皆さんは、徳島と聞くと何を連想しますか?おそらくどなたでもご存
知なのが、「踊る阿呆に見る阿呆同じ阿呆なら踊らにゃ損々」で有名な
『阿波おどり』でしょう。これは400年の歴史を持つ徳島の夏祭りで、
毎年8月12日から15日までの四日間開催されるそうです。TVで拝
見すると、リズミカルで一見ユーモラスな踊りに見えますが
、実は大変
体力のいる踊りだそうですね。
出来る事なら、一度現地で見て
みたいものだと思っております。
また人形浄瑠璃のお好きな方は、「父様の名は十郎兵衛、母様はお弓と
申します」のセリフで有名な、阿波人形浄瑠璃『傾城阿波鳴門(けいせい
あわのなると)』が思い浮かぶ事でしょう。
主君が刀を盗まれてしまったため、それを探すために大阪で盗賊に身を
落としながらも詮索を続ける十郎兵衛・お弓夫婦。
そこへ、巡礼姿の娘お鶴がはるばる徳島から
父母を尋ねて来る場面が見所です。
母と名乗れぬお弓、娘と知らずに我が手に掛けて
殺してしまう父十郎兵衛、そして真相が分かって
苦悩する夫婦の悲嘆。
一見の価値ありとお薦め致します。
さてそんな徳島ですが、実は古くから木工業が盛んな土地でした。
これは周囲を海に囲まれた四国では当然の事ですが、古来より水運が
発達したことがその原因だと言われています。つまり、阿波水軍などに
代表される水軍が使う船を造る船大工の技術が、そのまま木工業に
生かされた訳です。普通の船と違い、戦をする水軍の船はその精度は
もちろんですが、何倍もの頑丈さも要求された事でしょう。そんな水軍の
船を造っていた技術が継承され、徳島の家具造りが始まったのです。

明治の中頃から鏡台や針箱の
産地として栄えた徳島ですが、
当時は『阿波鏡台』の名前で全国に
出荷されました。
その流れを汲み、今でも徳島の
主要な家具は鏡台です。以前もご紹介しましたが、現在国内の鏡台の
産地で有名なのがこの徳島と静岡です。一昔前ですと、この二つの
産地の鏡台は割りと簡単に見分ける事が出来ました。と申しますのも
徳島は品質にこだわり、大消費地の東京を控えた静岡はデザイン性を
重視していたからです。
つまり、上等なのは徳島産で、洗練されたデザインのものは静岡産と
思えば、先ず間違いのないところでした。
しかし今では両産地ともお互いが相手の良いところを取り入れて作って
いますので、一見しただけでは判断し辛くなって来ました。
しかし私は、今でも『徳島の鏡台』・
『静岡のドレッサー』と呼んで区別して
います。このニュアンスの違い、
分かって頂けるでしょうか?
そしてこれも以前お話しした事ですが、今は昔と違い、結婚される女
性が余り鏡台を必要としなくなりました。価値観の相違と洗面化粧台、
この二つの要素が花嫁道具の筆頭にあった鏡台の地位を奪う結果になっ
てしまったのです。そのため徳島の鏡台も生産量が減り、経営的に困難
な時代を迎えています。その中で、産地徳島は新たな商品群の開発を手
掛け、次代への生き残りを掛けた挑戦が始まっています。伝統的な鏡台
造りだけに拘らず、その技術を生かしたトータル家具の開発、銘木をそ
のままテーブルにする一品物、そして椅子や小物、また古い家具の再生
にも力を入れています。阿波徳島、これから注目の産地です。