自然素材や薬品を用いて、革の表情を整えて製品にする重要な作業が『なめし』です。
なめしの役割はこれだけではなく、余分な要素を取り除いて防腐処理を施したり、
耐久性や耐熱性を高めたり、革の銀面の表情を作り込んだりします。
- 1. 水漬け・水洗い
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原皮は栄養補給や呼吸を自力ではできないため、すぐに腐ってしまいます。
そのため、防腐処理として塩漬けにされて工場に送られてきます。
このままでは加工ができないので、水洗いをして”生”の状態に戻します。
その際に皮に付着した血液や汚物も荒い落とされます。
- 2. 脱毛・石灰漬け
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裏打ち機で肉や脂肪なども取り除く裏打ち処理をし、柔軟性を高めるために石灰乳に漬け込んで、アルカリ成分で皮を膨らませます。
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この時に真皮層に含まれるコラーゲン線維をほぐして、毛や脂肪・表皮層などの部位を除去します。
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下処理の中で、用途に合わせて銀面と床面を分解し、垢出し機で更に不純物や毛を取り除き、銀面をきれいにします。
- 3. 脱灰
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なめし材の浸透がスムーズになるように、皮の中に残った石灰質を取り除きます。
この時点で皮に残っているタンパク質は銀面にざらつきを与えてしまうので、酵素を加えて分解除去します。
- 4. なめし理
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なめし材を使ったなめしは大きく分けて2つになります。
- タンニンなめし
- タンニンを含んだ植物の生成液を用いたなめし。
- 茶褐色で摩耗に強く、伸びにくい仕上がりになる。
- 成形しやすい反面、耐熱性に劣る。
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クロムなめし
- 塩基性硫酸クロム塩液を用いたなめし
- 青白く仕上がりになる
- 柔軟性・弾力性・耐熱性・染色性に優れ、現在では主流になっている。
なめしの方法によって、工程や時間が変わってきます。
クロームなめしは1〜5日ほど要するのに対し、タンニンなめしは溶液の濃度を
徐々に濃くして何度も重ね漬けるので、1カ月前後を必要とします。
- 5. 後処理
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なめし方によって作業工程は異なってきます。また、革の用途によっても再なめしなど作業が増えてきます。
- クロームなめし
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- 水絞り (余分な水を絞り出す)
- 裏割り (厚さを均一にする)
- 中和 (アルカリで中和させる)
- 染色 (下染めする)
- 加脂 (適度な油分を加える)
- 水絞り (水分を絞り、面積を広げる)
- 乾燥 (染料を定着させる)
- 味入れ (適度な水分を加える)
- ヘラ掛け (揉みほぐして柔らかくする)
- 張り乾燥 (板に貼って乾燥させる)
- トリミング (不要な部分をカットする)
- 銀むき (起毛革のサンドペーパーをかける)
- 塗装 (銀面に塗料を塗布する)
- アイロン (艶出し、アイロン、型押し作業)
- タンニンなめし
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- 水洗い (余分ななめし液を洗い流す)
- 水絞り (余分な水を絞り出す)
- 加脂 (適度な油分を加える)
- 伸ばし (伸ばして均一にする)
- 乾燥 (染料を定着させる)
(この工程の繰り返し)
- 6. 計量
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革面積を計算して、製品として出荷します。
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革の単位は”デシ”(国内向け)で、1デシ=10cm×10cmの正方形になります。
成牛一頭で400デシほど取れますが、表面加工によって2割ほど収縮する場合があり、必ずしも200デシ取れるとは限りません。
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また、カーフやキップなど生後2年未満の仔牛の皮は一頭あたりの量が少なく
(カーフ:60〜120デシ/キップ:130〜210デシ)、希少価値が高くなります。
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