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きのこ栽培のパイオニア森産業がご家庭でのきのこ栽培の疑問にお答えします


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本格的に原木栽培

しいたけ種駒

森産業のベストセラー

日本で1番使用されている種駒、春と秋に肉厚なドンコ椎茸が収穫できます。生で食べても良し、干椎茸にしても抜群の風味と香りがあり、オールラウンドで使用できる森290号の栽培方法をご紹介いたします。

栽培難易度

面白さ

店長オススメ

本格的に“原木シイタケ”の栽培方法

まず最初に


下記で紹介している栽培方法は森産業の森290号(通称:にく丸)の栽培方法です。
他の品種では栽培方法が全く異なる場合がありますので注意してください。

ワンポイントアドバイス

これから紹介する栽培方法は初めて原木シイタケ栽培を行う方、原木シイタケ栽培に失敗してしまう方、 更に詳しく原木シイタケ栽培を知りたい方が対象の最も基本的な栽培管理方法となっており、 これまで栽培経験があり、特に失敗した事が無い方はこれまで通りの方法で栽培を行ってください。 栽培方法は十人十色で、最終的にシイタケが発生すればその方法が正しい方法と言えるので、 その事を前提として読み進めていただければ幸いです。

しいたけくん


栽培に必要な物


種駒を使用したシイタケの原木栽培では以下のものが最低限必要となります。
原木、種駒、電気ドリル、キリ(9~9.5mm)、トンカチ、立てかける場所(日陰で雨の当たる場所)
※電気ドリルとキリの代わりに丸ノミでも良い

ワンポイントアドバイス

伏せこみ・発生の場所ですが、最も理想的な環境は落葉樹林の中の様な環境で、適度な湿度や木漏れ日があるような場所です。 ただ一般家庭でそういった環境を用意するのは非常に難しいので、大きな木の下に立てかけたり、庭に簡単な骨格を作って遮光ネット(遮光率85%以上)で覆ったり、 軒下に遮光ネットで簡単な屋根を作ったりして、人工的に直射日光が当たらず雨が当たる場所を作りましょう。

しいたけくん


種駒に関して


使用する種駒の品種によって発生させる方法や時期、キノコの大きさや形、味が違ってきます。 2夏経過後の発生時期になって接種して良かったと思える品種を選びましょう。

ワンポイントアドバイス

種駒の中に蔓延しているシイタケ菌、その品種には様々なものがあります。 乾椎茸に適した品種、生椎茸に適した品種、どんこになり易い品種、大きくなり易い品種、主に春に出る品種、秋と春に出る品種、水に浸けて発生させる品種などなど。 シイタケ生産者はその土地の地理的要因、気候、マーケットなどに合わせて品種を使い分けています。 森産業は原木栽培に適した品種を豊富に取り揃えており、実際に日本で原木シイタケ栽培をしている生産者の大半は森産業の品種を使用しています。 そんな品種の中でも、菌が強く、乾にしても生で食べても非常に美味しく、肉厚などんこになり易く、春と秋に自然に発生する森290号(通称:にく丸)という品種は日本で最も使用されている品種です。 初めて原木栽培を行う方や、何度か失敗している方はこちらの品種を使用する事を推奨します。 非常に多くのホームセンターで取り扱っていますが、もし置いてない場合は店員さんに言って取り寄せてもらうか、森のきのこ倶楽部で購入してください。
原木栽培は種駒を打ってから結果が出るのが2夏過ぎの秋から(※打ち込む時期や環境、木の質などによって異なる)なので、下手な品種を打って失敗しないように注意しましょう!

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

原木に使用する駒の個数ですが、 通常規格である長さ90cmの原木を使用する場合、切り口の直径の3倍の個数となります。 つまり長さ90cm・切り口の径10cmの場合は10×3で30個となり、100駒入り1箱で約3本打てる計算になります。 この計算を基準にしていただき、原木の長さと切り口の径で大体必要な駒数を割り出してください。 ただし季節はずれ(3~6月)に打つ場合は通常の1.5~2倍の駒が必要となります。

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

非常に多くの方が勘違いされていますが、種駒を打った場所からシイタケが発生するわけではありません。 つまり種駒を打った数しかシイタケが採れないわけではなく、種駒からシイタケ菌が伸びて木全体に蔓延し、 木の切り口以外のあらゆる場所からシイタケが発生します。

