〜Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 試写レポート〜

さらに進化した究極の大口径標準ズーム『Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR』
※画像はオリジナルから縮小しています。
Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:24mm / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR

Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR

ニコン標準ズームレンズのフラッグシップ「AF-S 24-70mm F2.8G ED」の登場が2007年11月。Nikon D3と同等の防塵防滴性能とナノクリスタルコートによる高い描写力で、今もなお高い人気を誇っています。そのレンズが約8年ぶりにリニューアルを果たしました。
新しくなった『AF-S 24-70mm F2.8E ED VR』は、その商品名からもわかるように待望の手ブレ補正機能を搭載。他にも画質へのこだわりがたくさん詰まっており、ニコンの本レンズへの力の入れようが伝わってきます。
筆者も旧モデルを愛用しているだけに、新しく生まれ変わった「AF-S 24-70mm」はとても気になります。さっそく撮影に出掛けてきました。


レンズを装着したカメラのファインダーを覗いて真っ先に感じたのがAFスピードの向上です。周りにいたスタッフ全員の第一声が「早い!」で一致したほどですから、この早さは本物です。
シャッターを切る前からこんなに感動するレンズに出会えたのは久しぶり。AF精度の向上だけでも買い換える価値が十分にある。それほどまでに強いインパクトを与えてくれました。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:70mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:200 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


絞り開放での描写は少し柔らかさを感じる線の出し方。『繊細』という表現がぴったり合います。金魚の赤色も美しく表現しながら過剰に演出することなく忠実に描写しているように思えます。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:31mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


お寺の庭に描かれた砂紋。こちらも絞り開放で撮影したのですが近接時の柔らかさとは違うシャープな印象を受ける写真です。細かな砂利の一つ一つまで描写しているのがわかります。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:24mm / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


天高く伸びる見事な竹林。ここのお寺は通称『竹寺』とも呼ばれています。ここで撮影して思ったのが非常に階調表現が豊かなレンズだなということ。きっと他メーカーならもっと黒くシャドウ部が表現されると思います。そして写真の隅々までクリアでシャープな描写力はさすがニコンの大三元レンズといった印象です。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:40mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/20秒 / ISO:200 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


花びらに水滴を付けた山茶花。苔や石碑の中で鮮やかな花の色が印象的でした。こちらのカットは日陰だったこともあり、シャッタースピードは1/20という低速。機材はD4sと24-70VRという合計2.3キロの重量級な組み合わせだったのですが、ブレを感じることなく撮影することができました。これは私の技術じゃなく新たに搭載された手ブレ補正機構『VR』の力ですね。しっかりとブレを抑えてくれながらもファインダーを覗くととても自然に見える絶妙な効き具合です。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:24mm / 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:200 / 使用機材:Nikon D4s +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


阿吽が守る寺への山門。こういう影の部分は目では綺麗に見えても、なかなか写真にするのが難しいんですよね。柱のディテールから千社札の文字まで見事に写し出してくれました。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:70mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/8000秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


続いては海辺の写真です。ここからはD810で撮影しています。逆光のシルエットの中にもカモメの羽の様子などをしっかり確認することができます。
最近では多くのモデルに搭載され、定評のあるナノクリスタルコートですが、ここでも抜群の安定感を披露してくれました。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:24mm / 絞り:F8 / シャッタースピード:1/400秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


16群20枚のレンズ構成で、枚数も寸法も大きくなりましたが、重量バランスが見直されたおかげで重くなったという実感はありません。
軽いとは言えませんが、フルサイズボディとのバランスも良く以前と同じ感覚で撮影できました。おかげで撮影もスムーズに行えます。
前後のレンズには汚れに強いフッ素コートが施されているので風の強い海辺でも安心して撮影できます。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:29mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/100秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


以前使われていた灯台の光源部。薄暗い資料館の中に展示されていましたが、手振れ補正がしっかりサポートしてくれたおかげで、中心部の電球までもしっかり確認できます。
感度でシャッタースピードが稼げるようになったとは言え、高画素機でより高画質な画像を得るには、高感度に頼らず撮影するに越したことはありませんから。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:65mm / 絞り:F16 / シャッタースピード:1/4秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


こちらは走行中の電車の最後尾の窓に押し当てて撮影したカット。大きく揺れるレトロな車両でしたが、レンズがブレを軽減してくれるおかげで、流れる景色を綺麗に捉えてくれました。手振れだけではなく作品の幅をも広げてくれる「VR」効果は絶大です。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:45mm / 絞り:F4 / シャッタースピード:1/320秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


高い質感描写は旧モデル譲り。窓から差し込む日差しも綺麗です。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:40mm / 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:100 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


絞り開放では若干の周辺光量減がみられました。アンダー気味にするとノスタルジックな風景には丁度良いスパイスになります。
広いシーンで活躍する標準ズームは、少し補正するだけで応用範囲の広さもみせてくれました。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR 焦点距離:70mm / 絞り:F4 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:400 / 使用機材:Nikon D810 +AF-S 24-70mm F2.8E ED VR


大口径らしい綺麗なボケ味も健在です。花から花へ飛び移る蝶を捉えたカットでは、ほぼ真上からの撮影でも立体感ある描写になりました。高いコントラストで花の色も鮮やかです。


Nikon AF-S 24-70mm F2.8E ED VR

8年の時を経てパワーアップした『AF-S 24-70mm F2.8E ED VR』は「AF-S 24-70mm F2.8G ED」の使いやすさをそのままに、正当な進化を遂げていました。
早いAFと最大で4段分の手振れ補正の恩恵も大きく、これ以上ない贅沢な標準ズームレンズに仕上がっています。
唯一不満を挙げるとすればフィルターサイズが82mmに変更され、今までの資産が使えなくなった事のみ。逆にこれだけの機能向上があったにも関わらず、これだけのサイズアップで済んだ事に驚きます。
まさに非の打ちどころのない素晴らしいレンズ、ニコンユーザーなら是非試していただきたい1本です。

Photo by MAP CAMERA Staff
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