写真左より、DENON 酒井氏、遠藤氏、相川氏、河野氏、池田氏、PowerDJ's 市原

写真左より、DENON 酒井氏、遠藤氏、相川氏、河野氏、池田氏、PowerDJ's 市原

市原: DENONさんがDJ機器を扱うようになった経緯を教えていただけますでしょうか。

商品企画 遠藤氏

商品企画 遠藤氏

遠藤: ご存知のとおりDENONブランドでは、元々、放送局やスタジオ向けに業務用音響機器を納入しておりました。それこそ円盤録音機にはじまりテープの時代を経て、現在まで様々な製品を開発しております。
1991年にリリースしたDN-4000Fは、放送局向けのDN-950FAというCDプレーヤーをベースにして、DJプレイがやりやすいよう、左右にドライブを2機搭載したものです。
業務用CDプレーヤーは、弊社の得意とするところで、CUEやHOTスタートという機能も元々は、業務用途として開発されたものなのです。

市原: もともとは放送局用として作られたプレーヤーの応用がDJ用プレーヤーだったということですね!!

遠藤: はい、実はそうなのです。
92年にリリースされたDN-2000Fは、現在のデュアルタイプのCDプレーヤーのベースとなるモデルです。
ドライブユニットとリモートコントロールユニットが分かれているデザインは、現行のモデルまで脈々と受け継がれてきました。

市原: DJ用CDプレーヤーを初めて作られたのがDENONさんなんですよね。

遠藤: そうですね。DJ向けとしてCDプレーヤーを開発し、市場にリリースしたのは、弊社のDN-4000Fが世界初です。

市原: 確か97年ぐらいだったと思うんですが、海外のDJが、DENONさんのDJプレーヤーを使っているのを初めて見ました。当時はCDでDJができるというのが一般的ではなかったので非常に驚いた記憶があります。

遠藤: 国内でもDN-2000Fは発売されていたのですが、CUEポイントや10ms以下のインスタントスタートの機能が買われて、意外にも舞台音響業界で、結構有名だったようです。(笑)

市原: ポン出し用として便利ですからね。

遠藤: そうですね。
デッキ1、デッキ2と左右横並びのデザインも、ミキサーのChが横並びなのと合うから、感覚的にわかりやすかったのだと思います。
最初はCUEポイントの設定、テンポの変更、HOTスタートといったシンプルな機能のみだったのですが、そこからキーアジャスト、エフェクター内蔵など、DJの要望に応えるよう徐々に機能を高めていきました。

市原: しかしながら、DENONさんはデュアルCDプレーヤーとしては長いですよね。

遠藤: DENON DJの転機になるのが、2002年あたりでしょうか。
DN-D9000という国内では未発売のデュアルCDプレーヤーがあるのですが、これがまた機能盛りだくさんで(笑)
DN-S5000のベースモデルにもなったモデルで、あのα-TRACK機能も搭載していました。

市原: α-Track機能がデュアルになると、どうなるんでしょう?つまり…(笑)

遠藤: はい、DN-D9000単体で4系統の出力を持っております(笑)
最近のモデルでは搭載しなくなった、サンプラーやスプライス機能なども搭載しました。
当時はチャレンジ精神旺盛で、世の中にないものを出してやろうという気持ちが、このような機能につながっているのだと思います。
このDN-D9000をテーブルトップ型にしたのがDN-S5000、さらに機能を簡易化したのがDN-S3000です。
α-TRACKをはじめ、Denon初のDJ用Single CD Playerとして、また世界初のモーター駆動プラッター搭載という大きなセールスポイントに見合うよう、ソフト的にも多機能を目指しました。 その後、『操作性の改善』をひとつの重要ポイントとして常に各分野からコメントを頂き、機能面最適化を日々目指しています。

市原: 2004年ぐらいからのDENON製品が国内でもさらに認知されるようになったと思います。

遠藤: そうですね。このころから国内に向けた製品も多く発売されるようになりました。
エントリーユーザー向けのDN-S1000とDN-X100をリリースしましたが、これらのモデルは非常にコンパクトながら多機能で、上位モデルをギュッと凝縮したようなモデルでした。
またDENON DJ初となる4チャンネルデジタルDJミキサーDN-X1500もこの年にリリースされました。

