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文・著作権 鈴木勝好(洋傘タイムズ)

Y O U G A S A * T I M E S * O N L I N E
◆◆◆ 36年前に遡る洋傘事情 ◆◆◆




今年の午歳に因んで、3回り前の午歳(昭和41年、1966)の洋傘事情について、
当時の新聞報道から拾ってみた。               2002.3



■洋傘もおしゃれ品へ―ししゅうものが増える(東京タイムズ。4月1日)
(リード全文)洋ガサは単なる実用品として耐久性だけを要求した時代から最近では
「アクセサリー」「装いのアクセント」といったおしゃれ品の時代へと変わってき
た。すでに百貨店では春物衣料の出回りとともに、洋ガサとスカーフのアンサンブル
や洋ガサ、ブラウス、ハンドバックのアンサンブルなど、”服装の総合美”をうたい
文句に大いに売り込もうと売り場の拡張などを急いでいる。

(本文から)ところで、ことしの傾向は高級化とともにおしゃれ性を盛り込んだモー
ドガサも多く登場している。夏の風物といわれるパラソルを例にとっても純麻、麻・
ポリエステル混紡地にししゅう加工を施したものが多い。
また、長ガサは完全に影をひそめ、大半が折りたたみ式となっている。柄は雨ガサ、
パラソルを通じておしゃれ性を強く訴えたものが多く、流行のオプアート、小花柄、
小紋柄など近代感覚のものが中心。
値段は加工賃やカサ骨の値上がりから昨年に比べて1割程度高くなっており、普通品
で2千円前後。高級品だと3千円前後が中心。


■洋がさ―折りたたみ上伸(日本経済新聞。3月8日)
大阪の折りたたみ式は骨の相場が一本当たり従来の220円〜300円から、300円〜400円
に値上がりしていることも手伝って卸相場も約一ヶ月前に比べ紳士物,婦人物とも一
本当たり112円と上伸している。売れ筋は紳士物でナイロン製、婦人物では41センチ
のポリエス物がよく出ている。
一方紳士用長傘は低調で、特に綿生地物の市況がさえない。東京ではかさ骨が12月
に上げたあと、近く大手メーカーを中心に最値上げ機運にある。



■小さな花形―洋ガサ   (掲載紙・日付不明。多分日経)
=生産・消費・輸出の3冠王―下請け依存に悩み=
生産世界一、消費世界一、輸出世界一、と3冠王を誇っているのは日本の洋ガサ。生
産量は昨年は約360万ダース、今年は380万ダースくらいに増えるとみられてい
るが、2番目のアメリカは年間120万ダース前後の生産しかない。日本の競争相手
である西ドイツや香港は6,70万ダースどまり。
市場開拓の失敗などで38年には輸出が急減したが、その後は着実に伸びて昨年は85
万7000ダースとこれまでの最高を記録、今年は90万ダースを越えることはほぼ確実。
輸出先では、全体の5割を占めるアメリカ向けも好調だが、とくに目立つのはヨー
ロッパ向けの急増だ。ドイツ,オランダ、英国向けがよく伸びている。
・・・・・・もう一つ大問題は生産体制がおくれていること。・・・・・いわば近代
化が急務になっているのだが、低賃金を求めて一足飛びに台湾に合弁工場を作る業者
があり、うっかりすれば”台湾製日本洋ガサ”に海外市場を荒される皮肉な事態も心
配されている。


■シーズン入り控えた洋ガサ―飛ぶように売れる・婦人物は3段式に人気 (東京タ
イムズ6月2日)
洋ガサも・・・・・最近では雨具といったイメージが薄れて、おしゃれ的存在要素を
取り入れたものがたくさん出回っている。
婦人物でいま一番人気のあるのは、これまでの二段式にかわって登場した三段式折り
たたみ洋ガサだ。
若い女性の間では雨上がりでも傘を持っていないことがおしゃれだといった考え方が
強くなっているので、この小型サイズはオフィスレディーや若奥様方の間にたいへん
な人気。今年に入って本格的に出回ってきたので爆発的な売れ行きをみせている。
ことしは服の流行に合わせた花柄やタータンチェック、図案柄、畿何模様などはでな
ものが好まれ、色もグリーン、紺、エンジ、グレーのチェックと昨年よりもぐっと明
るくなっている。素材は殆どがポリエステルで、2000円〜2500円ものがよく売れてい
る。


■普及率は世界一―美しさ、小型化の傾向(読売新聞 4月25日)
大手メーカーの66年度の生産目標をみると、いずれも”雨の日を楽しく”するため、
実用品の域を乗り越えてアクセサリーとしての美しい洋ガサ、軽くて携帯を便利にす
るための小型化にしぼられている。
近く売り出される排水度の高い特殊加工のテトロン製品は使ったあと、ひと振りする
だけで完全に水気とれるという。
長がさと折りがさの人気は折りがさが6対4と断然。とくに都会の紳士にこの傾向が強
く見られるが、長がさは操作が楽なので長雨向き。折りがさは旅行用やにわか雨に重
宝で、両者の特徴をうまく利用するのが一番。折りがさも従来の二段から三段折りに
人気が集まって、直径1メートルの傘が22〜23センチメートルとハンドバッグやポ
ケットにおさまる小型物が市場に出始めている。婦人用は、じょうぶさよりも美しさ
が問題。従来の単色があきられ去年あたりから非常にバラエティーに富んだ、色もの
が要求されだした。



■伸びる雑貨輸出―欧州向け目立つ洋ガサ  (日経夕刊 5月2日)
洋ガサ輸出は、非常に好調だ。37年には71万5000ダースの輸出をしたあと、急減して
いたが、40年には85万6000ダースと急速に回復し、最高記録をつくった。今年に入っ
ても、昨年並みのハイペースをつづけている。
北米市場の動きが、日本の洋ガサ輸出を左右していたが、最近の特徴は、ヨーロッパ
向けが非常に増えてきたことで、昨年は25万4000ダースも出ている。ヨーロッパ市場
では、品質の良いものが求められているのに、値の安いものばかり輸出したので評判
を落とし、一時は失敗したが、業界では品質の向上と西独業界との話合いを進め、生
地を人絹からにナイロンへ切り替え、骨も高級品を使うことにした。
価格は高くなったが、信用は完全に回復したという。
西独業界との話し合いでは、@折りたたみ式は日本からださない。A折りたたみ以外
の輸入制限はしない、ということでもとまった。さらに日本のイメージを高めるため
統一ブランド採用を検討している。、






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