〜Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8 試写レポート〜

手のひらに収まる驚愕の性能『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』
※画像はオリジナルから縮小しています。
Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:1/800秒 / ISO:100/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8

Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8

Carl Zeissより展開しているLoxiaシリーズに21mmという新たな焦点距離のレンズが登場しました。今回は『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』をご紹介します。ソニーEマウント用に発売されているツァイスレンズはズームから単焦点まで多種多様なラインナップがありますが、その内訳(製造メーカー)はかなり複雑で、大まかに分けると『ソニー純正・ツァイス』と『Carl Zeiss製・ツァイス』に分けられます。今回ご紹介するLoxiaは『Carl Zeiss製・ツァイス』が展開するレンズシリーズです。50mmと35mmのLoxiaはZMマウント用の光学をフィードバックして作られたものでしたが、この21mmは完全に専用設計された光学で組まれているということで、対称型のビオゴンタイプではなくレトロフォーカスタイプのディスタゴンという点にも注目したい所です。はたしてその描写力はいかなるものか、早速試写へ出かけました。

まずは立ち並ぶビル群を絞りF8で撮影。クリアで先鋭感のある描写に加え、写真上にある線という線を緻密に写し出す解像力に驚かされます。立体感もさすがですね、空に広がる雲ですら前に迫ってくるような迫力を受けます。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


続いては開放で植物を撮影。光がうまく回り込んで全体的に優しいイメージになりました。この写真で注目して欲しいのが四隅周辺の画質です。対称型に比べ周辺光量落ちの少ないレトロフォーカスタイプとはいえ、超広角の開放でこの描写は非常に優秀。像の流れも感じられず全面で良好な画質を見せてくれました。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


こちらの写真も開放での撮影。モノクロで現像をしてみました。21mmという焦点距離ということもあり、被写界深度は深いですね。フォーカスを合わせた場所より外れてもボケすぎることなく石の模様がはっきりと確認できる写りです。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/160秒 / ISO:100/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


広角レンズじゃないと表現できないシーンというのが多々あります。コンパクトなレンズサイズながらダイナミックに空間を切り取ることのできる画角とF2.8という明るさを持つ『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』は単焦点をメインに使うユーザーにとってマストレンズの1本になることでしょう。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F4/ シャッタースピード:1/1250秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


観覧車に近づいて縦の位置から撮影。ゴンドラでは小さな息子さんがお父さんと一緒に遠くを指差して話していました。
超広角レンズはパースが大きくかかるので面白いですね。被写体に近づくことで目で見るのとは違う視覚効果を得ることができます。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:1/1600秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


空と電線と通り過ぎる電車。ツァイスレンズらしい発色の良さで、空を深みのある青で写し出してくれました。冬の太陽を逆光というレンズには厳しい条件だったのですが、さすがはT*コーティングですね。電車のドアにフレアが少し掛かってはいますが、これだけの強い光で光源の周りの画が破綻していないのは素晴らしいです。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F4/ シャッタースピード:1/100秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8

Carl Zeissはレンジファインダーレンズの時代から超広角は21mmという画角でレンズを出してきました。(例外として東独Jena時代のフレクトゴンには20mmがあります)
旧コンタックスやコンタレックスではビオゴンでしたが、ヤシカ・コンタックス時代には21mmという画角をそのままに一眼レフに最適化したディスタゴンへと進化。このレンズはレトロフォーカスの弱点とも言える歪曲収差を徹底的に抑えた銘玉として有名です。そして今回の『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』、ミラーレス機ということでバックフォーカスの長くとれるビオゴンタイプでの設計もできそうですが、周辺画質に満足のいくレンズにするためディスタゴンで新規設計をしたと担当者から話を聞きました。
その写りは隅々まで隙なく解像し、歪みも感じない優秀な描写力。Carl Zeiss伝統の画角と妥協のない写りのDNAは『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』にも確実に引き継がれています。
Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8





Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:1/400秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


高層ビル群のように空高く伸びるメタセコイアの木々。すごい解像力ですね、その葉や枝振りの細かなところまで写し出しているのがわかります。

Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8
絞り:F4/ シャッタースピード:1/320秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


さすがCarl Zeissのディスタゴン。21mmという超広角ながら補正なしでもこれほど歪みを抑えたレンズに仕上がっています。建築物やF2.8明るさを生かして室内空間などの撮影にも活躍してくれそうです。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F4/ シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


パンフォーカス気味で撮影することのできる本レンズはスナップショットにも最適です。夕方の陽に照らされる人々を印象的に切り取ってくれました。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:30秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


続いては工場夜景を撮った1枚。幾重にも重なるパイプの描写と金属の質感表現が見事ですね。重厚感と立体感のある描写が被写体をより際立たせてくれます。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8 絞り:F8/ シャッタースピード:10秒 / ISO:200/ 使用機材:SONY α7II + Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8


広角レンズで絞り込むと発生しやすい光芒も照明で美しく出ました。単焦点で夜景を撮るのは構図などなかなか難しい面もありますが、Loxiaの描写力を生かした高精細な夜景写真を撮ることができますので是非試していただきたいです。


Carl Zeiss (カールツァイス) Loxia 21mm F2.8


『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』は素晴らしい描写性能を持った1本でした。コンパクトなサイズからは想像もつかない画角と写りを見せてくれるレンズです。マニュアルフォーカスレンズということで敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、被写界深度が深い分ピント合わせも容易なので誰でも扱いやすいと感じました。また、レンズ自体の作り込みもさすがと思わせる完成度でフォーカスリングのトルクも絶妙な味付けになっており、絞りリングに関しては他のLoxiaシリーズ同様に”デクリック機能”も備えていますから動画撮影などの用途にも活躍してくれることでしょう。フルサイズEマウント用レンズで21mmとF2.8という明るさを持つレンズは現在この『Carl Zeiss Loxia 21mm F2.8』しかありません。是非このレンズで新たな写真表現を切り開いてください。

Photo by MAP CAMERA Staff
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