作業効率のアップや仕事の創造性の向上のススメ

3月号 失敗しない! 自分でできるオフィスづくり − 第5回 パーティション −

今回のテーマは、「パーティション」
部屋を作るのに必要になるパーティションと、万が一仕事中に災害にあっても生き延びるためのノウハウを、元内装業者であり、現在は防災コミュニティのボランティア代表も務める、杉本 崇さんにお聞きしてきました。
杉本さんとは、内装業者時代に一緒に仕事をしてきた仲で、その仕事は打合せから実際の施工まで幅広くオールマイティー!
たくさんの現場経験があり、しかも防災についてのノウハウも深い杉本さんならではの、リアルなインタビューとなりました。

1 パーティションってどんなもの?

オフィスレイアウトでのパーティションは、日本語で言えば「間仕切り」のこと。 部屋と部屋を仕切るために、後から付け足すような壁です。 設置してしまえば頑丈な壁ですが、レイアウト変更などがあれば部材を利用して組み換えをすることもできます。

吾郷 今日はよろしくお願いします。

杉本 お願いします。

吾郷 パーティションで、会議室や応接室をつくったりが大体多いですよね。その中で、遮音性を高めたければ、どうすればいいんでしょう?

杉本 音の流れは空気の流れと一緒なんです。大体アルミパーティションとスチールパーティションという2種類なんですが、スチールパーティションのほうが断然遮音性は高い
あと、欄間(らんま)っていう、要は2,100mmより上の部分、調整する部分ですが、その欄間をオープンにする場合とガラスにする場合とパネルにする場合とあるんですけど、やっぱりオープンにしておいたら、その分、風も行くので、やっぱり遮音性はよくない。だから、やっぱりガラスもしくはパネル。スチールパーティションで考えたら、やっぱりパネルのほうが遮音性は高いと思いますけど、アルミパーティションで考えたら、どうでしょう、ガラスもパネルもそんなに変わらないんじゃないかな。

吾郷 スチールは、なぜ遮音性が高いのでしょうか?

杉本 スチールパーティションは柱との密着性が高いんですよ。

アルミパーティションの場合は、柱とのクリアランスというか、すき間がちょっとあるので、触ってもガタガタするんです。それだけ、やっぱり音は行きますよね。

アルミとスチールの比較

吾郷 アルミだと、どれくらい聞こえるんですか?たとえば、そこ(3mくらい離れた壁)がアルミパーティションだと、その壁の向こうの人は声聞こえるくらいですか?

杉本 そうですね。やっぱりアルミパーティションだと聞こえますね。内容もある程度わかるくらい。スチールだったら、だいぶ聞こえない。なんか物音してるなぁくらいの感じですね。
もっと遮音性を高めたかったら、例えば天井突き抜けてたてるとか、OAフロア取り払ってその下からたてるとか。そのほうが当然のごとく遮音性は高い。屋根裏や床下の空間から音が伝わりますからね。
あとは、パーティションの中にロックウールとかグラスウールといわれる遮音性の材料を入れる。そうすると遮音の効果は上がります。あとは遮音シートというようなものもあって、スチールパーティションの中に貼っちゃうんですよ。そういう方法もあります。
難しいのは、ここまでやったから音はもう行かないでしょうっていうものはやっぱりないんですよね。出来上がってみないとわからないところがあります。

遮音効果を高める方法

吾郷 当然、全部やればやるほどお金かかっちゃいますね。

杉本 そうですね。なので、どこまでやるか。どこまでお金をかけられるか。高くてもいいんだったら、いろいろやれますけどね。

吾郷 価格の話がでたついでに、パーティションを安く仕上げるコツっていうのは何かあるんですか?

杉本 やっぱりスチールパーティションとアルミパーティションだと全然値段が違いますね、アルミパーティションが安いので。あと、一番楽なのは標準仕様というやつですね。大体900mmと1,200mmっていうのがパーティションの既成のサイズだけど、既成のサイズと既成の色ってのが安いし納期も早い。

吾郷 確かに。

杉本 あと減らせるものは減らしたほうがいいです、断然。例えば、ドアをつけようと思ってるところを、ドアをつけない。そこをカーテンにするなり、ロールスクリーンでもいいし。ドアって結構高いんですよ。ドアつけなければ、出入り口としては機能するし、だけどワンスパン減るし、一石二鳥で値段は安くなる。

吾郷 引き戸(スライドドア)にするとさらに高いですよね。引き戸のメリットってどういうものがあるんでしょう?

杉本 高いですね―。ものによりますけど普通のドアの2倍くらいするんじゃないですかね。でも例えば、車いすで使用したい時とかって、ドアを押したり引いたりしてって難しいじゃないですか。なので、介護施設とかは引き戸多いですね。あとは、子ども抱えてたりベビーカー押してたりしても、開き戸ってすごい面倒くさいんですよ。そういうような場所だと、開き戸よりも引き戸の方がいい。あとは、スペース的なものですよね。開き戸の場合は扉が開く部分はロッカー置いてたら当たるし。お金があるんだったら引き戸のほうが便利は便利ですね。

値段の違い

吾郷 その他、安くするためのポイントはほかにありますか?。

杉本 やっぱりオフィスだと、梁(はり)がすごくあると思うので、その梁を、部屋の一個の区切りとして見るのがいいかなと。梁のとこだと天井が30センチとか40センチ低くなるんですよ。その分パネルも柱も少なくてすむ。施工も部材も平米計算するんで、当然安価に仕上がってくるんですね。
あと柱。部屋の中に柱ってありますよね。柱とか全く無視して部屋のレイアウトを考えていくと、柱が邪魔になる。柱も1個の壁だと見て、柱と柱の間に間仕切りを建てるようにする。そうすると、すごいスパン数が減る。
なので、柱とか梁があるところにパーティションをもってくる設計を考えると、安くなりますね。

吾郷 なるほど、それはいいですね。ありがとうございます。
消防法についてのポイントも教えてもらえますか?

杉本 消防法的にいうと、基本は一つの部屋に1個の感知器。間仕切った部屋に必ず1個、感知器をつける必要性が出てくる。あと、例えばオフィスビルとかだと、スプリンクラーですね。もしオフィスで間仕切る場合には、ある程度のレイアウト図面をそのビル管理会社側に提出しなきゃいけないようなことというのが生じてくると思います。その中でオフィス側のその消防設備会社さんがいると思うので、じゃ、ここに器具が必要だねとか、そういうことも多分言われると思いますね。
何かあったらということを自分が想像したときに、もしその応接室で出火があって、スプリンクラーが発動しませんってなって、困るのは自分だなと思ったり、みんなに迷惑かけるなって思うようであれば――思ってほしいんですけどね、――思うようであれば、何らかの感知器なり、出火があったときに気づくような状況というのをつくっておく必要がありませんか。

吾郷 そうですね、オフィスビルなんかのテナントで出火しちゃって広がったりしたら大変なことになりますもんね。

消防について

→ さらに防災の話へと続く