田中めぐみ さん

竹の持つ色んな可能性を感じて良いなと思いました。

“竹工芸士”とはどういったお仕事なのでしょうか。

私が働いている横山竹材店は庭園用竹材を現場施行したり、
茶室にある天然竹垣など建築用の竹材を製作しております。
私は横山竹材店のアンテナショップ「TAKENOKO」で
花器などのかご編みや、内装で使う照明の竹編みなどの
制作や、またその修理も行っています。
“竹工芸士”は竹を扱う工芸士の広い呼び方なので、
私はどちらかと言うと“竹細工士”ですね。

この道に進まれたきっかけをお教えください。

元々物作りが好きで、物作りができる仕事がしたいと考えていた時に
京都伝統工芸大学校に出会いました。学校では10の専攻があるのですが、
一通り学び、竹の魅力にはまったというか…
恩師に出会えたのが一番大きいきっかけです。
竹の持つ色んな可能性を感じて良いなと思いました。
その後、京都伝統工芸大学校では4年間勉強し、
こちら(横山竹材店)に勤めて2年になります。

竹工芸の道に進むにはどのような事から始めるのですか。

まずは“竹割り”からです。ひたすら竹を割っていきます。
材料作り、下地が一番大切なので、
刃物をどのくらい上手く扱えるかが重要です。
竹工芸は基本的に竹筒の状態から、
必要な材料サイズにするまで全てを自分でやります。
最初の頃はまともに竹に刃が入らなかったりしましたね。

田中さんは製作依頼にあたって
どのような事を心がけていらっしゃいますか?

当店にご注文いただく製作依頼の内容は、
内装用の照明やオブジェのご依頼が多いんですが、
今までに製作したことのない、形状イメージの依頼が多く来ます。
そのため、出来るだけご注文者様のイメージに沿って、
要望に一番近いものを作れるよう心掛けています。

編み方や形状の細かい部分にもこだわり、
度重なる調整の末に完成しました。

今回、「京とPRODUCT」商品で、
新たに発表されました商品について教えてください。

パリ在住のプロダクトデザイナー、
芦田秀一さんとのコラボレーションで製作しました。
竹編みには多種多様な種類の編み方があるのですが、
「京とPRODUCT」の商品は、
“菊底編み”、“ゴザ目編み”、“やたら編み”という
三種の編み方を生かして製作しています。
各商品、各部の編み方や形状の細かい部分にもこだわり、
度重なる調整の末に完成しました。

センターピースはとても美しいフォルムですね。
どのように編まれているのですか?

“菊底編み”は本来、竹籠などの底の部分に使われることが多いのですが、
芦田さんのデザインによって、“菊底編み”を表になるようにしました。
その“菊底編み”を中心に“縄目編み”で、
最初から最後まで同じ1mm幅のひごを放射状にぐるぐると編みあげています。
エッジの曲がり部分はロウソクの火であぶって、ひごを曲げています。
材料のひごは、ナタで荒割りし、厚みを小刀で削り、
幅決めの小刀を両刃で固定して竹を引くと、同じ幅でひごができます。
この1mm幅のひごを多く作るのに、とにかく苦労しました。
そして、場所に寄りますが、ひごが細いので、
3~4段の編みを作るのにも、2~3メートルのひごが必要なんです。
そのため、このサイズを編みあげるのには、約1ヶ月程の時間がかかります。


ワインバッグは
とてもスッキリとして軽やかな印象ですね。

こちらの商品も底部分はセンターピースと同じく、
“菊底編み”を使い、側面には“ゴザ目編み”を使って
編んでいますが、こちらのひごは幅を太めにしています。
そのため、強度があり、しっかりしていて丈夫なので、
外出時にも安心してワインボトルを入れて、
持ち運びができるようになっています。
また、取っ手には革を使用しているので、
竹と一緒に経年変化を楽しんでもらえるようになっています。

この独特な編み目のコースターは
どのように作られているのでしょうか。

コースターで使っている編み方は“やたら編み”というんです。
不規則な網目が特徴の編み方で、
編み目を隠しながら、隙間を埋める様に編んでいきます。
この“やたら編み”で約70回ほど竹を編んで、
その後ウレタンで固めてから、カットして完成です。
無造作に組んであるように見えますが、
机に置いた時に浮き上がりが無いよう、平坦になるように調整を行っています。

若い人に受け入れてもらうには、何かしら新しい考えを取り入れて、
もの作りを続けなければいけないと思います。

  

後継者不足に悩まされる伝統産業ですが、伝統技術を
後世に残していくためにはどうあるべきだとお考えでしょうか?

作り続けていくことが大切だと思いますね。
昔からあるものも勿論大切ですが、
若い人に受け入れてもらうには、何かしら新しい考えを取り入れて、
新しいものを作り出していくこと。もの作りを続けなければいけないと思います。

目標や今後の夢などをお聞かせください。

この仕事をこれからもずっと続けていけたらいいな、と思っています。
いつか、自分の工房を持てたら良いな、とは思いますが、
まだまだ具体的には考えられないですね。

最後に、田中さんにとっての、
竹工芸の魅力をお聞かせください。

作り手によって色々な形が表現されるので、凄く可能性を感じています。
作り手が「どうもっていくか」で良くも悪くもなる。
また、同時に自由過ぎないところも良いと思っています。
竹工芸は「線」を使うという制限があるので、その制限の中で作っていくのが面白いです。

(平成27年3月)

リポーター:京もの親善大使“みやびはん”川那辺 藍、小笠原 由香
カメラ撮影:京もの親善大使“みやびはん”田中 千鶴
京もの親善大使“みやびはん”について、こちらをご覧ください。