
様々な音楽シーンに多大な影響を与え続けている電子楽器メーカー「KORG」。
KORG製品によって生まれた名曲も数知れず。クラブミュージックにおいても深いかかわりを持ち、シーンを支え続けています。
今回PowerDJ's楽天市場店長市原がKORG開発チームの方々にインタビューをして参りました!
KORG製品の魅力、製品に対する開発者からの熱い思いを感じ取ってください!!
市原:
これまでクラブミュージックに限らず、あらゆるミュージックシーンに多大な影響を与えていらっしゃるKORGさんですが、どのようなきっかけで誕生したのでしょうか。
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水原: 元々はドンカマチックというリズムボックスを開発するところから始まりました。今だったらカラオケが主流ですが、当時は流しやアコーディオン弾きのおじさんが飲み屋でお客さんのバック演奏をしていたという背景があったんですが、そこにリズムがあると便利だろうということで現会長の加藤が制作しました。ナイトクラブで使うためのスピーカー付きのリズムボックスだったので、割と当時からクラブミュージックの世界に昔から近かったのかもしれませんね。
営業課/製品担当の水原氏
市原: なるほど!それは面白いエピソードですね。ドンカマチックは今日実物をショールームで初めて見ましたが、ミュージシャンなら誰でも知っているほど有名ですよね。同期信号用のクリック音をドンカマって呼んでいますし。
水原: はい。我々の社名はそのドンカマチックを制作した加藤の「K」、アコーディオンプレイヤーの長内「O」、そしてオルガン(Organ)をかけたのがKORGの名前の由来です。また本社が東京の京王線沿いにあったというのもかかっています。
KORGの原点「ドンカマチック」(KORG本社ショールーム内)
市原: 今年で創立45周年のKORGさんですが、数々の銘機を世に送り出されていらっしゃいます。私が音楽や機材に興味を持ち始めた頃はまさにデジタルシンセ全盛期でして、やはり一番衝撃的だったのはM1というワークステーションシンセサイザーでした。今年2008年でM1、つまりワークステーション型シンセサイザーが誕生してちょうど20周年なんですよね。
ワークステーション型シンセサイザーの原点である銘機「M1」(KORG本社ショールーム内)
金森: 当時はアナログシンセやFM音源やサンプラーなどが主流だったのですが、PCM音源シンセサイザー+シーケンサー(自動演奏装置)そしてエフェクターまで入っていて、しかもあの価格での発売はかなり衝撃があったと思います。
開発部の金森氏
水原: 他社さんではPCM音源を搭載したシンセサイザーも発売されていましたが、シーケンサーまで搭載されているのはM1が初めてでしたね。
市原: 当時の価格で248,000円!まさに現在のワークステーションシンセサイザーの原点!特にM1ピアノはハウスミュージックの定番になりましたね。そしてM1以降他メーカーからもワークステーション型シンセサイザーが発売されるようになり、KORGさんからまたまた革命的なシンセサイザーが発売されました。僕が今でも愛用しているTRINITYです!当時、あのクオリティの音質が出るPCMシンセって他にはなかったと思うんですが。
金森: TRINITYではサウンドが一新されました。M1→Tシリーズ→01/Wという流れがあるのですがTRINITYでは、まず音源自体のサウンドクオリティ自体が向上し、エフェクターも格段に進化しましたので、高域がちゃんとパキーンって出るようになりました。
Tシリーズ(上から「T3」、「T2」、「T1」)
「01/W」
「TRINITY」
市原: 高域の抜け方がすごい気持ち良いですよね!TRINITYの音は全然楽曲の中に埋もれないんです。もうダントツでした。生楽器の音もとてもリアルですし、ダンス系の音色も豊富。特にJAZZ系の生ドラム音色に関しては「うわ!胴鳴りしてる!」ってビックリしました。私はそれまではスピーカー付きのビギナー向けのシンセを使っていたのですが本格的に楽曲制作を始めたいと思い、当時私がいつも通っていた楽器屋のおじさんに相談したところ、「今から買うんだったら絶対コレ!」ってすすめられて購入しました。かなり高価だったんですが、無理してでもあの時TRINITYを購入してホント良かったと思います。これがなかったら今まで音楽やってませんでしたし、こうやって楽器屋で働いていなかったと思います(笑)
金森:
