TTバイクはリーチ(Reach)とスタック高さ(Stack height)
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ところが、TT/トライアスロン用カーボンモノコック・フレームが各ブランドから続々とリリースされています。
フレーム設計の自由度が上がったため、特にTT/トライアスロンフレームは、従来のロードバイクのスタイルに捕らわれることなく、よりエアロ形状に変わってきました。
前から見ると薄っぺら(前衛投影面積の減少)に、横からみるとボリュームのあるティアドロップ型のエアロ形状です。
大手ブランドは風洞実験を行い、空力的に優れたフレームを作り出しています
空力的にトップチューブは水平に作られるようになりましたが、BBからサドルまでのシートチューブはリアホイールを覆うような形状となり後方にくるようにでなりました。そのため、シートポスト(シトチューブ)は「寝かされずに」垂直に伸びるようになってきました。。
右の写真のように、サーベロP3ではシートチューブがホイールに沿って後ろの方まで湾曲し、エアロシートポストは垂直に伸びています。また、サドルを取り付ける位置が2カ所用意されています。
前と後ろで実質的なシートアングルも変わってきます。
サドル取付位置穴の前後で5cmも差があり、さらにサドルレールをクランプする位置があるため、水平換算トップチューブ長だけではフレームを選びにくくなっています。
同様に難解になるフレームの例として写真右下のラピエール「AERO STORM」があります。
50cmというフレームサイズを見ると、水平換算トップチューブ長は「547mm」となっています。ところがシートポストは直立しているため、実際の値よりはトップチューブが短くなります。
547mmを通常のロードバイクで考えてしまうと「身長178cm〜」などとなってしまいますが、シートポストが垂直なため、実質的なトップチューブ長は短くなります。
実質的なトップチューブ長はいわゆる「サドル高さ」(BBセンターからサドル上端までの距離)が低い、背の低い人ほど長くなってしまうという逆転現象が起きます(脚が短いとは書きません!)。
ところがリーチとスタックから判断すると、このフレームは身長165cmでも乗れるのです!
話が少しそれますが、特にTT/トライアスロンバイクのセッティングをする上で重要になるのが、サドルの前後位置です。
エアロポジションをとるとサドルは前に出る傾向にあるため、サドル先端とBBセンターの距離をしっかりと把握します。
これは当店にもあるポジショニング/サイジングマシンでも、しっかりとおさえておく数値です。
たとえばプロ選手でも同じポジションでフレームを入れ替える場合、まずサドル高さを設定し、続けてサドル前後位置をこの数値に合わせます。
その後、サドル先端からハンドルやブラケットまでの位置があうようにステムで調整します。
例えばBBセンターとサドル先端の距離が「0」はトライアスロンやTTで一般的な数値です。簡単にいうと、BBセンターの垂線上にサドル先端がくることになります。
これを考えると、このBBからヘッドまでの水平距離が、トップチューブ長に代わる重要な指針になってきます。
この値がリーチ(Reach)です。
実は多くの海外ブランドで、通常のロードバイクのジオメトリー表には水平換算トップチューブ長が表記されていますが、TT/トライアスロンバイクの場合、このリーチがしっかりと記載されています。
サーベロでもスコットでも、キャノンデール、トレック、FELT、スペシャライズドでも同じです。ピナレロのようなイタリアブランドでもすぐに分かるようになっています。
自分のポジションが決まっている人であれば、フレームのリーチが分かれば、自分が何ミリのステムを使えばよいのかすぐに分かるのです。TTフレームにトップチューブ長は不要です。
次に必要な数値が、ハンドル高さを決める値です。
フレームによってヘッドチューブの形状や長さがさまざまですが、多くのフレームではヘッドチューブ長が表示されていますが、
ステム(ハンドル)を取り付ける高さは、BBセンターからトップチューブ上端までの値で求めることができます(厳密にはヘッドパーツの高さも関係しますが)。
この値がスタックハイトです。
つまりサドル高さ(BBセンターからサドル上端)とスタックハイトがわかると、サドルとハンドルの落差をすぐに求めることができます。
■例:自分がCEEPO VENOM Sサイズでバイクを組むと想定して、セッティングをおおざっぱに計算してみます。
・サドル先端とBBセンターの距離: 0 ・サドル高さ: 670mm ・スタックハイト: 493mm (VENOM S) サドル高さとトップチューブ上の落差は約177mmとなります。 フレームによってヘッドパーツを取り付けるヘッド部分が高くなっているものもあります。VENOMも約10mmほど、ヘッドが盛り上がった構造です。 そこにヘッドパーツが乗りますが、薄い5mmのものを使うとします。 計算をおおざっぱにするために、アングル70度程度の地面と水平になるステム(Deda Zero100 pistaや3T ARX)を使ってOSハンドルをくわえると、ステムクランプの上下方向の厚み(上下10mmずつ)とハンドル直径(31.8mm)が計算に加わります。 177-5-31.8-20=120mm エアロバーは肘パッド位置の低いプロファイルデザインT-MAGを使っており、肘パッド高さはほぼステムのクランプ上端と同じになるので、このステムを使いコラムスペーサーをステム下側に入れないと、落差が120mm程度になるということがわかります。 現在の自分のセッティングは落差108mm前後ですので、ステムを84度などの一般的なアップライトのものにするか、コラムスペーサーで10mm持ち上げてやれば、ほぼ同じポジションで組むことができます。 逆にいえば、スタックハイト520mmのフレームを選んでしまうと、前下がりのステムにするなり、肘パッドやベースバーを工夫しないと、現在よりもアップライトなポジションになるということです。 |
●最もリーチが長いのがCEEPO各モデル、続けてサーベロP2〜P4。他のブランドに比べてステムは1cm以上は短くなる。遠く低いポジションを実現したい場合には最適。
●最もリーチが短いのは、スペシャライズドのSHIV。身長150cm台の女性では、ほぼこのフレームで決まりか?
