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文・著作権 鈴木勝好(洋傘タイムズ)

Y O U G A S A * T I M E S * O N L I N E

◆◆◆ 撥水について ◆◆◆



 傘を使った後、生地の水切れが悪いと携帯するのが不快に感じられるもの。水切れ
の良否は素材(生地)の撥水度に左右される。
 最近の傘生地は「強力撥水」とか「超撥水」とか言われる撥水力の高い素材が多く
用いられている。ハスやサトイモの葉の上では水滴が丸くなってコロコロと転がり、
葉の表面が湧れない。水をはじく性質が極めて強い(超撥水性)からである。

(イ)超撥水性とは

繊維の撥水性を高めるには、弗素(フッ素)系樹脂やシリコンを塗布している。
 その撥水加工をした素材の上に水滴を垂らし、丸くなった水滴と素材が接触する角
度が大きいほど撥水性が高くなる。フライパンなどの表面処理に使われている撥水素
材の接触角度は約110度。この接触角度が150度前後より大きい場合を通常「超撥水」
としている。
 接触角度が30度前後よりも小さくなると親水性が高まる。つまり、直ぐ濡れた状態
になる。(図参照)
 (注1)接触角(Q)は、水と生地(γ1)、水と空気(γ2)、空気と生地(γ3)
の界面張力によって決まる。
 (注2)生地に着いた水滴の状態を示したもの≪図―下≫。撥水性が低いと、一番 上の図のように水滴が平たくなり、生地に張りつく。撥水性が高い場合は、一番下の 図のように水滴が球状になり、生地に着き難くなる。
(ロ)雨傘生地の撥水度  雨傘用生地の撥水度については、1994年(平成6)10月に制定された『JIS』(洋が さ JIS S4020)で「80点以上」と規定されている。(洋傘のJIS規格は、現在そのま まJUPA基準とそれている。)  この「撥水度80点以上」というのは、素材をJIS L 1092の5.2「撥水度試験(スプ レー試験)」によってテストした数値のことである。  この試験方法は簡単に言うと、試験片(生地)に規定量の水を規定時間散布した 後、試験片の湿潤状態を見本と比較して採点するものである(財団法人日本洋傘検査 協会で実施している。) 比較採点の結果は、1級〜5級か50点〜100点の5段階に分けられる。撥水度80点は3級 に相当する。  撥水度判定の等級と採点及びその試験片の湿潤状態を示すと次のとおり。 撥水度等級     撥水度採点       湿潤状態    1級         50点    表面全体が湿潤したもの  2級         70点    表面の半分が湿潤したもの。通常小さな個々 の湿潤が生地を浸透する状態のもの。  3級          80点    表面に小さな個々の水滴上の湿潤があるも の。  4級          90点    表面に湿潤しないが、小さな水滴が付着して いるもの。  5級         100点    表面に湿潤や素敵が付着していないもの    ※強力撥水、超撥水は4級(90点)以上にほぼ該当・・・・

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