作業効率のアップや仕事の創造性の向上のススメ

1年間続いた「自分でできるオフィスづくり」も、いよいよ最終回となりました。
今回は、その集大成となるオフィスレイアウト実践編!早速進めていきましょう。まず、事前の情報はこちらです。

条件
機械部品メーカーの事務所、1Fは倉庫
社長 1人、営業10人(外勤6名、内勤4名、内部長1人)、総務10人(3部署、3人、3人、4人、内部長1人)
手狭になってきたので移転
社長室兼応接室
打ち合わせをするスペースが1つ
全体会議ができる会議室
鍵のかかる書庫
セキュリティ強化

この情報をベースに、ヒアリングしてさらに細かな要望を聞き出していきます。

「手狭になってきたということですが、今後も増員の可能性はありますか?」
「会社のロゴマークにはブルーが使われていますが、これは会社のイメージカラーとして決まっているのでしょうか?」
「セキュリティ面を重要視されているようですが、PマークやISOなんかは取得されているのでしょうか?」

などなど。ヒアリングで得られた追加のご要望がこちらです。

・今後も営業を中心に増員する可能性がある
・イメージカラーはブルー
・Pマーク等はとっていないが、従業員の意識づけのためにもセキュリティ面は強化したい。
・会議室は、会議の他に勉強会やちょっとした懇親会なんかにも使いたい
・社長室は個室にしたいけど、従業員の様子がわかるようにしたい

聞いてみると色々と細かな要望も出てくるものです。
それでは、この内容で早速レイアウトを考えていきましょう!

【エリア割】
まず、一番大きく場所をとるスペースが、営業部と総務部のワークスペース、次に会議室、それから社長室兼応接室です。

レイアウトを考える上で基本的なことですが、入り口に近いエリアに配置するスペース、と入り口から遠い奥のほうに配置するスペースがあります。

近いエリア
・エントランス
・商談スペース
・ワークスペース

遠いエリア
・社長室
・会議室(社内用)
・リフレッシュスペース

当然、例外はありますが、原則として社外の人が普通には入ってこないスペースは奥のほうへ、社外の人が入ってくることがあるスペースは手前に持ってきます。
そうすると、だいたいこんな感じの配置になりそうです。

商談スペースは、エントランスの隣に置きましょう。そうすると、社外の人は中に通さなくてもよくなります。続いて、考えないといけないのが社長室兼応接室です。社長室としては、奥におきたい部屋ですけど、応接室としては社外の人が入ることがあるので、ワークスペースをできるだけ通したくはありません。なおかつ、社長室なのでワークスペースとは隣接しておきたいです。
以上を踏まえて、大体のエリア割りは、まずはこんな感じで作っていくことにしましょう。

【家具の配置】

これだけでは、スペースの感覚がイメージつかないので、とりあえず机とイスを配置していきます。間仕切りも入れて、それぞれの部屋でスペースが十分かどうか、確認していきます。

スペースとしてはもともと余裕のある図面だったので、ぱっと見たところ、この配置で無理はなさそうです。でもまだこの状態では収納スペースがまったくありません。収納スペースをどこに配置するかを考えないといけません。

収納スペースの配置のポイントのひとつに、「使う人が使いやすい場所にあるか」という点があります。ここで、収納を使う人というのはもちろん、営業部・総務部のみなさま。壁際に収納を配置するのが定石ですが…、ここでは壁際以外にも、机の間にも収納をおいてみました。

机の島と島の間にも腰高くらいの収納を設置。向きも、互い違いの向きに設定してどちらからも収納として使えるようにしました。また、上にはよく使う文房具などを置くこともできます。
こうすると、収納も十分にとれますね。

 

【ワークスペースのフリーアドレス化】
もう少し細かく見ていきます。ワークスペースは、今後も増員がありうるということでしたが、このままの席では人数がいっぱいです。人が増えても対応できるように、となると、「フリーアドレス」の出番です!

フリーアドレスデスクは一人ひとりの席に境界がないため、隣の人がいなければ席を広く使えるというメリットもあります。

フリーアドレスデスクは、幅の長い大きな机で、一人ひとりの席の境界がないことが特徴です。その分人数変更に柔軟性が高く、有効なスペース活用ができるというメリットがあります。狭い事務所ではそれほどメリットがありませんが、今回の事例のようなスペースの広い事務所ですと導入するメリットがでてきます。

イスは一回りコンパクトなものに変え、机は幅が6メートルある大きなものに変更しました。これにより、将来的に人数が増えた場合でも席を増やすことが可能です。ワゴンを使わないスタイルにすることで、さらに席数を確保することもできます。外回りの人が多いところでは、不在時のデスクスペースの活用もできますね。
また、部長の席を右図のように独立させるのも案のひとつです。こうすることで指揮系統がはっきりしますよね。デメリットとしては、増員に対応する枠が1人分少なくなることです。

【会議室のレイアウト】
会議室のレイアウトは、机の配置次第でいろいろな使い方ができるようにしてみました。

一番左が、一般的な研修や会議でのレイアウトパターン。講師が前にいて、全員で聞くというパターンですね。
真ん中が、グループワークなどを行ったり、場合によってはこの部屋で懇親会を行ったりするレイアウトパターンです。
そして3番目のパターンが全員が向かい合う形になる会議のパターンです。全員が意見を言うような会議にする場合は、この形がいいかもしれませんね。
大きな会議テーブルを置くという方法もありますが、限られたスペースなら柔軟な使い方ができるように設計するのも有効活用のポイントです。

【社長室兼応接室】
社長室は個室だけど中の様子がわかるようにしたい、とのことでしたので、ここはワークスペースとの協会になる間仕切りをガラスタイプで導入しました。4段の段積み構造で、目の高さに当たるところは半透明のフィルムを貼って、少し変化を入れています。フィルムの入れ方で、どれくらい隠してどれくらい見えるようにするのかが調節可能です。必要であればここにブラインドスクリーンを入れるというのもひとつの手ですね。視界をさえぎりたいときには閉めておくことができます。

左がワークスペースから見たイメージで、右が社長室の中から見たイメージです。

【できあがり!】
というわけで、オフィスレイアウトも出来上がりました!完成の図面がこちらです。

実は、エントランスの部分だけ床の色を変えてみました。これは、社外の人が入っていいエリアとそうでないエリアを明確に区分させるためのものです。これにより、社内の人も社外の人もここまでは入っていいところ、というのがはっきりとわかります。

【まとめ】
いかがでしたでしょうか?
具体例を交えながら紹介しました全12回にわたったオフィスレイアウトの作り方ですが、これからオフィスつくりをされる皆様のお役に立てれば幸いです。またご不明な点やご相談がありましたらお気軽にお尋ね下さい!