それまでに比べてTRINITYはメモリの容量も増えたので、ピアノやエレピなどのキーボードやストリング、ドラム、ブラスなどのPCMの音色をサンプリングしなおして一気にドカっと入れ替えました。それまでのKORGサウンドを大きく変えたシンセサイザーです。タッチパネルディスプレイ(TouchView)というインターフェイスもTRINITYから始まり、TRITON、OASYS、M3と受け継いでいます。
KORG M3 【61鍵モデル】
KORG M3 【73鍵モデル】
KORG M3 【88鍵モデル】
KORG M3
【音源モジュールタイプ】
KORG OASYS 【76鍵モデル】
KORG OASYS 【88鍵モデル】
BEAT KINGS -RESPECT THE ARCHITECT-
市原: そうそう、タッチパネルも斬新でした!TRINITYの次に発売されたTRITONでは多くのクラブミュージックアーティストに支持されています。HIPHOPやR&B系アーティストではネプチューンズがかなり有名ですがSwizz BeatzもBEAT KING DVDの中でTRITONを愛用していると公言していました。テクノ系のアーティストですとURがバリバリTRITON使ってて、実際ライブでもMAD MIKEが演奏していました。TRINITYからTRITONになって低域がブーストしているなあと個人的に思っているんですが、TRITONの音色開発にあたってやっぱりダンスミュージックは意識されていましたか?
「TRITON」
坂巻: 特に意識はしていないと思いますが、曲がちゃんと作ることができてさらに現在のメインストリームの音楽に対応していくために当時盛り上がりつつあったクラブミュージックサウンドもちゃんと勉強してカバーしていったという感じですね。
企画室の坂巻氏
金森: TRITONでは、たしかに当時のHIPHOPやダンス系のドラムサウンドなどが大幅に強化され、音抜けの良い音が多数入っています。また、アルペジエータを使ってドラムパターンを鳴らす事ができるようになったことも、クラブ系のアーティスト達に気に入ってもらえた要因なのかもしれませんね。
坂巻: 一音に気持ちを込める感じが音数の少ないダンスミュージックにマッチしたのかなっていう印象がありますね。
市原: 当時いっしょに音楽やっていた相方がTRITON買ってTRINITYを上回る音色数や機能面がうらやましかったんですが(笑)、音質はどちらも異なっていてどちらもそれぞれの良さがあって面白かったです。
金森: TRITONはTRINITYとはフィルターが違うので、その違いが質感に出ていると思いますね。
市原: あ〜そうだったんですね!大変興味深いです。そしてTRITONはその後TRITON Extremeになり、その後現行商品のOASYS、M3に続いていくわけですが、OASYSでフィジカルモデリング音源が復活していますね。
「TRITON Extreme」
金森:
フィジカルモデリング音源に関しては、さかのぼるとWAVEDRUMという電子パーカッションが一番最初なんですけど、シンセサイザーという形で発売したのがTRINITYと同時期に発売されたProphecyが最初でした。DSPという膨大なデータを高速処理できるチップを使って複雑な音色変化を処理し、管楽器や弦などの生楽器やアナログシンセをシミュレーションした音源で、その技術を蓄積したのがZ1というシンセサイザーだったんですね。しかし、ウケがよかったのは生楽器のモデリングよりもアナログシンセのモデリングの方で、それがMS2000やELECTRIBEシリーズ、microKORG、RADIASに受け継がれていきました。そしてOASYSになってようやく弦のフィジカルモデリングが復活したわけです。
KORG microKORG
KORG RADIAS
KORG RADIAS-R
「WAVEDRUM」
「Prophecy」
「Z1」
「MS2000」
市原: 最近ハードウエアでフィジカルモデリング音源を搭載したシンセサイザーに力を入れているメーカーさんはあまり見られなくなりましたが、そういった点でKORGさんの音のこだわりが非常に伝わってきました。OASYS内にはオルガン音源のCX-3が搭載されていますが、あれもモデリング音源ですよね。メチャクチャいい音します(笑)。
坂巻: PCM音源は録音したサンプルを再生しているのですが、プレイアビリティを追求していくとどうしてもモデリングっていうことになっていくと思うんですね。KORG自体「電子機器ではなく楽器を作っているんだ」というマインドが強い会社ですので、その思いがモデリングの開発につながっていったと思います。
フィジカルモデリング音源を搭載する「OASYS」(KORG本社ショールーム内)