エノキくん


ワンポイントアドバイス

種駒を購入されたお客様から『袋の中が白いもので覆われているけど大丈夫か?』『一部が焼けているようになっているが大丈夫か?』というお問い合わせを時々いただきます。 ズバリ白いものはシイタケ菌の菌糸で、焼けたようになっているのはシイタケ菌の生理現象で、どちらも品質的には全く問題ありません。 また逆に『いつもは袋の中が白いもので覆われている、今回は全く無いけど大丈夫か?』というお問い合わせもありますが、 白いものが全く見えない状態でも駒の中にシイタケ菌が蔓延しているので品質的には全く問題ありません。
ただし袋の中が真っ青や真っ黒になっている場合はカビにやられているので絶対に使用しないようにしてください。
ちなみに袋の中が白い菌糸で覆われている場合ですが、そのまま使用するよりも白い菌糸を落としてから使用したほうが原木への菌の移りが良い事が分かっています。 もし袋の中が白や一部茶色の菌糸で覆われている場合は、両手で袋ごと揉んであげると白や一部茶色の菌糸がなくなります。(※駒を打つ直前に行うと良い) また白い菌糸の塊がもったいないと、塊を穴に入れてから駒を打つ人がいますが、アオカビ発生の原因となりますので注意する必要があります。

シイタケくん


原木に関して


栽培で使用する原木を用意します。
※下記に一覧を載せてありますが、キノコ栽培にはそのキノコに適する木と適さない木があるので要注意!

ワンポイントアドバイス

シイタケ栽培に適した木の一覧。

【特に適している】
クヌギ、コナラ
【適している】
カシワ、カシ類、シイ、シデ類、ミズナラ
【やや適している】
アベマキ、クリ、サクラ類、タブノキ、ハンノキ、ヤシャブシ

ちなみに一覧に載っていない木に関してですが、一覧に無いような木は『全く発生しなかった』または『一般的では無いので実験していない』という事なので自己責任で植菌してください。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

栽培にコナラ原木を使用する場合、コナラ原木の表皮にはゴツゴツした岩肌・鬼肌、ツルツルのサクラ肌、その中間のチリメン肌など色々な種類があります。 これらの種類はキノコの発生に対して非常に高い相関があります。例えば岩肌・鬼肌と呼ばれるものは初回発生は遅いですが、発生するキノコが大きくなる傾向にあります。 逆にサクラ肌は発生も早くて多くのキノコが発生する傾向がありますが、その分寿命が短くなります。 店長自身も毎年にく丸の種駒をコナラに打って実験していますが、驚くほど発生量や発生し易さに違いがあります。 ちなみにサクラ肌の小径木(切り口の径が細い木5~10cm)であれば、早春までに種駒を打ち、その後の管理が良ければ同じ年の秋に出る可能性が高く 『原木栽培は初めてで、とにかくキノコを発生させたい!』という人には非常におススメです!

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

自分で伐採する場合の時期について、 原木シイタケの大産地である大分県などでは通常11月末に伐採しており、 その基準として、下から山を見て山全体の70%が紅葉した頃に伐採を行っています。 あくまでも大分県で11月末なので、北海道や東北、標高の高い場所などはもっと早く伐採してください。
伐採後は切り倒した状態で40~60日程度置いて(東・南・西向きの場所は40~50日、北向きの場所は60日)、 その後玉切り(長い木を90cm程度に切っていく作業)してください。 ちなみに切り倒したまま40~60日程度置くのは、木の葉を枯らしながら木の芯の水を抜いて中の水分量を栽培に適したものにする為です。

エノキちゃん


ワンポイントアドバイス

通常原木は紅葉時期に伐採しますが、もし冬(12~3月初旬)に伐採する場合、 伐採後すぐに玉切りし、1ヶ月程度陽の当たらない場所に置いて水分を抜いてから駒打ちしてください。 この時期に伐採した場合は木の表面の水を抜くだけで問題ありません。 基本的な考え方として、原木の水分量は乾き過ぎよりも多い方がまだ良い。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