2005年には、現在のデュアルCDプレーヤーの世界標準ともなったDN-D4500、DJ用途に特化した音作りを意識したDENON DJ初のヘッドホンDN-HP1000を海外でリリースしました。
そしてDN-S3500では、自走プラッターにダイレクトドライブモーターを採用することで、よりアナログライクな操作性を実現し、国内のユーザー様からもご好評をいただきました。

2006年頃からDJシーンにおいて音楽ファイルというメディアが新しく扱われるようになり、それに対応するために開発に時間を費やし、2007年にDN-HD2500(国内未発売)というモデルをリリースしました。
このモデルでは、内蔵したハードディスクや、USB端子に接続されたUSBデバイスに保存された音楽ファイルの再生が可能で、さらにPCと接続してDJソフトウエア用のコントローラーにもなります。
その夏にリリースされたDN-HC4500は、高音質のUSBオーディオインターフェースを内蔵したDJソフトウエア用のコントローラーです。
そして国内でもDJ用ヘッドホンの要望が多かったためDN-HP700をリリースしました。

2008年には、DN-HD2500をベースにしたテーブルトップ型メディアプレーヤーDN-HS5500をリリースしました。
品番でもおわかりの通り、DN-S5000の後継機種という位置付けで、α-TRACKの思想も受け継いでいます。1台でありながら、2トラック同時に再生できるのが特徴ですが、DN-S5000の時の反省を活かして仕様を検討した結果、操作性を向上させることができました。
DN-S1200はDN-S1000の後継で、コンパクトなサイズはそのままに、USBデバイスの再生に対応し、ジョグディスクの操作性を向上させました。DN-S1000は、ジョグディスクの裏側にタクトスイッチを入れて、物理的なスイッチのON/OFFで、タッチ検出を行っていましたが、DN-S1200では、さらにスムースなタッチセンサーを採用し良好なフィーリングを実現いたしました。
そして、2009年になり、シンプルな4チャンネルDJミキサーDN-X1100DN-S3700DN-X1700をリリースしています。

市原: 海外に向けた商品が多いみたいですが、海外だとデュアルプレーヤーの需要って多いんですか?

遠藤: 地域によっても異なりますが、やはり「モバイルDJ」という存在が大きく、彼らにとっては、デュアルプレーヤーのコンパクト性、持ち運びの簡便性がメリットになるんです。
そのため、これらの地域では、国内と比較にならないぐらいデュアルプレーヤーの需要があるのです。

市原: そういったDJ文化が根付いているんですね。やはりアメリカが中心ですか?

遠藤: そうですね。モバイルに関しては、アメリカの方が市場は大きいと思います。
もちろんヨーロッパにもそういった文化がありますが、アメリカでは、日常的に行われる様々なパーティや結婚式にDJが呼ばれることが多く、DJ文化がアメリカ人の生活スタイルに定着しているようです。

市原: それが商売になってるんですよね。

遠藤: ビジネスとして確立されてますね。


ニューCDプレーヤーDENON DN-S3700誕生秘話

市原: では、まず新製品DENON DN-S3700についてお伺いします。これはダイレクトドライブモーター搭載のDN-S3500の後継の機種ですが、かなり使いやすくなりましたね。どういったところを意識して開発されましたか?

遠藤: DN-S3500、DN-HS5500とリリースしてきて、これらのモデルを使用されたユーザー様から、多くのフィードバックをいただきました。中には、かなり細かな指摘事項もありましたが、DN-S3700の開発をはじめるにあたり、そういったものをひとつずつ解決していこうということになりました。
そして、まずはDJが直接手で触れるプラッター部分の操作性に着目しました。
ユーザー様や販売店様からは「プラッターが自走するのはいいけど、プラッター径が、もう少し大きければ、より操作性が改善される」とご意見をいただいておりました。
プラッター径の大きい方が、操作性がよくなることはわかっていたのですが、一方で筐体サイズも限られているので、プラッター径が大きすぎると、その他の機能の操作性に悪影響を及ぼしてしまいます。
そこで検討した結果、生まれたのがDN-S3700で採用された9インチサイズのプラッターなのです。
そして、もう一点重要なポイントはモーターの制御方式です。

