ユキちゃんプロフィール

kasaya.com
友貴のプロフィール:(ユキ)
奈良生まれ。福井、大阪、京都で大学まで過ごした後、渡英。大学院で開発学を学 ぶ。イギリスのNGOでの仕事を経てフランスへ渡り、国連専門機関ユネスコに勤務。 現在は翻訳業に携わりつつ、博物館の仕事など、新境地を開拓中。趣味は山歩きと旅 行。飼い猫のサーシャ(ロシアン・ブルー、メス)とピエンシュ(アビシニアン、メ ス)と遊ぶのが息抜き。傘屋の和ちゃんの従兄妹

夕暮れの芸術橋(撮影 YUKI)

               *─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*


 4月ー春を告げる復活祭
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  移動祝祭日として有名な、イエス・キリストの復活を祝う復活祭をご存知で
  すか?「春分の後の最初の満月の次に来る日曜日」とされており、今年は例
  年より遅く、4月20日日曜日が復活祭、翌日の月曜日は振り替え休日。
  復活祭が遅いと春の到来が遅いと言われていますが、その言い伝えとは反対、
  に今年は3月から大変暖かく、雨もほとんど降らないので、パリでは大気汚
  染が心配されているくらいです。

  前回は、2月に2週間の冬休みがあることをお伝えしましたが、4月には再び
  2週間の復活祭休暇が始まります。皆、休暇の準備は早めに済ますとあって、
  先日、休暇が終わる日のスイスからパリまでの寝台鉄道切符を予約しようと
  駅に出向いたところ、すでに満席で購入できませんでした。チューリッヒか
  らパリへの高速特急も満席。新幹線のように自由席はないので、席の予約が
  ないと電車に乗れません。


               *─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*

 フランス国有鉄道
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  フランス人が旅行の際利用する交通手段として一番人気は自家用車ですが、
  鉄道はその次に人気があります。日本の1.5倍の国土を持つフランスは、南北
  に長細い日本とは違い、6角形の理想的な形をしています。パリは6角形の中
  心よりかなり北にある都市ですが、鉄道路線がパリを中心に発達したという
  歴史的経緯もあり、パリから放射状に各地方へ鉄道路線が延びています。
  
  そのため、パリから地方への移動は比較的便利。一方、地方に暮らす場合、
  直線距離では近い都市へも、一度パリへ出てから鉄道を乗り換える必要があ
  ったりと、少し不便です。

  フランスの鉄道はごく一部の観光登山列車を除いて、フランス国鉄SNCFによ
  って運営されています。フランス国鉄は顧客のニーズをうまく捉え、スマー
  トなサービスで人気があります。ある統計によると、SNCFのホーム・ページ
  はフランスで一番ヒット数の多いサイトだそうです。

  その人気の秘密は、サイトが鉄道だけでなく、飛行機やホテル、レンタカー
  の手配など旅行会社としての機能も果たしていること。鉄道の時刻を調べた
  り、切符を予約・購入しようとしてアクセスする客が、他の旅行関係のサー
  ビスにも興味を持ち利用するようになっています。


               *─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*


 安い値段設定と充実した割引制度
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  よく日本では新幹線とフランスの超高速鉄道TGVのスピードが比較されますが
  スピードばかりに関心が集まり、乗り心地や値段の比較はあまりされません。
  実態はどうでしょうか?TGVには2等と1等がありすべて指定。2等は通路を
  挟んで横四列、1等は横三列で、二列と一列に分かれています。電車の揺れ
  はほとんどありませんが、2等席は、新幹線自由席に比べても、幅・奥行きと
  も狭く、少し窮屈に感じます。

  また、車内で飲食物を購入するには、専用の車両へ自分で買いに行かねばな
  りません。しかし、特筆すべきはその値段。例えば、パリから南仏のアヴィ
  ニヨンまでは742キロをたった2時間40分で行きますが(東京大阪は約550キロ)
  その値段はピーク時の2等正規運賃で79ユーロ(約9500円)。オフピーク
  時で65ユーロ(約7800円)。その上、SNCFによれば、乗客の4人に3人は何
  らかの割引運賃を利用しており、この値段より安い料金で移動しているとの
  こと。


               *─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*



  フランス国鉄の割引制度は日本のそれとは比較にならないほど充実していま
  す。特に、12−26歳までの若者と60歳以上の大人は優遇されていて、年に
  5千円ほどでカードを購入すると、全ての路線が半額または25パーセント引
  きに。また4歳(3歳までは無料)から12歳までの子供と共に電車を利用する
  と大人・子供共に4人まで同時に同様の割引が受けられるカードもあります。


  半額であれば、パリからアヴィニヨンまでたった3900円。このような子供や
  若者、定年後に時間のある老人を対象とした割引以外に、働きざかりの年代
  の人を含む一般向けの割引もたくさんあります。ただし、こちらの割引は日
  付の変更や払い戻しができないなど、条件付き。例えば、週末を挟む往復チ
  ケットは25パーセント引き、二人以上で旅をすると25パーセント引きなど。

  それに加え、つい最近始まったのが、出発の2週間以上前にインターネット
  で購入した場合に限っての特別割引。これですと、パリからアヴィニヨンま
  でたった3000円。他にも割引はいろいろありますが、特にフランスらしいと
  思うのが、勤労者は1年に一回鉄道を半額で購入できるという「勤労者割引」


  国も企業も、休暇をとることを奨励するフランスならではですね。


               *─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*─*


  各種割引以外にも、フランス国鉄の特色として、飛行機会社のマイレージカ
  ードと同様のサービスがあります。2400円で会員になると、以後は、乗車す
  るたびにキロ数に応じてポイントが加算され、無料乗車券と交換できるとい
  うもの。このサービスは3年前に導入されてから大変好評で、会員には各種
  割引の特典が用意されています。


  このように、リーズナブルな値段設定のおかげで、フランスに暮らし始めて
  からは、鉄道を利用して田舎を訪ねるのが私の楽しみの一つとなりました。


  一方、祖国である日本に戻り、地方へ旅行しようと思い鉄道の料金を調べる
  と随分と高く割引もほとんど無いので、二の足を踏んでしまいます。新幹線
  を利用するたびに、車内販売の売り子やアナウンス、電光掲示板のニュース
  などのサービスは無くても構わないので、値段を下げてくれればもっと利用
  するのに、、、と思うのですが、皆さんはどう思われますか?     (YUKI)



雨のパリ ブール・ティブール通り。 (撮影 YUKI)
よろしいなぁ、いっぺん巴里の雨にあたってみたいもんですわ(和ちゃん)

kasaya.com RAKUTEN kasaya.com home