通常原木は紅葉時期に伐採しますが、もし春(3月初旬~5月末)に伐採する場合、 伐採後すぐに玉切りし、その後すぐに駒打ちしてください。木の水分量が非常に多いですが、 暖かくなって雑菌が動き出す前にシイタケ菌を活着させなければならないので、必ずすぐに種駒を打ってください。 またこの時期に種駒を打つ場合は出来るだけシイタケ菌を早く伸ばす為に通常の1.5~2倍程度の種駒を打ってください。 ちなみに木の水分量が多いと何が問題かというと、シイタケ菌が蔓延する際に木の中の水分を閉じ込めてしまい、 木の内部の水が抜けにくい状態となる。こうなることで菌が木の内部まで伸びていかず、 木の表面からだけ栄養を摂る"上ホダ"という現象が起き、通常に比べて小さいシイタケが発生する可能性が高くなる上に、同じ径の原木に比べて寿命も短くなります。

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

夏に伐採した木、伐採した後ひと夏越えた木、台風などでいつ倒れたか解らないような木は雑菌に侵されている可能性が高く、 シイタケ菌を植えてもシイタケ菌が伸びないので絶対に使用しないようにしてください。

エノキちゃん


ワンポイントアドバイス

シイタケ菌を植菌するのに最も良い原木の水分量とは、原木の心材部60~65%、辺材部40%、表皮の下25%程度で、 通常種駒の水分量が約40%になっており、実際に種駒が打ち込まれる辺材部と同じくらいの水分量であれば菌が原木に移り易くなっている。 ただこれはあくまでも目安なので、一般家庭で栽培する場合はそこまで厳密に意識する必要は全くない。

しいたけくん


穴あけ


原木に穴を開ける為に電気ドリルとキリを用意します。

ワンポイントアドバイス

穴のあけ方は縦に20cm程度、横に4cm程度の間隔でぐるっと一周、千鳥状に穴を開けるのがベストです。 千鳥の間隔が縦に長くて横に短いのは、通常菌糸は道管の中が最も伸びやすく、 縦方向への伸びは速いが横方向への伸びが遅い為です。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

使用するキリはドリルの受けに合わせて丸軸と六角軸を選択してください。 森のきのこ倶楽部で販売している種駒専用キリ(9.2mm)にはストッパーが付いており、 森産業で販売している全ての種駒(※成型駒は12.7mmなので注意)に最も適した穴の深さになるように調整されています。
もし森産業の専用キリを使用しない場合は、9~9.5mmの径のキリを使用して下さい。 専用キリを使用しない場合は種駒の長さ(17mm)よりも5mmm程度深い穴(22mm)を開けて駒を打ち込む事を推奨いたします。 (打ち込んだ駒に対して木の中に少し空間がある方が活着し易いという実験結果があります。)

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

使用する電気ドリルの回転数ですが、9.2mmのキリを使用する場合は6,000~10,000回転を推奨しています。
※ただし成型駒のように12.7mmのキリを使用する場合は6,000回転を推奨します。

エノキちゃん


ワンポイントアドバイス

使用する原木が3~5本程度で電気ドリルを持っていない方はもり丸ノミでも問題ありません。 ただ丸ノミは意外と力が必要なので、5本以上ある場合は電気ドリルで穴を開けることをおススメします。 昔ながらのくさびを使用したタイプなのでお客様自身で調整が必要な場合があります。

しいたけくん


植菌


穴を開けたらすぐに種駒を打ち込んでください。
※穴を開けた状態で駒を入れずに何日も放置すると雑菌が入り込みます。

ワンポイントアドバイス

種駒を多く買いすぎて余った場合、必ずその年に打ち込んで使い切って下さい。 もし原木が足りない場合は既に駒を打っている木に更にに穴を開けて打ち込んで下さい。 たとえ冷蔵庫などで保管しても、目に見え無えないレベルで雑菌に侵されていたりするリスクがありますので、必ず駒はそのシーズンに使い切るようにして下さい。

