よくある質問
補聴器 Q&A
Q1.デジタル補聴器とアナログ補聴器の違いは?
アナログ補聴器は、音をそのまま電子信号として扱って処理し、音を増幅します。一方、デジタル補聴器は、音響信号を0と1のデジタル信号に変換し、補聴器内のシステムにより、周波数の多チャンネル化や騒音抑制、ハウリング抑制などの信号処理を行うことで、会話の聞き取りやすさを向上させます。
デジタル補聴器はアナログの補聴器と比べて、一人ひとりの「聞こえ」の度合いに、より柔軟に対応できるようになりました。
Q2.ボリュームコントロールのある機種とない機種がありますが、どちらが良いのでしょうか?
現在の補聴器は、ノンリニア増幅処理が主流で、小さい音や大きい音の増幅する度合いを、補聴器が自動的に調整します。そのため、一回一回ボリューム操作を行わなくても、日常生活に不便がありません。日常生活に不便がないので、補聴器にボリュームコントロールが無い機種があります。
ただ、最近はボリュームコントロール付の機種で、テレビを見るときや講演会で演者の話を聞くときなど、場面場面で音量を変えて使用するケースが増えてきています。手元でボリューム操作ができるリモコン付の補聴器もあります。
Q3.補聴器を使用することで、頭痛や耳鳴りが起こることがありますか?
使用者にあわせて、補聴器の音量や音質など適切なフィッティングができていれば、頭痛や耳鳴りがおこることはほとんどありません。
※補聴器を使用する前から頭痛や耳鳴りがある場合は、事前にご相談ください。
ただ補聴器に慣れないうちは、補聴器の音を必要以上に大きくすると疲れる場合があります。
初めて補聴器を使用される方は、やや抑え気味の音量で、静かな室内で1日数時間程度をめどに使用して、まずは補聴器の聴こえ方に慣れることから始めましょう。
Q4.補聴器を使えば、聴力が元に戻るのですか?
補聴器は、聴力が衰える以前の聴こえ方に戻すものではなく、今の聴力を最大限に活かすための補助道具です。 「聞こえ」の程度は人それぞれですので、補聴器を使用した効果も人それぞれ異なります。
必ずしも100%の聴力が戻ることはありませんが、ご自分に適した補聴器を使用することで、「聞こえ」の不安を軽減し、人とのコミュニケーションをより円滑にいたします。
Q5.補聴器は両耳につけなければならないのですか?
本来、耳は二つあるので、両耳の聴力が衰えているのであれば、両耳に使用する方が多くのメリットがあります。
片耳に使用する時よりも、小さいボリュームで聞くことができるうえ、騒音の中での会話がはっきりと聞き取りやすく、音の方向感や立体感が向上して、外出時も安全です。
はじめて補聴器をするときは、慣れるために片耳から使用するケースが多いですが、お早めに両耳に付けることをお勧めします。
Q6.補聴器に慣れるのに良い方法はありますか?
初めて補聴器を使用される方や、買い替えで新しい補聴器を使う場合には、「聞こえ」の違いに少しずつ慣れていく必要があります。
STEP1 家の静かな所で使用してみる
初めて補聴器を使用する場合は、まずは聞こえ方に慣れましょう。新しく聞こえる音が何の音かわからなかったり、今まで聞こえていた音も補聴器で聞くと感じが違って聞こえたりする場合があるためです。
1日数時間程度、疲れない程度に少しずつ慣れていきましょう。
STEP2 1対1での会話に慣れる
相手の会話の調子など、今までと少し違って聞こえますので、最初は顔の表情も見えるように向かい合って会話してみましょう。周囲の雑音も聞こえ、多少うるさく感じることもあるかもしれませんが、音に慣れていくことで、人の声が聞こえやすくなります。
STEP3 テレビやラジオを聴いてみましょう
テレビやラジオの音量を、会話するくらいの音量にして、音の聞こえに慣れましょう。
STEP4 数人での会話
周囲の雑音が大きいと会話が聞き取りづらくなるので、複数の人と会話する場合、話をしている方に注意を向けて話を聴くようにしましょう。
補聴器の中には、指向性機能をもったものもあるので、使用する場所・環境に応じて、補聴器を使い分けるのも快適な聞こえを得るための一つの方法です。
Q7.補聴器をつけたまま電話は使用できますか?
