京都・昇苑
くみひもの
Kyoto Showen Kumihimo
/ Silk-Kumihimo
その1本の正絹の糸は、職人によって美しく染められ、
13本の束になり、撚(よ)りをかけ、
伝統技法によって複雑に組まれていき、
やがて607本の糸からなる「組紐」となる。
この組紐を用いた、日本古来の、
だがまったく新しい、リストウェアがいま誕生した。
Introduction
「組紐」とは文字通り、糸を複雑に“組む”ことで構成された紐のこと。
その歴史は古く、仏教伝来とともに伝わってきたといわれ、
仏具や茶道具、武具や刀剣の飾り、そして華やかな着物を締める帯締めとして重宝されてきた。
1948年、京都の宇治で創業した「昇苑くみひも」は、シルクにこだわったものづくりを行い、
組紐の持つ可能性を広げるべく、現代の役割を探し続けている。
なかでも「高麗組」は、美しく細かな模様や文字をデザインすることができ、
古来より高級品の装飾として使われてきた歴史を持つ。
Handcraft
昇苑くみひもは、思い通りの色を表現するため、自分たちの手で絹糸の染色を行っている。
染色をする上では、染料の特徴や、色の濃淡の変化を熟知していなければ、
安定して同じ色を作ることはできない。
職人たちは、その練達した技術で染料を正確に溶かし、
色を定着させるために入れる酢酸の量やタイミングに注意し、
また染めを施している最中に糸を上下に動かして、染料を全体に行き渡らせていく。
染められた糸は、枠に巻き取られ、
さらに「経尺(へいじゃく)」という工程を経て、束ねられていく。
経尺は、組紐を作る上での肝ともいえる作業で、作る紐に応じて、
束ねる糸の本数、長さ、色、巻き取る枠の数が調整される。
職人は、指先で糸の些細なテンションの変化を感じながらスムースに経尺を行い、
糸切れが起きた場合には、わずかな振動でもすぐに気付かなければならない。
Quality
経尺を経て束になった糸は、「撚(よ)りかけ」という工程で、ねじられていく。
撚ることで、束ねた糸は強度を増し、色のムラがなくなり、より美しさを増していく。
このひと手間が「工業用」と「工芸用」を分ける違いとなり、
撚りかけを丁寧に行うほど、でき上がる紐の強さや艶が変わっていく。
“撚り”が施された糸の束は、「木簡巻(もっかんまき)」という工程で、ボビンに巻かれる。
ここでは、5名の職人が一つひとつを手で巻きながら、
色のムラがないか、途中で糸が切れてないか、なども手と目でチェックしていく。
高速で動く糸を手のひらで確認しながら行う作業。
どんな職人でも「初めのころは、手のひらを火傷する」という。
そして最後に、製紐機(せいちゅうき)にセットされた数十個のボビンから糸束を引き、
糸束同士を複雑に組み合わせて組紐を作る。
できあがる組紐のデザイン、堅さ、重さ、長さ、幅によって、
その都度、職人が細かな調整を重ねていく。
仕上がりの完成度は、この職人の技術力にかかっており、
糸と機械、双方の特徴を把握した職人のみが、紐を組むことができるという。
出来上がった組紐は、刺繍で仕上げられ、
Made in Japan Watchを飾るにふさわしい、
テキスタイルストラップへと生まれ変わる。
Products
SLIK KUMIHIMO STRAP
京都昇苑シルク
くみひもストラップ
\4,000(全10色)
「昇苑くみひも」独自の技術により、「綾」と呼ばれるストライプの縦模様をデザインに取り入れた「綾高麗」が、Knotのストラップになりました。時計のストラップは、ほかの工芸品に比べて必要とされる幅が広く、最初の構想から完成に至るまで、実に1年。独自に研究を重ね、特殊な組み上げの形態を取ることによって、幅18mm、厚さ2mmというサイズを実現しました。全8色のカラフルなバリエーションは、男性でも、女性でも、ビジネスでもオフでも使える上品さと美しさを備えています。Pure Japanスタイルのテキスタイルストラップをお楽しみください。