しいたけくん


仮伏せ


寒くて空気中の雑菌があまり動かない間にシイタケ菌の動きだけを良くして原木にシイタケ菌を活着させます。

ワンポイントアドバイス

仮伏せの方法についてですが、その地方や人によって様々な方法があります。 下に枕木をひいて、その上に膝の高さくらい(約3段)まで棒積みにするところまではほとんど同じですが、 そこから針葉樹の木の枝で上部を覆うだけの人、ブルーシートで全体を包む人、遮光ネットで覆う人など、 仮伏せの方法は十人十色で、種駒から菌糸が発菌して原木に活着しさえすればどれも正しい方法と言えるでしょう。
そもそも仮伏せの目的ですが、種駒から菌糸を発菌させて打ち込んだ原木にしっかりと活着させる事にあります。 そして種駒から菌糸を発菌させ、その菌糸が原木に活着する為には2つの条件があります。
まず1つ目は温度。シイタケの菌糸は5℃以下になると全く動かなくなるので、最低でも温度が5℃以上とれるような環境を作ります。 例えば九州は冬でも比較的温度がとれるので、原木シイタケ生産者などは棒積みにした後に葉が付いた木の枝などを置いて、 乾燥しすぎない事に重点を置いて仮伏せを行います。逆に東北地方の原木生産者は温度がとれるハウスの中で仮伏せを行います。 このようにとにかく適温になるように工夫して仮伏せを行います。
そして2つ目は湿度。原木が乾燥し過ぎても濡れすぎても菌糸の伸びが極端に悪くなります。
上記を考慮して以下の事に注意していれば基本的には問題ありません。

1.温度が5℃以下、20℃以上にならないようにする。(※最悪5℃以下になっても良いが、25℃以上は厳禁)
2.下からの湿度を利用する為、可能であれば土の上に枕木をひいて、その上に棒積みにする(※雑菌汚染の原因になるので直接原木を地面に着けない)
3.直射日光は乾き過ぎの原因になるので厳禁。
4.林内や植木の間など湿度のある場所では遮光ネットやゴザ、枝などで覆って自然に雨にあて、 家の庭など乾燥し易い場所ではブルーシートで上部を覆ったり全体を包んだりしてしっかりと保湿する。
5.ブルーシートを使用する場合は2週間に1回程度中を見て、ブルーシート内部がビチャビチャに濡れていたら1時間程度ブルーシート取って表面をサッと乾かす。 逆に表面が乾燥している場合はタップリと水をやる。原木がしっとりしている程度がベスト。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

仮伏せは梅雨前まで行ってください。 梅雨時期はジメジメと高温多湿で、仮伏せのまま梅雨時期に入ると高温多湿が好きな害菌にやられてしまう可能性があります。 よって梅雨に入る前に次の本伏せに移行してください。

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

梅雨前に何の変化も無いけど大丈夫?という方は『活着検査』を行ってください。 先の尖ったもので種駒を何個か抜いて、抜いた駒の先端や穴の中(穴の底や側面)が白い菌糸で覆われていれば仮伏せ成功です。 ただし抜いた駒は必ず元の穴に戻しすようにしてください。
※駒を打つのが遅くなった場合(3~4月)、駒を抜いたら穴の中の側面がうっすら白くなっている程度ですが、それでも問題ありません。 もし穴の中が真っ青や真っ黒になっていれば何らかの理由で雑菌に侵されており、その時点でシイタケ栽培失敗と言えるでしょう。 考えられる原因としては、仮伏せの環境が悪い、元々原木が雑菌に侵されていた、などが考えられます。


エノキちゃん


ワンポイントアドバイス

仮伏せが上手くいっていれば必ず切り口に菌糸紋(通称:菌紋)という白い模様が浮き出るという話をされる方がいますが、 それは伏せこんだ環境や駒を打った時期、木の乾燥具合などで全く違ってきます。 菌糸紋は基本的に切り口やその付近の湿度が高いと出る傾向にあるので、菌がしっかりと活着しているが、切り口やその付近の湿度が低いと出ない事もあります。 また駒を打つのが遅ければ菌糸紋が出るのが遅くなったりするので、菌糸紋が出たから成功・失敗という事ではなく、あくまでも1つの目安として考えてください。