ハードウエア設計 池田氏

ハードウエア設計 池田氏

池田: DN-S3500、DN-HS5500のプラッター制御は、ハードウェアによるFVサーボ方式を採用していました。この方式は、比較的シンプルにソフト制御を実現出来る反面、外乱に対する追従性やフレキシビリティなトルク制御に乏しいといった欠点があります。例えば、プラッターの淵を触るベンド操作から、手を離したとき、プラッターの回転が、一瞬オーバーシュートして、目標回転数に戻るため、その動きに合わせるように音を追従させると、音が不自然に揺らいだように聞こえてしまいます。そこで、この欠点をカバーするためにオーバーシュートのポイントのみ、音の追従性を若干補正するソフト処理をしていました。また、トルクについては、ハードの構成で決まってしまうため、固定トルクとなっていました。
そのため、プラッターに触った瞬間の音の追従性や、トルク感が強すぎるといった不満があったんですよね。
そこで、DN-S3700のプラッター制御は、これまでの方式を一新したソフトウエアによるPID方式を採用しました。
この方式の優れている点は、プラッターの回転精度や応答速度,それに、トルク調整といった部分をプログラムソフトにより、細やかにチューニング出来る点です。
この方式を採用した結果、プラッターの回転精度が格段に向上し、手で触った時の感触や、手を離した後の音の立ち上がりが非常にスムースになった点など、かなり改善していると思います。

市原: なるほど。要は定常に回っている時は回転ムラをなくして、手で触った時の感触や離した時の音の立ち上がりなどがアナログターンテーブルに近くなったということですね。

池田: アナログターンテーブルでのDJプレイではテンポを微調整する際にプラッターを触って遅らせますが、DN-S3700においても同じ操作感を得られるようにプラッターの淵のパターンをクラブシーンで定番化されているターンテーブルに近づけました。そこのフィーリングは非常に良くなったなと個人的にも思います。また、プラッターが回る力(トルク)もHi/Mid/Lowという3種類のトルクをユーザーの好みに応じて切り替えられるようになってます。あとスピンドルもちょっと高くして上をつまめるようにしました。

市原: DN-S3500、DN-HS5500はトルクが強くてスクラッチはやりやすかったんですが、MIXの際の微調整はプラッターを触るより、ピッチベンドボタンの方が使いやすかったですね。

遠藤: DN-S3500、DN-HS5500のプラッターサイドのパターンは、面部分が広く、指先でブレーキをかけようとすると、微調整が効かず、強く触ると止まってしまうこともありました。
しかし、これらの改善を行ったことで、ベンド操作は、かなりやりやすくなったと思います。

池田: あとはピッチを変えた時のレンジ幅に対する回転の追従が非常に広くとれているってところですね。DN-S3500、DN-HS5500はもう-70%ぐらいになってくるとある意味回転が追従してなかったんですが、-90%近くまで追従するように設計しています。
こういう点が、ソフトウエア制御のいいところなんです。

市原: それは細かな配慮ですね。DN-S3700はトルクの強さの切り替えとプラッターの淵のくぼみの見直し、モーターのソフトウエア制御によって、さらにターンテーブルのフィーリングに近づいたというわけですね。
DENONさんのDJ用CDプレーヤーは従来のアナログプレーヤーを愛用しているユーザーの方にも、またCDプレーヤーからDJを始めたユーザーの方にも使いやすい設計になっているのが魅力ですね。いいとこ取りで(笑)

ソフトウエア設計 酒井氏

ソフトウエア設計 酒井氏

酒井: USBストレージの音楽ファイルを使用する際、ディスプレイに常時される波形の取り方を音の密度を取るように工夫しました。
だからキックとスネアだけのところは、密度が薄いので波形が小さくなる。で、それにベースとか、上モノの音が入ってきてるところは、密度が濃くなるので、大きく表示するようにしてます。その波形も付属のミュージックマネージャーというパソコンの管理ソフトで一気にバーっと速さで作っておけるので、ファイルにアクセスした瞬間に波形がポンと出てくるようになっています。

市原: DN-S3700はCDだけでなくUSBデバイス経由で音楽ファイルが再生できるという点も魅力の一つですからね。
あとは機能面に関しても随分と使いやすくなったと思いますが、この辺りについてはどうでしょうか。

