平成20年2月26日
株式会社ベアレン醸造所


タンク破裂事故についての問題点と対策について(2008.2.26)

今回の事故に際して、社内で使用している、問題点の洗い出しと改善策、実施状況をまとめた文書を公開します。
なお、事故発生時の事象については、事故後の状況から当社で推測している内容のものです。

時系列 事象 問題点 改善策 実施状況

輸入時

強度検査を行わなかった。強度などのスペックは確認していなかった。 タンクの強度に問題があるか疑っていない。もともと不良品または過去の取り扱いに問題があったかもしれない。 強度検査を実施する。図面の引きなおし。
小山田エンジニアリングによる強度検査(現場検査2/19〜2/23、報告待ち)

ずっと

洗浄方法や使用薬剤をステンレスタンクと同様に行っていた。 本来、アルミニウムには使用できない薬品も使用していた。 洗浄方法の見直し、使用薬品の見直し。 手順の文書化。業者より使用薬品のレクチャーを受け2/6、アルミニウム用の洗浄薬品を購入、使用開始。2/22
製造現場の作業が佐々木陽一さんに任せきりで、他のスタッフが代替できる状況でなかった。 陽一さんへの負担増。万が一の場合のリスク管理の欠如。ミスの危険性。危険性の共有化ができていない。 一人しかできない作業の撤廃。作業には複数人で当たれるようにする。危険性の共有化を図るため、ヒヤリハットボードの設置。 役割の見直しを行う。月に一度の安全の日を設定、ミーティングや教育を行う。
安全管理マニュアルがない。安全確保に関する行動を行っていない。 安全管理に対する意識の欠如。危険性の感受性がない。 安全管理組織の創設。管理責任者の任命。 安全研修受講2/15、マニュアル化(2/16〜2/23第一稿完成、チェック中)
設備の設置、改装、移動などはすべて自分たちの経験に基づき、社内独自で行っていた。 知識不足、コスト削減などから適切な設置が行われていなかった可能性がある。 業者の利用、専門家のチェックを受ける。 減圧弁は業者にて設置する。(2月末)

1時間前

スタッフが一人で樽詰めの準備に入る。 作業の手順書、マニュアルが整備されていないため、一人で準備する不安がある。 手順書、安全マニュアルの文書化。その徹底。 マニュアル化(2/16〜2/23第一稿完成、チェック中)
炭酸ガスのタンクへの接続を行い、ボンベより2個の減圧弁にて減圧を行って炭酸ガスを供給。 気化器の電源を入れるのが遅い。第二減圧弁の単位が第一弁と違い、細かな調整ができない。設定値に微妙な誤差が出た可能性。 使用手順の文書化。減圧弁の交換、設置も業者により正確に行う。 文書化(2/16〜2/23第一稿完成、チェック中)、昭和炭酸による減圧弁の設置2/末

40分前

樽詰めを行う。 タンク内の圧力を計測していない。万が一の場合の安全対策がなされていない。 全タンクに統一した単位の圧力計の設置。スプントバルブ、安全装置の設置。 圧力計の設置2/18。昭和炭酸による安全装置の設置2/末、スプントバルブは既存のもので対応。

15分前

別の作業の指示をするために現場を離れる。その際、バルブを閉め、2個ある減圧弁を閉める。 途中で現場を離れる際のマニュアルがない。人によって離れる際の作業が違う。離れている際に、第3者が現場を触った可能性。 現場を離れる際のマニュアルの作成。ルール作り。 マニュアル化(2/25〜作業中)

事故発生

何らかのきっかけ??(※上記の当日作業が過剰圧を引き起こしたとは考えにくいと、専門家よりの意見。) 何が起こったかわからない。 作業員以外の入室、工場内の出入り、進路のルール作り。整理整頓、安全通路の確保。 マニュアル化、ルール作り(2/26〜作業中)
タンクのマンホール部分が断裂、そこからビールが噴出する。タンクは重量110kgのアルミ製、入っていたビールは満量に近い1700L。 タンクのマンホール部分の強度不足(腐食?溶接不良?金属疲労?)、タンクの構造上の問題点? 今後使用するタンクの強度検査、マンホール部分も。 小山田エンジニアリングによる強度検査(現場検査2/19〜2/23、報告待ち)ボイラークレーン協会認定の水圧検査の実施。
ビールが噴出した勢いで、タンクが動き、壁を突き破って偶然に反対側にいた陽一さんを直撃する。 タンクの構造上の問題?内容量が重く、タンクがアルミ製のため、軽い。縦型のため重心が不安定。足場を固定していなかった。 同形タンクすべての使用中止。縦型アルミタンクを使用する場合は、足場を固定する。 使用中止タンクはまだ処分方法が決まっていない。使用するタンクは決定していない。

事故直後

現場にスタッフが急行し、救助、病院搬送。 工場内の整理整頓がなされていない。乱雑で動きにくかった。(事故前の問題点でもある) 工場内の整理整頓の徹底。安全通路の確保。 現在は、随時整理整頓を実施。
これから アルミ製のタンクを使う場合。 強度は大丈夫?他でも使っているの?耐用年数はどれくらいなの? 使用するタンクの強度検査の確認の取れたもののみ使用。ドイツでの使用状況の調査。専門家の指導による定期検査のマニュアル作り。 強度検査は上記の通り。ドイツでの使用状況は調査中。
製造を再開する場合。 何年も経ったら忘れてしまわない?ずっと、危険の感受性を維持できる? 安全点検の定期的実施、教育を行い、意識向上を維持する。外部の資格者の定期的なチェックを受ける。 月に一度の安全の日を設定。今後、毎年1月22日を全社安全総点検の日とする。

※2008年2月26日現在の内容です。社内ではこの後も加筆、修正を加えて使用しています。

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