エノキちゃん


本伏せ or 立てかけ


仮伏せで活着したシイタケ菌を原木全体に蔓延させます。 ちなみに原木に菌が蔓延すると、呼び名が"原木"から"榾木(ほだぎ)"に変わります。

ワンポイントアドバイス

本伏せの理想的な環境に関して『本伏せは6乾4湿』という言葉があり、湿っているよりも若干乾燥しているくらいの環境が理想です。 乾燥というよりも風通しの良い場所という方が正しく、雨があたって乾く、雨があたって乾くという事を繰り返している内にシイタケ菌が伸びるのです。 当然直射日光が当たる場所や乾燥し過ぎる場所は厳禁で、簡単にいうと草をしっかりと刈って風通しが良くなった林内というのが理想的な環境です。 一般家庭でそのような環境がない場合は、遮光ネットなどを使って下の画像のような直射日光が当たらなくて雨が当たる場所を作りましょう。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

このステップ8の『本伏せ』と次のステップ9の『榾木起こし』ですが、 基本的に原木シイタケ栽培で生計を立てているような生産者の方々は必ず行っていますが、 趣味程度で栽培している方は厳密に『本伏せ』『榾木起こし』を行う必要はありません。 『本伏せ』とも『榾木起こし』とも呼べないですが、ただ雨のあたる日陰に立てかけるだけで問題ありません。 確かに『本伏せ』『榾木起こし』をする事によってシイタケの発生量は上がりますが、 それは原木シイタケ生産者レベルの栽培量(数百本~数万本)で初めて明確に差が出るのであって、 趣味で栽培する数本程度では手間に比べて殆ど分からないレベルの収量アップしかありません。 よって趣味で数本程度栽培する場合は、雨のあたる日陰に立てかけ、 そのまま榾木がボロボロになって廃棄するまでの数年間、 無駄に手間をかけずに春と秋に昼夜の温度差と雨で自然にポツポツとシイタケが発生するのを楽しむのが良いでしょう。 では何本以上から厳密に管理すればいいの?と思う方がいるかもしれませんが、 目安としては原木30本以上を栽培をされる方は『本伏せ』『榾木起こし』をする事により、実感できる程度発生量に差が出てくるでしょう。
※立てかける場合、梅雨と秋雨の時期に天地返し(木の上と下をひっくり返す)を行うとより良いです。
※立てかける場合、湿度が適度にある場合は下の画像の感じで問題ありませんが、周りに何もなく乾燥気味になる場合は更に低く立てかけるようにしましょう。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

本伏せの組み方は環境(特に湿度)や地形によって変えるのがベストです。
代表的な4つの組み方と、その特徴を紹介します。

【鳥居伏せ】
風通しが良く、湿度が高い場所に伏せこむ場合はこの組み方が最もおススメ。

【ヨロイ伏せ】
鳥居伏せの中に2本(径が太い場合は1本)多く入れた組み方。 鳥居よりも湿度を持ちやすく、最も良く用いられている組み方。 湿度が比較的高い場所では高く、湿度が比較的低い場所では低く組むと良い。

【ムカデ伏せ】
交互に斜めに立てかけていく組み方。 太い原木を使用する場合や急斜面に伏せこむ場合におススメ。

【井桁積み】
平地限定だが、単位面積当たりの収容本数が多く天地返しが用意に行える。 高くし過ぎると上部が乾燥し過ぎるので注意が必要。




エリンギくん


ワンポイントアドバイス

何の変化も無いが本当に榾木になっているのか? どういう状態になれば、しかるべき時期にシイタケが自然に発生するのか?という疑問にずばりお答えします。 まず良い榾木の特徴として『軽くて柔らかい』というのがあります。まず軽いという部分に関してですが、榾木は同じ大きさの原木と比較しても明らかに軽くなっています。 これはシイタケ菌が木を分解しながら成長しているので、その分軽くなるのです。 そして柔らかいという部分ですが、もちろん木なのでコンニャクのように柔らかくなる訳ではありませんが、指で押すと少し凹むのが分かるくらい表面が柔らかくなります。 ただしこれは木の太さや皮の性質によって実感出来る時期が違ってくるので注意する必要があります。 例えば鬼肌の場合『軽くて柔らかい』を実感出来るまでに2年半以上かかる場合がありますが、 サクラ肌の細い原木(径が5~10cm)であれば1年くらいで実感出来たりします。 ただし『軽くて柔らかい』というのを実感するにはそれなりの年数がかかります。 その前に状態を知りたい方は、木の切り口からマイナスドライバーなどを差し込んで5~10cm程度皮を剥ぎ、 皮の下の状態を見る事で榾化が順調にいっているかが分かります。 どのような状態が良いかというと、下の画像のように白色(シイタケ菌)とオレンジ色(木の内部の色)が斑になっているような状態が理想です。 皮の下がこのような状態であれば、秋と春に雨が降って昼夜の温度に寒暖差が出るようになればキノコが発生します。
※下の画像は切り口付近が少し乾燥していたのでシイタケ菌が弱っているが、その下は非常に良い状態で榾木になっている。切り口は乾燥し易いのであまり気にしなくて良い。
※もし雑菌に侵されていると白い部分が無く、全体的に茶色、黒、青などの色になる。

