和解条項(モンブラン⇔エクセルフジノ)
第13回弁論準備手続調書(和解)
事件の表示 平成15年(ワ)第12850号
期日 平成17年1月25日午後3時00分
場所等 東京地方裁判所民事第10部準備手続室
原告 モンブランヤマグチ株式会社
代表者代表取締役 山口政広
被告 有限会社 エクセルフジノ
代表者取締役 藤野光造
- 被告は、原告に対し、被告は製造、販売した別紙第一目録記載1の傘「以下
(本件傘)という。」と原告が製造、販売している別紙第一目録記載2の傘と
が類似していることを認める。
<中略>
- 被告は、原告に対し、本件傘を今後製造、販売しないことを約束する
- 被告は、原告に対し、本件和解金の支払い義務があることを認める。
<中略>
- 被告は、原告に対し、本件傘を販売店から平成17年3月末日限り、
回収することを約束する。
- 本件傘が、前項記載の期限以降に販売されていた場合、原告が、被告に対し
同傘を回収するように催促したときは、被告は、催促の日から2ヶ月以内に同
傘を回収する
- 被告が前項の回収を怠ったときは、被告は、原告に対し違約金を支払う
<後略>
(左)モンブランヤマグチの正規商品・馬車柄(右)エクセルフジノの模倣商品・らくだ柄
この和解により、右の模倣柄は販売店より撤収され、市場から消える。
合意書(モンブラン⇔小林型染)
モンブラン・ヤマグチ株式会社を甲、有限会社小林型染を乙、小林克明を丙として、
甲乙丙は本日以下のとおり合意した。
第1条 (図柄の使用禁止)
乙及び丙は、甲に対し、今後別紙商品目録及び写真各記載の図柄を使用しないこ
と並びに他人をして同図柄を使用させないことを約束する。但し、甲の依頼又は承諾
に基づくときはこの限りでない。
2 乙及び丙は、甲に対し、本合意時に存在し且つ乙又は丙が所有する別紙商品目録
及び写真各記載の図柄を使用した仕掛品ないし製品を甲以外の者に譲渡ないし販売し
ないことを約束する。
第2条 (損害賠償)
甲は、乙及び丙に対し、乙又は丙が前条の規定に違反したときは、使用した図柄
の製品を乙又は丙が譲渡ないし販売によって取得し又はしようとした利益の5倍相当
の金額を違約金として請求することができる。
2 前項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。
第3条
甲は、乙及び丙に対し、乙又は丙が別紙商品目録及び写真各記載の図柄を使用し
若しくは他人をして同図柄を使用させ又は同図柄をしようした仕掛品ないし製品を甲
以外の者に譲渡ないし販売したことにつき不問に付すことを約束する。
第4条
甲と乙及び丙との間には、本合意に定めるほか、何らの債権債務の存しないこと
を相互に確認する。
以上のとおり合意が成立したので、本合意書2通を作成し、甲が1通、乙丙で1通を
保持する。
平成14年1月26日
甲 住所 東京都墨田区横川 2-3-8
名称 モンブランヤマグチ株式会社 代表取締役 山口政広
乙 住所 東京都八王子市中野上町 1-33-5
名称 有限会社 小林型染 代表取締役 小林克明
丙 住所 東京都八王子市中野上町 1-33-5
名称 小林 克明
【 商品目録 】
1 ガス灯
2 猫
3 自転車
4 更紗
5 展望台
6 ヒッピー
7 エジプト
8 ジャガード織エジプト
9 果物
10 正倉院
11 空港
12 ベイブリッジ
13 てっせん
14 ポインター
15 ヒョウ
16 くじゃく
17 ふくろう
18 犬と帽子
19 クラッシックカー
20 ピエロ
下記のように法的にもコピー商品の製造・販売が禁止される運びとなりました
お求めの際は、必ずモンブランヤマグチの商標をご確認ください
業界紙「洋傘タイムズ」より
モンブランヤマグチ(株)=本社:東京都墨田区 山口正広社長=は,傘について『ほ
ぐし織り』の商標権を獲得している。ほぐし織りは小幅織機を使った手の掛る織り
技術により、プリント柄にはない特有の情緒豊かな表現ができ、雨にあたると色合
いがより浮かび上がる独特な味わいが珍重されている。最近は安価に流れがちな洋
傘市況だが、同社では生地素材にマッチしたオリジナルデザインと併せて、フレー
ム・手元・部品など吟味しながら高級感のある『ほぐし織り洋傘』を展開しており
、専門店をはじめとした百貨店売り場でも安定した顧客層を確保している。。とこ
ろが好事魔多しとでもいうか、同社製品のデザインや手元を模倣した類似品が市販
されている事例が出現、商標権侵害や店頭で消費者に錯誤を生じさせるなど、営業
面の問題からの不適正にも考慮し、当該品の流通状況について調査を行った。
その結果、取り扱い業者が(有)エクセルフジノ(東京都台東区。代表=藤野光造氏=)
と判明したことから、弁護士を介して類似品の製品・販売を中止するように申し入
れた。その後、旧年中に同意書が取り交わされる運びとなり知的財産権の保全が
図られるようになった。
この件に関連して、山口社長は「輸入品に圧倒されていく中で生き残っていくには
、お互いにオリジナル商品で切磋琢磨することが大事だし、傘売り場の品位をあげ
るためにも日本製の傘を守っていく努力が必要ではないか」と語っている。
合意書の主なる内容は以下のようなものである。
合意書(モンブラン⇔エクセルフジノ)
(イ)ほぐし織り洋傘の傘生地類似デザイン商品を製造・販売しない
(ロ)現在、在庫品及び仕掛け品中に類似デザイン商品が存在しないことを確認する。
(ハ)手元デザインについては双方ならびに手元仕入れ業者も含め、三者で納得でき
るようにする。
(ニ)規約に違反したときは小売り価格の三倍を違約金として支払う。
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