作業効率のアップや仕事の創造性の向上のススメ

2月号 失敗しない! 自分でできるオフィスづくり −第4回 動線を意識したレイアウト−

前々回はオフィスのスペースのとり方について、前回はオフィスのイメージについて解説をしました。
以上のことをふまえて、今回は仮想の条件でオフィスのレイアウトを実際に作成してみたいと思います。
早速、今回の仮想の企業プロフィールはこちらです!

Sデザイン株式会社

<事業内容>
美容室、飲食店、カフェ、バーなどのホームページデザイン、チラシやメニューの作成

<従業員数>
社長1名 営業・ディレクター4名 事務2名 デザイナー3名 プログラマー2名 アルバイトが1〜4名

<企業カラー>
イエロー

<入れたいオフィスの機能>
複合機1台  社内用ミーティングスペース 2箇所 応接室2部屋 社長室は不要

1 オフィスの間取り

では、実際に条件に合うようにオフィスをレイアウトしてみましょう。
詳しい図面があるようでしたら、一番手っ取り早いのは家具の大きさに紙を切り抜いて、図面上に配置していく方法です。
ちなみに、この際に選ぶ家具の大きさは、今使っているものを基準にします。同じ大きさでいいのか、今より大きいものが必要なのか、ヒアリングして考えていきます。

この真ん中の柱がクセモノですね…。
いきなり最初から完成を目指すのではなく、まずはざっといくつかのパターンを作ってみるのがいいと思います。
それぞれのパターンで長所短所があると思うので、その中から何を優先させるかを吟味し、掘り下げていくと失敗しにくくなります。

というわけで、まずは3パターンを作ってみました。

Aパターン

とりあえず、第1案は順番に要望どおり入れていったパターンです。広いところ(社長の周り)と狭いところ(デザイナーとプログラマーの周り)があり、バランスがよくないかも…。また、アルバイトの席がなく、このままだと社内用ミーティングスペースを兼ねて使うような使い方になります。使える壁面が少なく、収納が少ないのも気になります。

Bパターン

全部を要望どおりに入れるのにムリがありそうなので、考えてみました。社内用ミーティングスペースは本当に2箇所も必要なのか?…ということで、大型テーブルの置いてある大会議室は、社内・社外兼用の打ち合わせスペースとして使うことにして、社内用ミーティングスペースは1箇所のみにしてみました。しかも、スペースを優先させて立ったまま打ち合わせができるハイテーブルを設置。
このように、お客様から頂いた要望を100%そのまま取り入れず、代案を考えてみることもあります。

Cパターン

社外用ミーティングスペースがどう考えても上記のA・Bパターンの形しかとれないので、むりむり形を変えてみたパターン。執務スペースのおさまりはきれいになりましたが、社内用ミーティングスペースがなくなってしまいました。好みはありますが、大会議室の大型テーブルは斜めにしたほうがスペースにゆとりがあります。パーティションが多くなるのも、少し気になるところ…、コストがその分増えてしまいます。



そういうわけで、3つのパターンから仮想社長にお伺いをたてたところ、次のような感想をいただきました。
「この中だとBパターンがいいんじゃない?収納も多いし。ハイテーブルで打ち合わせっていうのはいいですね!」

というわけで、このBパターンをもとにもう少し掘り下げていきます。

途中の経過はともかく、できあがった図面がこちら。

元の案からの変更点
  • 全体のオフィスデスクを標準の奥行き700mmタイプから省スペース型の奥行き600mmタイプに変更
  • 社長席はスペースに余裕ができたので、L型のデスクに変更
  • 真ん中のミーティング用丸テーブルは、収納も兼ねるように変更。営業デスクの周りに収納がなかったのがこれで解決。
  • 丸テーブルはプログラマー席の近くに移動。
  • 会議室はテーブルを斜めにする案を採用。あわせて、入り口も斜めにスペースをとるように変更
  • デザイナーの近くにプリンターがあったほうがいいだろうということで、プリンターテーブルを配置。

というように、ボツになった案からも良さそうなポイントは採用して、アイディアを掘り下げていきます。
あわせて、できあがったイメージ画像はこんな形になります。

俯瞰したイメージがこんな感じ。ほぼ、オレンジ&イエローという色でそろえました。

真上から見たイメージ。

収納兼ミーティングテーブルがこれ。

奥のアルバイトスペースには、配線機能付きのテーブルを配置。

違う角度から見たイメージ。こっちから見ると収納が十分あるのがわかりますね。

社長席後ろから見たイメージ。全体が見渡せます。

と、こういった流れでオフィスレイアウトは作られていきます。 ポイントは、複数案を考えてみること。ぜんぜん違うパターンを考えると、それぞれのパターンのメリット・デメリットが見えてきます。 比較することで、優先ポイントがはっきりするので、さらに掘り下げていくという方法をおすすめします。

今回は、複数提案することで「収納が多い方がいい」という隠れた要望が引き出せました。また、最初の案にはなかったハイテーブルというアイディアも、お客様に気に入って頂けました。

一見複数のパターンを考えるのは大変そうに感じますが、いきなり1つの完成したレイアウトを考えるよりも、ボツでもいいから案を出してみるほうが気楽です。ご自分でやる時には、ワイワイやりながら、複数パターンを考えてみてください。

ちなみに私は1つのオフィスで13パターン考えて用意したことがあります。最終的なレイアウトは、その中のどれとも異なるレイアウトになりましたが、お客様にも満足いただけたレイアウトになりました。

次回予告「パーテーションと防災」

次回は、オフィスレイアウトに欠かせないパーテーションについてと、防災について!専門家に取材をしてきました!