個人の聴力の程度と補聴器の種類でも異なりますが、電話での会話でも大きな助けになるでしょう。
補聴器をつけている・つけていないに関わらず、電話は相手の顔の表情が見えず、会話が聞き取りにくい場合があるので、静かなところで電話しましょう。
補聴器をつけて電話する場合は、補聴器のマイクから2〜3cm程の距離に受話器を近づけなければ、電話からの声が聞こえません。
◎耳あな型補聴器使用の場合
受話器を普通に耳にあててご使用ください。
◎耳かけ型補聴器使用の場合
耳かけ型補聴器の場合は、普通に耳にあてても音が補聴器に入らないので、よく聞こえません。補聴器の上部にマイクがありますので、受話器をこの部分に近づけるようにします。
◎ポケット型補聴器使用の場合
補聴器を受話器の近くに持っていき、マイクに近づけるようにします。
受話器を逆手に持つなど、少し工夫が必要です。
◎携帯電話使用の場合
携帯電話の種類にもよりますが、携帯電話に対応した補聴器では問題なく使用できます。
もし、ノイズが多すぎるなどで携帯電話の使用が難しい場合は、補聴器をはずして使用します。
※ハウリング(ピーピー音)について
電話を使う際に、受話器を補聴器に近づけすぎると、音がピーピーと鳴る場合があります。このハウリングは、耳あな等からの音が漏れ、再び補聴器で音を拾ってしまうことで起こります。
ハウリングが起こる場合は、受話器の位置をずらしてみたりと、ピーピー音がならない場所を探してください。
どうにもならないような場合は、耳せんなどの型を替えたり、オーダーメイドで作り替えるなどの必要があります。
Q8.補聴器はいつでもつけたままで大丈夫?
補聴器は、生活の中で必要な聴力を補うものですので、疲れない程度に着けっぱなしでいることに問題はありません。
ただ、多くの補聴器に防水機能はありません。耐汗性のある補聴器はありますが、プールやお風呂・シャワーでの使用はできません。
一部のメーカーでは、防水機能を持った補聴器もあります。けれども、半永久的に防水機能が働くわけではなく、日頃のお手入れの他に最低でも1年に1度のメンテナンスが必要になるのが一般的です。
補聴器は精密機械ですので、水分が浸入すると故障の原因になります。夏場など、汗をかく季節は必要に応じて、汗をふき取るようにしましょう。
Q9.補聴器から出る電磁波は身体に影響がありますか?
補聴器の使用で発生する電磁波は、身体の健康に影響を与えるほどのものではありませんので、安心してお使いください。
Q10.補聴器をつけたままレントゲン・MRI・CTを受けても大丈夫ですか?
MRIは極めて強い磁場(磁力の働く場所)を発生させます。そのため強磁性体(鉄やニッケル)があると、そこに磁力線が集中し、補聴器の部品が壊れる恐れがあります。
また、金属類などが移りこむと、肝心の診断に影響する場合がありますので、MRI等の画像撮影を行う際には、必ず補聴器をはずすようにしましょう。
※受診時は、医師の指示に従いましょう。
また、接骨院などで使用する低周波治療器や、ご家庭でのIH電磁調理器のなかには、補聴器に影響を及ぼし、とても大きな雑音が入る場合があります。
補聴器そのものを壊す恐れは少ないですが、デジタル補聴器によっては支障をきたす場合があるので、異変を感じたら使用を中止し、販売店に問い合わせてみましょう。
Q11.他人の補聴器を使用しても問題はありませんか?
補聴器は、各使用者の聴力レベルに合わせた調整をしているので、他人の補聴器をそのまま利用することは、ご自身の聴力に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、耳せんや耳あな型補聴器など、ご自身の耳の形に合わないものを使用していると思わぬ怪我をする恐れがありますので、他人の補聴器を使用することはおやめください。
Q12.価格が安い機種と高い機種がありますが、その違いは何ですか?
補聴器の価格は、補聴器の機能・性能の違いです。
一般に価格の高い補聴器は、雑音を抑制する最新の機能や、自動的にハウリングを抑える機能、そして、一人ひとりの聴力にあわせて、音質をきめ細かく調整できる機能が搭載されています。
補聴器は高ければ良いというものではありません。補聴器を購入される場合は、価格よりもご自分の「聞こえ」の程度と、使用環境など目的に合った機種を選びましょう。
「聞こえ」の差は補聴器を装用する環境によります。特に騒がしい騒音の中では、言葉の聞き取りに違いが出ます。
どんなに高い補聴器でも「聞こえ」の程度や補聴効果の評価に個人差があります。
まずは、ご自身の「聞こえ」の程度を知ることが大切です。
その上で、どんな場合で聞きづらさを感じるのか、どんな環境で補聴器を使用し、何を重視するのか等をお知らせください。
Q13.なぜ補聴器は高価なのですか?
