鋼のお話
刃物は鋼でつくられます。ですが、鋼と一口に言っても色々な種類があります。
和包丁を選ぶときに良く出てくる名前の「白紙」「青紙」「銀紙」っていったいなに?
しかも1号とか2号とか、どう違うの??
結局どれが一番良いものなの?
一番わかりやすい目安はお値段です。でもお値段って鋼の種類だけで決まるものでもないので、いろいろ難しいですよね。
(柄の種類や加工の仕方・形状・長さで大きく変わってきます)
包丁や大工道具に使用されている鋼には、白紙・青紙・銀紙など名前が付いています。
これはすべて、安来鋼(ヤスキハガネ)の一種です。
安来鋼(ヤスキハガネ)というのは、日立金属(株)が開発した鋼の一種です。
- ■たくさんある鋼の中の一種
【安来鋼】 -
└┬白紙鋼 (主に高級刃物に。熟練職人の手にかかれば他の鋼に負けません!)
├青紙鋼 (主に高級刃物に。白紙鋼よりも硬く、粘り強い)
└銀紙鋼 (主に家庭用。錆びにくいけれど軟らかい)
ヤスキという地名がついているのは、かつて中国山地で採れる純度の高い砂鉄から「たたら製法」で玉鋼に洗練されていたことに遡ります。
その伝統を受け継いで、日立金属(株)が安来工場を創設し、鋼を造り始めたことによります。
- 「白紙とか青紙とかの名前の違いって?」
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白紙・青紙・銀紙という名称は、日立金属(株)ができあがった鋼を区別するために白い紙、青い紙を目印につけました。
それが鋼の名前の由来なっています。鋼自体が白っぽいとか青味がかっているとかではありません。
- 「それぞれの特徴は?」
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■白紙鋼
- 高級刃物に使用される鋼です
- 天然砥石で鋭利な刃が付きます
- 砂鉄系の原料でできています。
- 合金成分が含まれていないので、鍛冶職人の技量の優劣が出てしまいます。
- 熟練した鍛冶職人の手にかかれば、他の鋼に負けない硬度と粘り強さが得られ、切れ味の良い優れた包丁になります。
■青紙鋼
- 高級刃物に使用される鋼です。
- 白紙にクローム(靭性・焼入性に関与)とタングステン(耐摩耗性に関与)と炭素の化合物が含まれています。
- 白紙よりも鋼自体の硬度が高く、粘り強さも持っています。
- 磨耗しにくく長切れします。
■銀紙鋼
- 家庭用包丁によく使われる鋼です。
- クローム(靭性・焼入性に関与)を多量に加えたステンレス鋼です。
- 錆びにくいです。
- 硬度がいくぶん低くなっています。
- 「1号とか2号とか何のこと?」
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青紙1号、白紙2号等々ありますが、この号数は炭素の含有率の違いです。
炭素が多いほうから1号、2号、3号と付いています。(銀紙系は除きます)
炭素が多いほど硬く、欠けやすくなります。