●FELTはロードモデルも大きめだが、TTモデルもワンサイズとは言わないがハーフサイズほど大きめ
●KESTRELはスタックハイトが高く、ややアップライト。スペシャライズドもアップライト気味で、今後プロロードのTTではなくトライアスロンをターゲットにしたフレームは、スタックハイトが高くなる傾向となりそう。
●その他ラピエール、BOMA、スコット、ウイリエール、キャノンデール、トレックなどは標準的な値。
●サーベロのエアロロードS5をトライアスロンにと調べてみたが、リーチ、スタックを見る限りエアロバーを付けて走るバイクではない(サドルを引いてロードポジションで乗るバイク)
ブランド | モデル | 表記サイズ | 水平トップ長 | リーチmm | スタックmm | 独断コメント |
ラピエール | AeroStomTT | S | 547 | 386 | 479 | SHIVのS相当スケルトン |
M | 560 | 399 | 508 | 標準的な値 | ||
L | 560 | 399? | 508? | 元データ間違い? | ||
BOMA | ELAN-TT | S | 510 | 388 | 497 | ELANTTは標準的 |
M | 530 | 398 | 497 | |||
L | 550 | 402 | 402 | |||
48(650C) | 514 | 389 | 461 | |||
サーベロ | P3-P4共通 | 51 | 535 | 405 | 482 | SHIVのMと同じだが、ハンドルが5cm低くなる |
54 | 557 | 419 | 498 | CEEPOに続いてリーチが長い | ||
56 | 573 | 433 | 516 | |||
P2 | 51 | 510 | 405 | 482 | CEEPOに続いてリーチが長い | |
54 | 530 | 418 | 512 | |||
56 | 545 | 429 | 531 | |||
S5 | 51 | 531 | 369 | 530 | S5はリーチが短くアップライト | |
54 | 548 | 378 | 555 | TT向きではない | ||
56 | 564 | 387 | 580 | |||
スコット | Plazma Premium | S | 517 | 390 | NA | スタックは低めか?標準的 |
M | 550 | 410 | NA | |||
L | 572 | 430 | NA | |||
XS | 481 | 365 | 495 | 小柄な女性にはこのモデル! | ||
Specialized | SHIV and | S | 504 | 385 | 515 | リーチが短くハンドルが高いのがSHIV |
S-WORKS SHIV | M | 530 | 405 | 540 | ||
AL A1 Apex | L | 557 | 425 | 565 | ||
CEEPO | VENOM | S | 515 | 412 | 493 | CEEPOはどのモデルもリーチが長い |
M | 535 | 413 | 517 | 直進安定性を求める方向 | ||
L | 560 | 434 | 543 | |||
STINGER | S | 510 | 405 | 494 | ||
M | 530 | 409 | 513 | |||
L | 555 | 420 | 534 | |||
KATANA | S | 510 | 406 | 493 | ||
M | 530 | 409 | 513 | |||
L | 555 | 432 | 534 | |||
QuintanaRoo | CD0.1 | S | 500 | 396 | 497 | ややスタックが低いが標準的 |
M | 520 | 420 | 497 | |||
FELT | DA1 | S | 510 | 391 | 515 | 表記サイズより、ひとまわりくらい大きめ |
M | 540 | 409 | 524 | |||
L | ||||||
B2 | S | 510 | 391 | 467 | ||
M | 540 | 406 | 502 | |||
ウイリエール | Blade | S | 513 | 390 | 494 | 標準的な値 |
and TwinFoil | M | 535 | 407 | 514 | ||
L | 557 | 424 | 534 | |||
AGRON18 | E116 | XS | 520 | 調査中 |
調査中 |
|
S | 535 | |||||
M | 550 | |||||
L | 560 | |||||
AVANTI | Chrono EVO II | S | 490 | 360 | 485 | 標準的な値 |
2012モデル | M | 511 | 390 | 490 | ||
L | 535 | 410 | 505 | |||
KONA(Alumi) | S | 510 | 372 | 515 | ||
M | 530 | 390 | 521 | |||
L | 550 | 405 | 540 | |||
TREK | SpeedConcept 9 | S | 495 | 390 | 492 | 標準的 |
M | 518 | 408 | 517 | |||
L | 541 | 426 | 541 | |||
KESTREL | 4000LTD | 47(650C) | 509 | 397 | 467 | |
500 | 520 | 394 | 525 | スタックが高め(アップライト) | ||
525 | 535 | 403 | 530 | |||
550 | 552 | 418 | 536 | |||
Cannondale | SLICE Hi-Mod | 51 | 505 | 371 | 494 | ごく標準的 |
54 | 535 | 398 | 509 | |||
56 | 550 | 407 | 529 |