エノキちゃん


ワンポイントアドバイス

仮伏せや本伏せの環境によっては原木にシイタケ以外のキノコが発生する事があります。 このキノコはシイタケ栽培にとって被害がおおきいものから、放置していても問題ないものまで様々なものがあります。

【放置しても問題ない】
  • ・ゴムタケ
    ゴムタケ
  • ・ヌルデタケ
    ヌルデタケ
  • ・ダイダイタケ
    ダイダイタケ
【被害がおおきいもの】
  • ・クロコブタケ
    クロコブタケ
  • ・胴枯菌
    胴枯菌
  • ・カワラタケ、カイガラタケ
    カワラタケ、カイガラタケ

しいたけくん


榾木起こし


よく『ホダ起こし』と呼ばれている工程で、シイタケの発生に適した環境に移すと同時に発生を促します。

ワンポイントアドバイス

この工程も大規模な生産者なら必ず行っていますが、人によっては本伏せのまま発生させる方もいます。 本数も少なく移動させるのが面倒くさい場合は本伏せのまま自然に発生させても全く問題ありません。 ただ榾木起こしを行う事により、移動刺激と環境変化の刺激で本伏せのまま発生させるよりも収量が上がります。 『本伏せは6乾4湿』の場所が望ましいと書きましたが、逆に『榾木起こし後は4乾6湿』の場所が望ましい。 乾燥していると良いシイタケが採れない場合が多く、榾木起こし後は必ず湿度のある場所、または散水設備がある場所に移すようにしてください。 ちなみに榾木起こし後の組み方ですが、とにかく乾燥しない様な組み方を行ってください。 湿度が高い林内に置く場合や散水設備がある場所に置く場合は斜めに立てかけたり、湿度が若干低い場合はヨロイに組んだりして工夫してください。 何度も言いますが、この工程はあくまでもシイタケの収量を最大限にまで求める方が対象で、 あまり手間をかけずに普通に収穫できればいいという方はこの工程を飛ばしても問題ありません。 直射日光に当たらない・雨が当たる・適度に湿度があるような場所であばれ、この工程を行わなくても秋と春に自然に発生します。

しいたけくん


発生


通常サイズの原木(直径10cm程度)であれば、2夏経過の秋(駒を打って1年半後)にポツポツと発生が始まります。 画像の黒い丸は種駒の頭で、種駒は榾化が進むと黒くなっていきます。

ワンポイントアドバイス

発生は『日中の寒暖差』と『雨』がトリガーとなります。 秋と春に最低温度が15℃以下の日が3日続くと発生が促され、そこに雨が降ると更に発生が促されます。
※状態の良い榾木であれば18℃以下、古榾(3年目、4年目)であれば10℃以下で発生が促されます。
寒暖差だけでもシイタケが発生しますが、そこに雨が降ると更に収量が上がります。 もし発生時期に雨が極端に少ない場合は朝と夕にタップリと水をやるようにすると良いでしょう。 ちなみに雨が少ない年はシイタケの発生が悪く、乾シイタケの値段が非常に高くなります。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

シイタケが発生した後、明らかにシイタケが乾燥している場合 (傘の上部がひび割れている・触ったら表面が硬く乾いている、木に付いたまま乾シイタケの様な状態になっているなど…)、 そこの場所自体が乾燥しているので、シイタケの芽が親指の半分くらいの大きさになったら1つ1つ袋をかけてやったり、 並べている木の上に大きいビニールをかけるなどの保湿対策をすると良いシイタケが採れます。