DN-S3700 デモンストレーションムービー

遠藤: 一番の特徴はHot Startとループ機能を完全に独立させたところですかね。

市原: そうですね、Hot Startボタンは一回押すとスタートポイントが付いて、もう一度押すとそのポイントに戻って再生されるというワークフローはとても自然だと思います。スタートポイントを記録するのにわざわざモードを切り替えなくても良いですし。

遠藤: モードを切り替える操作方法が「デファクト」とは言え、DJの行う操作としては面倒だなぁとずっと思っていました。
それなのでDN-S3700では、Hotポイントを一発で決められるような仕様としています。
またクリアボタンを別に設けることで、削除する方も一発で行えます。

市原: 気になったのがDENONさんの今までの製品は、たくさんの機能がギッシリトップパネルにレイアウトされていたと思うんですが、今回のDN-S3700ではかなりスッキリしましたね。その辺りの機能は抑えられました?

遠藤: はい、抑えました(笑)

市原: かなりグッと・・・・開発側の立場になれば、本当は入れたい気持ちもわかるんですが(笑)

遠藤: そうですね。
でも本当は、まだ取りきれてない部分もあるんですよ(笑)
ただ、これまでDENON DJを使ってきていただいた方や、海外ユーザーの声もありますので、そのあたりを考慮した仕様となっています。
また、DJプレイでよく使うボタンは大きく、あまり使わないボタンは小さくすることで、デザイン的にすっきりさせつつ、操作性を向上させています。

市原: もう一点気になったのが外観のデザイン!いいですよね〜。
なんか高級プレーヤーのような感じがしてすごく物欲をそそられます(笑)。
四隅のシルバーのアクセントも素敵です。ちょっとゴールドっぽくも見える不思議な色合いですね。

遠藤: この色にはDENONプレミアムシルバーという名前が付いていまして、DENONブランドのAV製品のフロントパネルに多く使用されている色なのです。

市原: あっ!だから高級感がある仕上がりになっているんですね!インテリアとして成り立つような存在感があります。
あとリアパネルにロゴがあるじゃないですか。これ重要ですよね。
やっぱりお客さんに見られるのってリア側なんで、こっちに存在感があった方が絶対に良いと思います。


業界初の32bitDAC搭載、次世代DJミキサーDN-X1700

市原: では、続いて、話題のDJミキサーDN-X1700についてお伺いいたします。
まず始めに。えーっ、なんと言いますか..とにかく、これスゴイですよね。
ついにここまできたかっていうか(笑)
DN-X1700はどういった経緯で生まれたのかお伺いしてよろしいでしょうか。

遠藤: プレーヤーではDN-S3700DN-HS5500、DN-S1200など、パソコンと連携しているプレーヤーを開発してきましたが、デジタルミキサーでも同様に、パソコンと連携しているものが増えてきています。
ただ、それらの仕様を見てみると、なんというか「惜しい!」んですよね。
なかなか完璧な仕様のデジタルミキサーというのが、見当たらなかったのです。特に操作性において。
だから「パソコンとの連携とDJミキサーとして操作性」を高いレベルで実現できるのはDENON DJしか無かろうと(笑)
そしてDENONのノウハウを活かして音質的にも最高のものを作ろうということになりました。

DENON DN-X1700を触る市原

市原: これあれば何でも出来ますもんね。
やっぱりこういうのは現役でDJされている酒井さんの意見が多く取り入れられています?

酒井: はい、いろいろアイデアを出させていただきました(笑)。

市原: やっぱり(笑)
現場のDJがDJミキサーで重要視するところってすごく単純だと思うんですね。
極論を言ってしまえば、CUEボタンとヘッドホンのボリュームがパッと見ただけでわかればそれで十分だと思うんです。機能だけが優先してしまうと、現場で使いずらくなってしまう。
DENONさんのDJミキサーもDN-X1500あたりから、非常にわかりやすいレイアウトに変わってきたというのが個人的な感想です。
そしてエフェクトセクションだけ、パネルの色で区別されて視認性もよく、バラエティに富んだ種類の上に2系統も搭載されていてすごく贅沢(笑)! これについては開発時にはいろんな試行錯誤があったと思うんですけどいかがですか?

