マクロビオテックとは?
「マクロ」=大きい・長い
「ビオ」 =生命
「テック」=術・学
この3つの意味をつなげると
長く思いっきり生きるための理論と方法
戦後から日本の食生活が急激に変化しました。今まで口にすることが少なかった動物性の食べものが食卓を飾り、インスタント加工食品や食品添加物などけっして体に必要とはいえないものであふれています。
そのために、現代病といわれる、ガンや糖尿病、アトピー、アレルギー、肥満など一昔前にはあまりみられなかった症状に悩まされている方が増えてきました。
健康になるための食事法として、陰陽の具体的な食事の方法として、マクロビオテックをほんの一部ですがご紹介させていただきます。
食べ物の陰陽
陰陽とは?
地球は45億年、ぐるぐるとまわり続けています。太陽系も銀河を中心に、秒速30kmの速さで回転し、銀河系、小さな素粒子の世界でも回転しています。
私たちの住む地球は、太陽系の回りを猛スピードで回転し、この時、地球の中心から外へ飛び出そうとする遠心力が発生します。外へ、外へ、飛び出そうとする遠心力は、『ゆるむ』性質のエネルギーで、これを陰性といいます。ゆるむ→大きく→比重が軽く→軽いものは上昇、の性質をもっています。人に置き換えると、ゆるむ→血液が大きく→比重が軽く血液が上昇する→手足の末端は血液が不足→手足の冷え、の性質です。
これとは逆に外から内へ入る力の求心力は『しまる』性質のエネルギーで、陽性といいます。しまる→小さく→比重が重く→下降、の性質です。同じく人に置き換えると、しまる→血液が小さく→比重が重く血液が下降→手足の末端に流れ→手足はあたたかい、の性質になります。
地球だけでなく全ての物には表・裏、プラス・マイナス、上・下などの2極性があり調和しながら存在しています。逆にバランスが崩れると存在できません。人間の体もこのバランスを保つことが健康の要であり、上手く陰性、陽性の食べ物を摂ることが体調を整えてくれます。
陰性の食物と病気
<食物>
●土より上に伸びる野菜 ●夏とれるもの ●熱帯性植物 ●辛いもの ●甘いもの ●砂糖 etc.
<病気>
●貧血 ●出血 ●低血圧症 ●肥満 ●前立腺肥大 ●胃下垂 ●癌 etc.
陽性の食物と病気
<食物>
●根菜類 ●冬とれるもの ●寒帯性植物 ●苦いもの ●塩辛いもの ●塩 etc.
<病気>
●筋肉硬化 ●動脈硬化 ●発熱 ●間接凝固 ●肝硬変 ●脳硬塞 etc.
陰性、陽性の見分け方
陰性
陽性
手のひら
湿っている
乾いている
声
小さい
大きい
話し方
ゆっくり 穏やか
早口 攻撃的
行動
のろい
早い
性格
恥ずかしがり
図太い
考え方
消極的
積極的
性格
気が長い
気が短い
目
大きい
小さい
脈
遅い
速い
血圧
低い
高い
体温
低い
高い
食欲
ない
旺盛
陰性タイプ
①陰性の水太りタイプ
甘いお菓子や飲み物、果物など極端に陰性なものがたくさん入って、体がゆるんでふくれているタイプです。まず、こうしたものを避けるところから始めましょう。そして、玄米など陽性な食べ物をとるように心がけましょう。
・主 食:
玄米・五穀・雑穀。圧力を使って炊く。
・おかず:
少なく。
・調味料:
塩気をやや多めに。胡麻油は、胡麻7:塩3の割合のものを。
・料理法:
加熱時間の長い、温かいものをとるようにする。たとえば、炒め煮など。
・飲み物:
控えめに。
②陰性の虚弱タイプ
基本的に体力がなく、痩せていて、消化吸収力の弱いタイプです。陽性な要素だけでなく、ある程度陰性な要素も必要なのですが、食べ物による反応が大きいので、体調を見ながらうまく体に取り入れていかなければなりません。
・主 食:
玄米を、お粥やクリームにする。圧力を使わず、時間をかけて作るのが原則。重い病気でなければ、適宜、圧力を使う。
・おかず:
少なくてよい。一時的には、まったくなくてもよい。
・調味料:
塩気は必要だが、調理に時間をかけて、他の材料とよくなじませる。胡麻油は、胡麻7:塩3の割合のものを。
・料理法:
加熱時間の長い、柔らかく温かいものをとるように。
野菜は細かく切って、塩気とよくなじませるように。
・飲み物:
控えめに。
陽性タイプ
③陽性の固太りタイプ
大食・大飲で、肉や魚など非常に陽性なものだけでなく、甘いものやお酒など非常に陰性なものもたくさん入って、体がパチンパチンになっているタイプです。全般に、あっさり、さっぱりしたものが向いています。
・主 食:
量は比較的少なめに。圧力を使わずに炊いた玄米。玄米ご飯が食べたくない場合には、玄米粥や玄米クリームを主食に。うどんなども。また好みに応じて、小麦・大麦・とうもろこし・大豆などを、ご飯に混ぜたり、パンにして食べる。
・おかず:
陰性な野菜も料理の中に入れる。たとえば、キャベツ・白菜・ブロッコリ・もやし・里いも・きゅうり・しいたけなど。ナスやジャガイモなど、陰性の強い野菜や、豆腐摂る。
・調味料:
加熱時間は短くてよい。野菜の切り方は大きめに。
おひたしなど、ゆでたり蒸したりした野菜、サラダや漬物など生の野菜、野菜スープ、あっさりした炒めものなど。
・料理法:
加熱時間の長い、柔らかく温かいものをとるように。
野菜は細かく切って、塩気とよくなじませるように。
