絵画の知識 2(油彩画などについて)

グレイスアートコムでご紹介する作品は版画や油彩・アクリル画・パステル画などの一点物とポスターなどです。ここでは主に油彩画など原画・1点物の作品の技法についてご説明させて頂きます。1点物の作品は使用する絵の具などにより、様々な技法に分かれます。

原画・1点物作品の技法の種類

■油彩

油絵の具とそれを薄めるワニスを用いてキャンバス又はボード(板)などに直接描画する技法である。色調や色の濃淡が容易に得られ、線描も出来る。薄塗、厚塗、光沢、半光沢など、自在に表現でき、乾いた後の色の変化も少なく優れた技法である。15世紀のフランドルのヴァン・アイク兄弟がこの技法で高い芸術完成度を示した後、16世紀のイタリアルネッサンス時代に花開いた。17世紀に入るとフランドルのリュ―ベンスがこの技法で華やかな作品群を産み出し、同時代のオランダのレンブラントも重厚な深みのある作品を制作した。その後各種の添加物により、新たな材質感を創案することになり、19世紀の印象派によって最も表現力に富む絵画技法のひとつとして、今日まで愛好され続けている。

■アクリル

アクリルは水彩絵の具と異なり、乾くと耐水性になる。これを原料としてアクリルガッシュという絵の具で描く技法。樹脂絵の具であり、水で絵の具を溶いて、油絵のように描ける点が優れており、軽くて明るい現代的な感触がある。

■グワッシュ

不透明性水彩絵の具による技法。水分の調節により、はっきりした色からにじんだ色まで多くの諧調で描ける。色の濃淡のコントラストによって生き生きとした動きを表現できる。ワイズバッシュのドンキホーテや音楽家シリーズ等はグワッシュで描かれた名品が多い。

■パステル

パステルは淡く柔らかな色を表現すると同時に、鮮やかで力強い発色性にも特徴がある。外形性状も一見色チョークに似た棒状固形絵の具で、重ね塗り、ぼかしなど多彩な表現ができるが、定着性がないために粉がこぼれやすい。従って描き終わったあとにfixativeというものを使って粉がこぼれないよう定着性を高める。オディロン・ルドン、ドガ等このパステル画によって多くの名作を描いた。

■水彩

水彩画のaquarelleのaquaはラテン語で水。英語でwater color。水彩絵の具を用いた技法であり、絵の具と水のバランスによって画面に緊張感とメリハリが出てくる。深描による描き込みや、点描、ハッチングによる描写が生き生きとした効果を生みやすい。

■フレスコ画

『フレスコ画』は、『壁画』を描く方法として有名だが、今日では壁画のみではなく、その他の素材にも描かれている。イタリア語の「fresco(新鮮な・生気ある)」という形容詞に由来し、顔料自体の明るく強い発色と耐久性が抜群などの特徴を持つ。

■岩彩

日本画に使われている顔料は岩彩と呼ばれており、天然の岩石をくだいて、粉にして使う。岩絵の具を皿にのせ、膠水(にかわすい)を混ぜ、指でよくなで、さらに水を加えて濃度を調節して出来上がる。粒子が細かいほど薄い色が出せる。日本や中国で使われており、石の美しさが岩彩の魅力であり、みずみずしい色が変退色しないで長持ちするという特徴がある。

■水墨画

墨の濃淡や流れのみをもって表現する技法。墨書と同じくらい古い歴史があり、日本には文人画として、中国より渡来した。南宗画系と北宗画系に二分され、江戸中期、日本にこの南宗画が入ってくると、当時の文人墨客は好んでこの技法を学んだ。

■素描(デッサン)

英語では、ドローイング。往年の巨匠は全てデッサンに秀でていた。中でもレオナルド・ダ・ヴィンチ、デューラー、ドガ、ロートレックなどは、デッサンだけで名作と呼ばれる作品が多い。

ポスター

ポスター用の高機能プリンターを使用することによって、版画等と比較するとはるかに快速に印刷することができる。印刷コストを考えると、とてもリーズナブルである。最新式の機械になると、染料系インクだけではなく、顔料系インクにも対応し、その表現能力・耐久性はますます高いものとなっている。
通常、限定枚数などは無いが、リトグラフポスター・セリグラフ(シルクスクリーン)ポスターなど、版画と同じ技法で刷られたポスターの中には限定枚数で制作されているものもあり、普通のポスターより稀少価値が高い場合もある。
特に、ピカソ、シャガール、マティス、など巨匠の作品を、フランスのムルロー工房など有名工房が制作したリトグラフポスターなどは稀少価値が高く、版画等の美術品と同様に市場で取り扱われている。

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