遠藤: 市場をみると、2系統以上のエフェクターを搭載したDJミキサーも少なくなかったので、最初から2系統ありきで仕様をまとめ開発を進めました。
チャンネル毎にエフェクターを搭載したらどうか、、、という話もありましたが、操作性とのバランスを取ってこの方式に落ち着きました。
2系統のエフェクターをどうレイアウトするか(例えばECLERのEVO4のように左右に配置するとか)というのも、非常に頭を悩ましたところですが、より大型のディスプレイを配置できる現在のレイアウトになりました。

DN-X1700 デモンストレーションムービー

市原: 2系統のエフェクターをインプットチャンネルだけでなく、マスターやマイクにも自由にアサインできるのがユニークですね。

酒井: 右側のプレーヤーはエフェクト1をかけて左側のプレーヤーはエフェクト2をかける、特定のチャンネルはエフェクト1をかけてさらにマスターにはエフェクト2にかけるとか、そういう自分なりの面白いルーティンを組めるのが魅力的なミキサーだと思います。
一番オススメしたいのは「Beat Breaker」っていうエフェクターで、ビート1拍を4分割した先頭の音声を後ろの3つと置き換えるか否かによってパターンを作ることができます。プリセットがいくつか用意されていますが、ユーザー側で設定することができます。

市原: このエフェクターは初めて触ってみましたが、面白いです。
これだけ豊富なエフェクトの種類にもかかわらず、SEND/RETURN端子まで搭載していますね。
そしてなによりも目立つのがこのエフェクトの情報を表示している3.5インチの大型LCD!

酒井: エフェクト以外ではフェーダーのカーブやカットラグ等の調整、EQの周波数帯域の設定などユーティリティ関係を表示します。ちなみにそれらの設定情報をUSBメモリにエクスポートすることができるのですが、DN-X1700が常設されているクラブにもって行ってインポートすれば自宅と同じ環境設定が行えます。

遠藤: 当初からTFTのカラーLCDを搭載するとか、FL管をふたつ搭載するとか、表示器については色々なアイデアがありました。商企的には是非ともTFTのカラーLCDを搭載してリッチなGUIを実現したかったのですが、何しろコストが厳しくて、、、
ただ最終的には、エフェクターレイアウトとのマッチングや視認性などの実用面を考慮した結果、TFTのカラーLCDを搭載することになりました。
もちろん、ただTFTのカラーLCDを搭載しただけではなく、そこに表示されるGUIのデザインについても、嫌になるほど検討を繰り返し、とても視認性のよいGUIが実現できたと思います。

市原: そしてDJミキサーのもう一つの重要なポイント「音質」についてですが、こちらもかなりこだわった仕様になっていますね。32bitのD/Aコンバーターはすごいですね。実際このくらいの価格帯の高級ミキサーと色々聴き比べしたんですが、かなりレンジが広く、デジタルミキサーとは思えない音質でした!

ハードウエア設計 河野氏

ハードウエア設計 河野氏

河野: 32bitのD/Aコンバーターは、これを開発しだした当初は出始めだった旭化成さんのデバイス使ってるんですが、ちょうどそれが世の中に最初に出てきた32bitのものでした。
新しいものということもあって、色々問題もありつつ。
これまでの24bitのものより精度が高くなってるんで、その分それを使いこなす周辺の回路のレイアウトなんかも慎重に検討しました。

市原: また、デジタル回路とアナログ回路が分かれているところが業界初っていうことですが、混在するとノイズの影響を受けやすかったりするんでしょうか。

河野: デジタル系の電源って言うのはスイッチング電源っていうものを使いますが、アナログのトランスに比べると、そのスイッチング電源自体がノイズを持っています。
あと、USBやデジタルインに使っている電源は、たとえアナログの電源で送ってやったとしても回路から出てくるノイズがアナログの方に入ってきちゃう場合があります。そこを完全にセパレートするために、デジタル系はスイッチング電源、アナログ系はシリーズ電源を供給するという完全セパレート化方式を採用しています。高級なアンプなどでは当たり前のように使われていますね。

市原: なるほど!ここでもDENONさんのプロオーディオの技術が投入されているんですね!もちろんフォノイコライザーもかなりいいものが使われているとか・・

河野: そうですね。PMA-SA1(希望小売価格 693,000円)という、うちの高級プリメインアンプの回路を取り入れています。

市原: これだけの機能でもすごいのに、8in/8outオーディオインターフェース機能、MIDIコントローラー機能が搭載している!

