自分でできるオフィスレイアウト − 第3回 コンセプトの考え方 −

1月号 失敗しない! 自分でできるオフィスづくり − 第3回 コンセプトの考え方 −

前回前々回と、サイズや間取りについて説明をしてきました。レイアウトやスペースの取り方ひとつで、オフィスの使い勝手は大きく変わってきます。仕事の内容に合わせてどうスペースを作っていくかが、オフィス設計の最重要ポイントです。
もうひとつ、オフィス設計をするにあたって重要な要素があります。
それが、「コンセプト」です。
例えば、同じ人数のオフィスを設計するにしても、「自由でクリエイティブな発想を生み出すオフィス」と、「ミスのない正確な仕事をするためのオフィス」では、求められる内容がまるで違います。「自由なオフィス」では、そもそも固定されたデスクがないかもしれませんし、代わりにいたるところにカラフルなソファが置いてあるかもしれません。「正確なオフィス」では、きれいに並んだ机、中の見えない鍵付きの収納庫、どの席からでも見える位置に時計があるかもしれません。
「どういった仕事をしたいか」という考えそのものが、オフィス設計の「コンセプト」です。
極端な例ですが、Googleのオフィスは「自由」がはっきりと出たスゴイオフィスになっています。

今回は、この「コンセプト」の考え方について、解説していきたいと思います。

1 オフィスのコンセプトの考え方

STEP1 ブレーンストーミング

まずはとにかくアイディア出し!今のオフィスの問題点、課題、「こうだといいな」をどんどん書き出します。付箋を使ってペタペタと壁やホワイトボードに貼っていく方法がオススメ。ポイントは、ここでは反対意見は言わないこと。代わりに、他の人のアイディアに乗っかったアイディア、膨らませたアイディアなど、とにかく量を増やすことです。
本当は全員でやるほうがいいのでしょうが、なかなか難しいと思いますので各部署の長が集まってやったり、部署ごとにやったりするといいでしょう。

STEP2 カテゴリ分け

似たようなカテゴリの意見を、ひとまとめのグループにしていきます。例えば、「コミュニケーション」に関わる意見のグループ、「セキュリティ」に関わる意見のグループ、などです。こうしてまとめていくと、どういったところに関心が大きいのかがわかってきます。

STEP3 意見交換

出てきたアイディアを元に、さらなる意見交換をしていきます。「これってこういうことかな?」とか、「アレがこうなればいいのにね!」とか、具体的なイメージを話し合うことで、新しいオフィスのイメージを全員で共有し、作り上げていくことができます。
こうして意見を出し合うことで、「オフィスづくりは他人事ではない感」が出てくるので、新しいオフィスに対する愛着も強くなります。
また、細かな問題点も拾い上げ、改善ポイントとして加えていきます。
たとえば、「プリンターが遠い」という意見があれば「動線の改善」、「寒い」という意見には「日当たりや空調の活用」といった改善ポイントが出てきます。

STEP4 まとめ

こういった手順で出てきた意見を、最終的にはある程度絞ったポイントにまとめていきます。この際、最も重要とするポイントを、全員で共有しておくことが大事になります。
たとえば、「コミュニケーション」を再重視する、とか、「お客様への信頼」を再重視する、とか、そういったことです。

2 カラーイメージ

コンセプトが決まったら、オフィスの「カラー」を決めていきます。
「カラー」は、イメージに大きな影響を与える要素です。たとえば、全く同じレイアウトのオフィスでも、「カラー」を変えるだけで与える印象は大きく変わってきます。

決め方
会社のキーカラーにするのはどうか?

先ほどのコンセプトから導かれるイメージカラーを選ぶのが、一番素敵な選び方ですね。あるいは、もともと会社のコーポレートカラーや、ロゴマークがあれば、その色を使っていくのも有効な方法です。

社長の好きな色

正直に言いまして、一番多いのがこのパターンです。そもそも、会社の方針を最も表しているのがトップである社長です。社長の好きな色は、それがそのまま会社の方針を表しているカラーにもなりえます。

業種に合わせた色

お仕事の内容から、色を選ぶ場合があります。たとえば、木工関連会社の場合、やっぱり事務所にも木目のものは使いたいですよね。あるいは、海や河川に関わる仕事をしている場合は、水のイメージの青です。
また逆に、葬儀関係のお仕事にポップなカラーが合わなかったり、清掃や洗剤のお仕事に黒中心だとおかしかったりと、仕事の内容からカラーを制限する場合もあります。

オフィスの人気カラーランキング!
1位 青色

「信頼第一」なら青がオススメ
「誠実」や「冷静」といった言葉を連想させる青色は、オフィスのカラーとしても一番人気のある色です。白やグレーなどのオフィスの定番色とも相性がよく、使いやすいカラーです。また、集中力を高めたり心を落ち着かせるような効果もあります。

2位 ポップカラー

個性を大切にする会社に!
赤や黄色、ライムグリーンやスカイブルーなど、明るめの色を組み合わせたカラー。賑やかで明るい印象を与えることができます。たくさんの色が脳を刺激するので、クリエイティブな仕事をする会社などにいいかも。

3位 木目&緑色

環境に優しく癒し系なイメージ
森や自然を連想させるこの組み合わせは、ナチュラルな優しさを感じさせるオフィスになります。緑は目にも優しく、パソコンをずっと使っているオフィスにもオススメです。比較的他の色とも合わせやすい色なので、ポイントで使ったりするのにもオススメです。

4位 黒色

高級感がありシャープな印象
人気はありますが、なかなか使いドコロが難しい色です。高級感があり、落ち着いた雰囲気になります。また、全体が黒基調の中に、アクセントで色を入れると大変際立ちます。社長のイスだけ赤を入れるなどすると、強烈なインパクトを与えます。

いかがでしょうか?色を変えるだけでも、オフィスの雰囲気がガラッと変わってきますよね。当店でも、オフィスレイアウトからご相談いただくお客様には、こういったイメージ画像を作成してご説明する場合があります。専用ソフトで作るものなので、お客様ご自身ではこういったところまではなかなかやれませんが…。
雰囲気が変われば、仕事に対する気持ちも変わってくるものです。お仕事にプラスになるコンセプト作りをしていきましょう。

コラム

引用:Gigazine-8年前、Googleはこのガレージから始まった

冒頭で紹介したGoogleのオフィスも、最初はなんとガレージから!

実はGoogleにかぎらず、最初はガレージからスタートした世界的企業はほかにもあります。ヤフーやアップルなどもそうですね。さすがにここまで大きくはないですが、当店のお客様にも小さな事務所からスタートして、徐々に大きなフロアに移られている会社様もいらっしゃいます。こういうお手伝いをさせて頂けると、この仕事をやっていてよかったなぁと思えますね。

次回予告「動線を意識したレイアウト」

来月は、これまでに解説したポイントを意識しながら、具体的にオフィスレイアウトを作っていく流れをご説明します!なんだか仕事の裏側をのぞかれるようで、ドキドキします!