りは絞り開放からクリアでシャープな描写力。倍率収差も良好に補正されています。周辺光量落ちは多少感じられますが、広角端11mmという本レンズのスペックを思えば、よくここまで抑えられたという印象です。

Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


日本を代表する70階建ての高層ビルも、横構図で地上から最上部まで納める事が出来ます。強烈なパースペクティブ効果を持つ本レンズは広角レンズの表現を広げてくれます。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


最短撮影距離は0.28m。写真で感じる距離以上にカメラを近付け、前玉と被写体の位置を確認しながら撮影をしました。強いデフォルメがかかり、前に迫ってくるような迫力があります。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/2500秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM





Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


影絵のような黒のコントラストをイメージして望遠端24mmで撮影しました。24mmでも十分広角なのですが11mmから比べると、もの凄くクローズアップしたような写真に見えてしまうから不思議です。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/640秒 / ISO:400 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM





Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/3200秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


レンズ四隅の枝振りもシャープに描写しています。巨木の存在感まで伝わってきそうな一枚です。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/200秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM





Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F4.0/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


人間の視野は前方200度くらいありますが、実際に物や色を認識できる範囲は70度くらいと言われています。それを遥かに超える126度の画角を1枚の絵として切り撮る事の出来る EF 11-24mm F4L USMは、まさに人の目を超えたレンズ。普段目にしている景色も異世界に居るような印象的な写真に変わります。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


広い景色を撮るのも良いですが、閉鎖的な空間を撮影するのに面白いレンズだと感じました。奥行きのある空間表現が可能な本レンズは室内撮りなどでも力を発揮してくれることでしょう。


Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:200 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM





Canon EF 11-24mm F4L USM. 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/60秒 / ISO:400 / 使用機材:Canon EOS 5D MarkIII + EF 11-24mm F4L USM


歴史ある重厚な扉もパースを付けて撮る事で、よりその存在感を表現する事が出来ました。


Canon EF 11-24mm F4L USM


『Canon EF 11-24mm F4L USM』はとても刺激的な世界を見せてくれたレンズでした。当初は自分の頭の中にある構図と実際の画角の違いに「広すぎる・・・。」と戸惑いもありましたが、使用しているうちに感覚が慣れ“何を見せるか”より“どう見せるか”という考えで撮影に挑みました。
大きく前玉の出た本レンズは人混みでの使用時に少し神経を使いましたが、構えた時の重量バランスも良く、想像以上に取り回しの良いレンズです。近接時などフォーカス距離が急に変わる場面でも無音で素早く合うAFは流石Canonと思わせる完成度。世界最広角ズームレンズということもあり、製作側の気迫が感じられるレンズです。
ファインダーの中には広大な世界が広がり普段見ている現実とは違う、もうひとつの現実があります。『映像表現の極限を、その手へ』というCanon Lレンズのキャッチコピーがありますが、まさにEF 11-24mm F4L USMはその一端を垣間見る事が出来ました。今以上の写真表現を求める方達へ是非このレンズの世界を手にしていただきたいです。

Photo by MAP CAMERA Staff
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