遠藤: パソコンとの接続はUSB2.0で行います。FireWireという話もありましたが、インターフェースを搭載しているパソコンも少なくなってますし、DJ的にはFireWireじゃなくてUSB2.0だろうということになりました。転送速度で若干不安がありましたが、そこは何とか技術の方でクリアしてもらいました。
MIDIコントローラー機能については、MIDIレイヤーという考え方を取り入れ、より簡単で便利に使えるコントローラー機能を実現しました。

市原: これは便利ですね。PHONOにすると変わったりとか、デジタルにすると赤とか、あとはUSBの時は青とかツマミの色が変わるんですね。
これはDJ以外にもクリエーターの方にもオススメなミキサーだと思います。

市原: それでは最後に、今後デノンさんはどのような形でDJシーンに商品を送り出す予定ですか?

笑顔で語る遠藤氏

遠藤: DJ機器というのは、DJという音楽空間を演出する「プロ」が使う道具だと思っています。
ですから、プロが使いやすい道具を作るためには、どうすればよいか、ということを常に考えていかなければ、よい商品は生みだせないと思います。
そういう意味でも、ユーザーインターフェースについては、十分すぎるほど検討を行って商品を開発していきたいと考えています。
ただ、昨今「デジタルDJ」なんて言ってみても、ユーザーインターフェースについては、アナログターンテーブルを使ってDJすることの延長でしかありません。
もちろん、それがユーザーインターフェースのひとつの完成系であるから、皆それを好むわけですが、いつまでもそれでいいのか?という疑問は常にあります。
ですから、今後は、そのような既成概念にとらわれない新しいもの、もっと遊べるものを提案できたらと思っています。
あとDENON DJの売りは「音質」です。
DJに関わる皆さんの話を聞くと、やはり「音質」については拘りをもっているなぁと感じます。
そういった拘りに応えられる商品を生み出していかなきゃいけないと思いますし、それが出来るメーカーはとても少ないと思います。
ウチは、その中のひとつだという自負がありますから、これからも「音質」に拘ったDJ機器を作っていきたいと思います。

池田: 私は今回DN-S3700を担当して、前モデルから、改善したプラッターの操作感について、市場からの反応がいいので、ユーザー様からいただいた様々な要求や不満な点を踏まえてより良い製品づくりを考えていきたいと思います。

河野: 私は主に音質等を担当しているんですが、DJの方に提供する音質っていうのは、音色とか音はDJの方が触りますんで、そこの音色とかに手を出すのではなくて、そこに影響しないような原音を忠実に再生するようにDJの方が音を操作する上で操作し易い土台を作るっていう意味で、原音再生っていうのはもう常に心掛けてやっていますけども、これからもその方針でやっていきたいです。
あと各操作子ですね。今回DN-S3700のプラッターに注目したりしましたけど、DJの機材っていうのは私もDJの機材を扱いだして改めて思いましたが、機材というより楽器的な要素が非常にあるので、操作性とか視認性をもっと市場からのフィードバックを踏まえつつ向上させていければなと思います。

酒井: 昔DJが始まった頃、たぶんテクニクスさんのSL-1200の初代。あれを作った開発者たちはまさかDJがスクラッチなんてことするとは思ってはいなかったと思うんです。弊社の製品って何でも出来るというのが売りなんで、メーカーがユーザーの使い方を縛らないような製品を開発していければと。

ソフトウエア設計 相川氏

ソフトウエア設計 相川氏

相川: ベーシックな音の良さという部分を伸ばしていきたいっていうのもひとつあるんですけど、最近のDN-HD2500以降のプレーヤーはデータベースでファイルを管理する機能を持ってるんですけど、まだそこら辺の使い勝手とか、それに付随するPCのアプリケーションとか、まだまだこなれてないかな?というのがあるんで、そこら辺も、まだファイルを再生するっていう事において検索だとか使い倒されてないかな?ユーザーさんに。それはこちらの機能が足りない部分があると思うんですけど、そこら辺をもっと研究して、使いやすい物を作っていきたいなと。

市原: お忙しいところご協力ありがとうございました。(了)

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