正しい靴の履き方

 知っているようで知らないのが、靴の正しい履き方と脱ぎ方です。
 パンプスやローファーはそのまま履きこめばよいのですが、紐やベルト、マジックテープなどの付いた靴は、正しく脱ぎ履きしないと靴も足も痛みます。

  a.下準備1(靴下)

 靴下は靴の履き心地に大きな影響を与えます。正しく履かないとつま先の動きを悪くしたり、指先の蒸れや外反母趾をはじめとする足の障害の原因になります。

 購入したとき靴下は写真のようになっています。 このままで履き込むと、つま先が圧迫されて指が開かなくなります。


 
 つま先のステッチを横に引っ張って足指の幅に広げ、靴下のつま先の角を四角に成形してゆきます。 他の部分は出来るだけ伸ばさないようにします。


 つま先のステッチを指先に合わせて丁寧に履きこみます。 絶対に強く引っ張って履き込んではいけません。
 床に足をつけて強く踏み込んでも、爪や指が圧迫されていないか、足指が自由に動くかをチェックします。


    b.下準備2(靴紐)  


 紐付きの靴は、出荷されるとき、実際に使用するときとは違う紐の通し方(写真右上)をされていることがあります。店頭に陳列しておいたときに靴が引き立つようにするためです。
 しかし、これでは紐を締めたり緩めたりするのが難しいので、別の形に通し直さなければいけません。


 最も実用的な紐の通し方はオーバーラップ(写真右下)という方法です。
 これが最も絞め具合の調整や脱ぎ履きの容易な方法なのです。
 紐を最初のハトメ(紐を通す穴)に上から通したら反対側のひとつ上段のハトメに上から通し、これを一番上のハトメの手前まで繰り返し最後のハトメだけ下から上に向かって通します。
 

    c.正しい履き方  


 まず紐の靴は紐をできるだけ緩め、ベルトの靴はベルトをはずし、マジックテープの靴はテープをはがしておきます。


 靴を履きこんだらつま先を上げて脚の重さで踵をヒールカップに密着させます。マジックテープやベルトは十分に土踏まずをホールドするまで引っ張って固定します。
 紐の靴は下のハトメから順番に絞めていきます。
 このとき、紐は必ず横に引っ張ります。 上に向かって引くと、ハトメの周りに巻き付き抵抗が発生して締まらなくなります。
 足の甲と足首の境のハトメ(ローカットの靴では最後のハトメ)は、弛みをとるていどに絞めます。


    d.正しい脱ぎ方  

 紐を十分に緩めなかったり、ベルトやマジックテープを外さずに靴を脱ぐとヒールカップやアーチサポートなどを傷めます。


 最初に、一番上のハトメから紐が抜けないぎりぎりのところまで緩めたら、片手でこれを持ったまま次のハトメから紐を引き出してゆきます。そして、最初の紐の輪を適量残しておきます。 これを順に一番下のハトメまで繰り返します。


 私の経験では、正しい靴の脱ぎ履きが出来ていればインソールを含めた靴の寿命は3倍以上になります。ただし、悪い履き方を前提にしてつくたれた靴では、あらゆる材料の耐久性が短く設定してあるため、正しい履き方を心がけても耐久性はさほど増しません。 一見高価なように思われる靴が、実は特売用の靴よりも長持ちして使用時間あたりのコストは安く抑えられているのです。

 正しく靴を脱ぐ事は、次に靴を履く準備でもあります。

 



上記記載内容は講談社『ウォーキングマガジン』(2003年10月号)の特集記事「自分に最適な靴を見つけたい。」に採用されました。





画像提供:講談社ウォーキングマガジン