傘屋さんへ行こう!

心斎橋みや竹 kasaya.com 傘屋さんへ行こう! Fellows吉祥寺店  




Shop Data
 Shop name :Fellows吉祥寺店
 Place : 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24
「ロンロン」2階       
 Tel :TEL:0422-21-8514
 Established year
 :昭和25年

ミセス相手の接客重視
地元密着の老舗


JR吉祥寺駅。直結する商業ビル「ロンロン」の2階に連なる店舗群の一角に「Fellows吉祥寺店」(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-1-24 TEL.0422-21-8514)はある。店を覗くと奥の目立つ特等席に傘が上品にディスプレイされている。品揃えは5000円台のブランド傘が中心だ。

「お客様のほとんどが地元在住の30〜50代のミセス。そうした家計を預かる主婦が、ちょっといい傘を買いたいとき、求めやすい価格がちょうど5000円くらいなんです。だからその品揃えを充実させています」と、店長の大滝昇吾さん(35歳)は話す。

商品は店長自らが展示会に足を運び決めることが少なくない。ポイントは、自分の店で開いたときの様子をイメージすることと、地元の主婦のニーズを考慮すること。基本的にその基準で仕入れるが、自分の主観にばかり頼ると、同じ類の商品で染まってしまう。「だから、少し、基準から離れた変わったものも仕入れる。例えばアニマル柄などです」。それがアクセントになり、ラインナップに遊び心が出てくるわけだ。

ターゲットを絞り、店作りを巧みに進める大滝さん。実は傘屋は家業であり、自身は3代目である。元々は祖父母に当たる定義さんとそめさんが始めた。戦後間もない昭和25年のことである。定義さんは現在の吉祥寺駅前に路面店「大瀧」を開くとともに、傘の卸しにも精を出した。毎日何十本の傘を束ね、自転車で配達していたそうである。

その後、昭和44年に吉祥寺駅の高架下のスペースを活用して「ロンロン」が開業し、2代目の信夫さんがテナントとして入居することを決断する。店名も「仲間」を意味する「Fellows」に改名した。当初は1階に店を構え、数回の改装を経て、最終的には床や柱に大理石を使った高級感溢れる洋傘専門店となった。

だが、平成13年頃、1階が全面食品街になることが決まり、2階への移転を余儀なくされる。それを機に、より広いニーズに対応するため、財布や手袋、バックなども置くようになった。ちょうどその頃から昇吾さんが店長となる。それまでは中古CD屋や駄菓子屋で働くフリーターだったが、20代後半で家業を継ぐことにしたのだ。

昇吾さんはすぐにこの商売の虜になる。特に醍醐味を感じるのが接客だ。「祖父母の代からのお客様が、2階に移ったのを知らずにたまたま訪れ、話すうちにその孫だということがわかる。すると、目を細めて喜び、また常連となってくれる。その巡り会わせが実に楽しい」。

修理依頼も多い。夫や母の形見という品もある。それを簡単なものなら昇吾さんがその場で直す。難しいものはメーカーに依頼する。結果的に傘が甦り、持ち主が喜ぶ。また、傘のアフターケアの話もよくする。使用後は陰干しにすることやその理由を丁寧に説明すると、客がまた喜ぶ。そうして接客で相手の役に立つことがたまらなく嬉しいという。 最近よく祖父に似てきたといわれる。

「特に眉毛の辺りだと。照れくさいですけど、何となく嬉しいですね」と昇吾さん。しかし、すぐに表情を引き締め、「祖父母が立ち上げたこの家業、遺志を受け継ぎ、いつまでも続けていきたい」と決意を新たにした。


◆Fellows吉祥寺店の大滝昇吾店長◆




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