エリンギくん


収穫


傘の裏のヒダの膜が切れてきたら収穫します。

ワンポイントアドバイス

よくお客様から『冬茹(どんこ)を採りたいけどどうすれば良いのか?』『にく丸は冬茹が採れる品種なのか?』というご質問をいただきますが、 まず冬茹というのは見た目の事です。業界的には規格と言います。 ちなみに冬茹以外にも香信(冬茹よりも薄くて開いて大きくなったもの)や香菇(冬菇と香信の中間)やバレ(収穫遅れで変色していたり開ききって反り返ったりしているもの)などがあります。 更に冬茹の中でも傘の上がひび割れて茶色くなっている茶花冬茹、傘の上がひび割れて白くなっている天白冬茹(最高級品)、 香信の中でも非常に大きい香信大葉など、それぞれの規格によって市場で取引される価格が変わってきます。
じゃあにく丸はどの規格が採れるのか?と思う方がいらっしゃると思いますが、ズバリ全ての規格が採れます。 シイタケにはにく丸以外に様々品種があります。そしてその品種によって何が違うかというと大きく別けて発生時期・味・形となります。 まず発生時期については比較的暖かい時期に発生する品種であったり、比較的寒くなって発生する品種、少し暑いくらいでも発生する品種などがあります。 次に味に関して、もちろん品種によって味は違い、その中でもにく丸は非常に美味しいシイタケが出来る品種となっています。 最後に形ですが、全く同じ環境で違う品種を栽培すると、それぞれ異なった形のシイタケが出来ます。 しかしこの形に関しては、発生した時期の温度や湿度に大きく左右されます。 例えばどんな品種でも発生した後に温度が高い日が続くと肉薄で傘がすぐに開いてしまい、バレになり易くなります。また湿度が低すぎると傘がひび割れて奇形になり規格外品になったりします。 当然にく丸も例外ではなく、暖かい日に何らかの刺激で発生したり、発生後に急激に暖かい日が続くと肉薄のシイタケが出来てしまいます。
では何故にく丸は冬茹を採るのに向いているかというと、にく丸は遺伝的に肉厚で傘の巻きが強くなる傾向にあり、更に秋と冬に15℃以下の日が続くと発生するので、 遺伝的にも発生時期的にも非常に冬茹になりやすい品種と言えるのです。 これに加えて味が非常に良いので日本で1番多く使用されている品種となっています。

しいたけくん


ワンポイントアドバイス

大きいシイタケステーキや肉詰めにする場合、また香信を作る場合などは傘が開いて膜が切れても、更に大きくなるまで待って収穫してもよい。 ただし大きくなり過ぎてシイタケの傘の縁が波打ってきたり、反ってきたら必ず収穫してください。
肉厚で傘の縁が丸まったまま生長していても、気温が急に高くなると一気に傘が開くので要注意!

エリンギくん


ワンポイントアドバイス

収穫は手で根元を残さないように、出来るだけ根元を持って収穫してください。 根元が残ると腐敗の原因となりますので、出来るだけ根元から収穫してください。 根元の木質部が付いてきても後で切り落とせば問題ありません。

えのきちゃん


収穫後の管理


収穫後は収穫した状態でそのまま置いておき、また自然に雨に当てて2年目、3年目と自然にシイタケが発生するのを待ちます。

廃棄のタイミング


シイタケが採れなくなった状態の榾木を廃棄します。

ワンポイントアドバイス

よく『大体2~4年で廃棄する』という事が言われていますが、それは榾木の状態で判断してください。 シイタケ菌は通常木から栄養を摂りながら(分解しながら)成長してシイタケを作ります。当然栄養を摂られた木はボロボロになっていく訳ですが、 そのボロボロになる年数もシイタケの発生量などによって異なってきます。 例えば同じ榾木でも多くシイタケが発生した木は、あまり発生していない木に比べて早くボロボロになりますし、細い木は太い木に比べてボロボロになるのが早いです。 どうなればボロボロになったと言えるかというと、シイタケ菌が弱くなって雨や風で自然と皮が剥がれるような状態になればボロボロになっていると言えるでしょう。 そういう状態になればあとは他の雑菌が蔓延して朽ちていくだけなので廃棄するようにしましょう。

しいたけくん


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