・飲み物:
普通に
・その他:
リンゴ、ミカン、イチゴなどの果物も適宜摂る。
④陽性のカチカチ・タイプ
塩からいものなど、陽性な食べ物をとり続けたり、長年スポーツをしてきたりして、体が固くしまりすぎているタイプです。元気そうなのですが、しなやかさに欠けるところがあります。水分を含んだ柔らかいものをとるようにします。
・主 食:
柔らかいものがよい。玄米粥、うどんなど。
・おかず:
少なめに。あっさりした野菜料理がよい。
・調味料:
塩気はやや控えめに
胡麻塩は胡麻8:塩2くらいの割合のものを。
・料理法:
加熱時間のあまり長くない、温かく柔らかいものをとるようにする。圧力も使わない。ふろふき大根、薄味のうま煮、切り干し大根などの乾物をさっと煮たものなど。揚げものも適宜とってよい。
・飲み物:
普通に
標準メニュー
基本的には、これまで述べた四つの体質向けのメニューを、バランスよく混ぜたものです。体調に合わせて、適宜調節してください
・主 食:
玄米ご飯を中心に、ときにお粥など。また適宜、他の穀物をご飯に混ぜたり、パンにしたり、麺類で食べたりする。
・おかず:
日によって、いろいろな種類のものを。量は多すぎないように。
・調味料:
体調や好みで。
胡麻塩は胡麻8:塩2くらいの割合のものを。
・料理法:
日によって、いろいろに。標準的には、野菜の切り方は大きすぎず小さすぎず、加熱時間は長すぎず短すぎず。
・飲み物:
普通に
・その他:
リンゴ、ミカンなどの果物はたまに
以上が体質別のメニューの概要ですが、自分の体質を、単純に「陰性だ」、あるいは「陽性だ」と思い込むのは禁物です。一口に体質の陰陽といっても、その度合いはさまざまですし、誰でも陰と陽の要素を両方もっています。個々人によって、どの時期にどんなものを食べて体を作ってきたかという歴史も異なります。
また、体調が変化して、食事もそれに合わせて変えなければならないのに、「この食事がよかったから」といつまでも同じ食事を続け、かえって体調を崩す人もいます。
表面的には陰性な体質の人が、芯に陽性な要素をもっていることはよくあります(その逆もあります)。強い陽性をもつ食べ物で一時的には症状を改善することはできますが、ずっと陽性なものばかりとり続けていても、食べたものを十分に分解する陰の力が不足し、期待する陽性の力が得られなくなってしまいます。さらに、奥の方の陽性を強めてしまい、なかなか体質は変わらないという結果になりかねません。
長い目で見ると、バランスのよい食事をしながら、体をバランス状態に近づけていくことが必要になってきます。大切なのは、自分の体質とその変化を、日々しっかり見つめ、食事との関連を検討することです。
食べ物の陰陽の具体例
▼極陰性←---▽陰性←---中庸---→陽性△---→極陽性▲
この表は、あくまで参考です。
「身土不二」…土地柄と季節に合った食べ物を食べる
「身土不二」とは簡単に言うと『身体と環境(土)とはバラバラではない(不二)』という意味のことです。身体と環境は密接な関係にありますので、適切な取り入れ方をしないと、身体が環境に適応することができません。
環境から適切に食べ物を取り入れるには、その土地柄、その季節にあった食べ物を摂ることが大切です。
なぜなら、それらの食べ物は、私たちが暮らしている気候・風土に適応しており、季節の変化についていくことができるからです。
例えば、パイナップル、きゅうり、なす、スイカ等の熱帯の作物や夏の野菜は身体を冷やし、ゆるめる、陰性の働きのある成分が多く、これらを冬にとると、身体が冷えて具合がわるくなります。
現代人は、季節に関係なく世界中の食べ物をいつでも好きなときに食べることができます。こうして環境を無視した食べ物でできたやわな体は、どうしても弱くなってしまい、昔はなかったような生活習慣病などの現代病が増えているのです。
「一物全体」…皮つき・根つきで丸ごと食べる
『一物全体』とは、一つのものを丸ごと食べるという意味ですが、一つのまとまりのあるもの(種子・実・葉・根など)は、いろんな面 でバランスがとれている上に、まとまっていることによる、何か特別な働きが期待できるのです。特に、種子や実は、そのまま次世代を生み出せるほどバランスの良い、生命力に満ちた食べ物なのです。
玄米は完全食と言ってもいいほど、栄養(陰陽)のバランスがよい、まさに日本人の主食である食べ物です。しかし、白米に精製すると、その良い部分をほとんど捨ててしまうことになるのです。栄養豊富な胚芽の部分さえなくなってしまっています。
穀物類は精白しない方がいいでしょう。葉菜なら芯や根っこも工夫して食べるようにしたいし、根菜ならよく洗って、皮をむかずに調理するようにしましょう。
人本来の食べ物のバランス
人間の歯は全部で32本。そのうち、臼歯(穀物をすり潰す歯)が62.5%、門歯(野菜などを噛み切る歯)が25%、犬歯(肉や魚を引き裂く歯)が12.5%です。つまり、穀物、野菜類、肉類を5対2対1の割合でとるのがちょうど良いのです。しかも、日本人の腸は欧米人よりも長く、より多く食物繊維をとる必要があります。
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