補聴器は「聞こえ」を補う重要な働きをします。より自然でクリアな音質にするために、先進技術を使って開発された、精密な医療機器です。
また、一人ひとりの「聞こえ」の程度に合わせて調整するため、ある程度高価になってきます。
Q14.指向性機能とは?
指向性マイクロホンは、周囲の音を抑制し、一方向からの音に対してのみ、適度なマイクの感度を得ることができます。補聴器に搭載される指向性機能は、顔を向けた方向からの音をより聞こえるようになっています。
指向性機能は、雑音下でより良い聴取環境を作り出すことができるシステムといえます。
補聴器 お手入れ
Q15.補聴器の耐用年数はどのくらいですか?
補聴器の耐用年数は、一般的に約5年が目安となっていますが、使い方や保守の仕方によっても大きく変わります。保守によっては、1〜2年で故障する場合も珍しくなく、一方、大切に使用されている場合は、10年以上故障なく使用される場合もあります。
また、補聴器は耐用年数以外に聴力の状態の変化により、十分な聞こえの補償が出来なくなることがあります。
多くの補聴器はある程度の聞こえの変化に対処できるようになっていますが、限度を超えた変化には対処できませんので、その場合は、新たに聞こえの状態にあった補聴器に替える必要があります。
Q16.補聴器の修理は購入後何年までできますか?
一般的には各メーカーとも、補聴器の修理部品は、その補聴器が製造中止、もしくは販売完了になってからも5年間は保有しています。
Q17.耳せんに耳垢がよくつまりますが、対策はありますか?
補聴器から音が出る孔に耳垢がつまると、補聴器が正常に機能していても正常に聞こえなくなり、故障と勘違いされる方も多いです。清潔にしておくことが、衛生的にも聞こえにも良いですので、こまめに掃除を行いましょう。
各補聴器メーカーでは、補聴器に耳垢除去、または耳垢防止フィルターの交換が簡単にできるような工夫がされています。耳垢には、乾性タイプの方と湿性タイプの方とが居り、補聴器の掃除の仕方、チップの交換などの対処が異なります。
◎乾性タイプの方
ブラシを使用して掃除を行います。ときどき、耳垢防止フィルターを交換しましょう。
◎湿性タイプの方
耳垢が奥まで侵入してしまうと、取り出すことが困難になりますので、少しでも耳垢がつまっていたら、耳垢防止フィルターを交換しましょう。
Q18.補聴器のお手入れはどうすれば良いですか?
補聴器は精密機械ですので、お手入れにも細心の注意が必要です。慣れない方は、外部ケースを乾いた布やティッシュペーパーで拭く程度にしましょう。
保管方法としては、乾燥剤入りのケース(ドライケース)に電池を抜いた補聴器を入れ、本体を湿気から守ることが、故障の予防になります。
タイプ別のお手入れは以下の通り。
※それぞれのお手入れの詳細は、各補聴器の取扱い説明書を参考にしてください。
◎耳あな型補聴器の場合
音の出る孔に耳垢が詰まっていないか、また、音を拾うマイク部分に手垢やゴミなどが詰まっていないかを確認・掃除します。 また、「聞こえ」が不安定な場合は、電池を点検してみましょう。電極に貼られていたシールの糊によって、接触不良を起こしていることもあります。
また、冬など気温が低い時に湿気にさらされると、音孔部分が結露することがあります。この場合は、乾燥剤などで補聴器を乾燥させ、水分を除去します。
◎耳かけ型補聴器の場合
耳かけ補聴器は、本体とは別に耳に入れる耳せんに耳垢や汚れがついていないかを確認・掃除します。
また、耳かけ型補聴器は、耳にかける部分(イヤーフック)の根元が汚れている場合があります。その場合は、アルコール等に浸した綿などで汚れを落とします。汚れがひどい場合は、イヤーフックを交換する必要があります。
寒い季節には、補聴器本体から音を耳に伝えるチューブが結露(水滴がたまること)することがあります。この場合は、チューブをはずして水滴を抜きましょう。
夏には、補聴器に汗がつき、故障が多くなります。こまめに乾いたハンカチや、やわらかい布で汗をふきとりましょう。
◎ポケット型補聴器の場合
耳せんの中に耳垢が詰まっている場合は、ブラシで耳垢を取り除くか、中性洗剤で洗いましょう。
また、補聴器本体のマイク部分にホコリや汚れがたまると音がでなくなったりするので、ブラシで汚れを取り除きましょう。
◎耳せんの掃除の仕方
ぬるま湯に中性洗剤を少し溶かし、その中で耳せんの孔をつまようじなどの細い棒で掃除・洗浄しましょう。
Q19.補聴器を分解掃除する目安は?
補聴器は、汗・湿気・ほこりなどの原因により、故障する場合が多いので、2年に一度程度、分解掃除(オーバーオール)をすることをおすすめします。特に耳かけ型補聴器は、汗などが補聴器内部に入り込んで腐食しやすいので、分解掃除を行いましょう。
また、補聴器の点検は、使用頻度や使用環境によって違いますが、3ヶ月に一度程度、点検やクリーニングを行うことで補聴器が長持ちします。
Q20.よくある補聴器の故障の原因は何ですか?
使用環境による故障
補聴器は湿気の多い場所で使用していると故障する場合があります。
※厨房の中で働く調理師さん、漁師さん、水をよく使用する環境など
汗による故障
特に耳かけ式補聴器は、突然の雨や汗をかいた時など、補聴器本体の内部に水分がしみこみ、部品が腐食する場合があります。
雨や汗で補聴器が湿った場合は、乾いたハンカチややわらかい布等でふき取り、乾燥剤の入ったケースに保管していただくことをお勧めします。
耳あかによる故障
耳あかが音の通り道に詰まることによって起こる故障です。専用ブラシで音が出る孔をこまめに掃除してください。
落下衝撃による故障
各補聴器メーカーともに、補聴器の落下テストを行いながら開発をしていますが、精密機器である補聴器にとって、落下による衝撃は大きなダメージです。普段からできるだけ、コンクリートや床など硬いものの上には落とさないようにご注意ください。
劣化による故障
耳あな型補聴器や耳かけ型補聴器のレシーバーやマイクなどに使用されているゴム製やウレタン系の部品は、長期間(購入されてから数年など)にわたり使用しますと、磨耗劣化をおこします。
使うほどに劣化は進みますので、定期的な点検・交換をお勧めします。
結露による不具合
冬になると、室内と室外の温度差により、窓に水滴がつく結露がおこります。同様に、補聴器でも、耳の中の温度と耳の外にある補聴器本体との温度差により、補聴器内部や耳かけ型のチューブ管で結露がおこる事があります。
そうした場合に、補聴器の音が弱まったり、音が出ないなどの不具合がおこったりします。
補聴器に水分は大敵ですので、乾燥剤を利用した補聴器の保管を徹底して行い、それでもトラブルが度重なる場合には、より強力な乾燥機の使用をお勧めします。
補聴器用の電池(空気電池)について
Q21.空気電池の買い替えについて
補聴器に使用される空気電池は、主にサイズ別に4種類が使用されています。
10AE(PR536)シール色…黄色
312AE(PR41)シール色…茶色
13AE(PR48)シール色…オレンジ色
675AE(PR44)シール色…青色
電池の大きさなどがわからない場合、間違いがないのは、お使いの補聴器に使用されている空気電池と同じものを選ぶことです。
一部補聴器では、補聴器の出力に合わせて、ハイパワータイプの空気電池を指定しています。(この場合のハイパワーとは、瞬間的に大きな電流を供給できるというもので、長寿命という意味ではありません。標準タイプと比較すると、電池寿命は短いです。)
特に補聴器側で空気電池の指定のない場合は、標準タイプをご使用ください。
空気電池には、いつまでに使い切ることが望ましいという「推奨使用期限」が設定されています。メーカーや電池の種類により若干の違いがありますが、およその目安は1年半から2年です。
空気電池を購入される際は、最大でも1年間で使い切ることができる量を目安にしましょう。
Q22.使用済みの空気電池はどこへ捨てれば良いでしょうか?
使用済みの空気電池は、販売店に持っていき、リサイクルしましょう。回収箱に入れる際、電池がショートするのを防ぐために、電池のプラスとマイナスをセロハンテープなどで絶縁してから回収箱に入れましょう。
Q23.一度シールをはがした空気電池に再びシールを貼れば、電池の消耗は減らせますか?
空気電池は、空気中の酸素を使用して発電します。シールをはがした空気電池は補聴器で使用しなくとも少しずつ消耗し、シールを貼り直しても放電状態が続き、電池が空になってしまいます。
電池のシールは交換の際に一つずつはがしてご使用ください。
Q24.電池を交換したのに、音が聞こえづらい
空気電池は、化学反応により発電を行います。
特に、空気電池が冷えている場合、発電が安定するまで数分程度の時間がかかる場合があります。
使用する際に、シールをはがして、少し手のひらで温めてから電池を交換すると、発電の安定が早くなります。
また、シールをはがした際に電極に糊が残って接触不良をおこしていると、音が弱まったりしますので、シールは綺麗にはがすようにしてください。