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浅野屋丁稚塾
番頭への道「その57 1尺2寸の元禄」

「1尺2寸の元禄にして置きましょうね」・・・これって
私の丁稚時代の浴衣の仕立てをお預かりして寸法を決める時の一つのお決まりの言葉でした。

1尺2寸は45.4cm 元禄というのは、袖丸を大きくとった袖の形状のことです。

「あれっ?」て思われるかもしれません。
当店のページでご紹介しているプレタ(既製品仕立て)の浴衣の袖丈 は殆どが49cmつまり鯨尺で1尺3寸になっています。

そもそも、袖丈はカジュアルになるほど短くします。
ですから、そこそこ上背のある方でも、以前は1尺2寸の袖丈でOKだったんですネ

既製品仕立ての基準が決まっているのかどうかは分かりませんが、 ほとんど、1尺3寸で作られるようになり、誂えで仕立てさせていただく 場合も、1尺3寸にすることが多くなりました。

着物と異なり、浴衣の場合は長襦袢・羽織・コートなどを合わせて 着ることがない為、袖丈はどうにでもなるわけです。

ですから、1尺2寸にすることも一向に構わないわけです。
その分、生地を身丈に回したり、柄合わせもし易くなったりという メリットも生まれてきます。

また、元禄袖も既製品仕立ての浴衣には見られない袖の丸みとなります。
元禄袖って言われても、ピンとこないかもしれませんネ

丁度、振袖の袖の形状と同じように、袖口側の袖の裾の丸みを大きく とった袖の形で、愛らしい印象を与えてくれる形状となります。

既製品仕立てのプレタの浴衣にこの袖の形が採用されていないのは、 袖の丸みを大きくとることは、仕立て作業の工程にて手間がかかる為に 効率が下がるのを回避する為ではないかと勝手に推測します。

当店の場合でも、WebShopにて身長・裄・ヒップサイズからお任せ 頂いて、寸法を割り出し仕立てにかかる場合は、基本的に袖丈1尺3寸 袖丸は小丸でということになりますが、袖丈1尺2寸の元禄で・・・と 言ったご指示には、対応が出来ます。

なぜなら、イージーオーダーでも、流れ作業により量産ではなく 一枚一枚丁寧に一人の仕立て屋さんが最後まで仕立て上げているからなんです。

と言うことで、手間のかかること、細かく対応できることの メリット・デメリットそして自分の店のアピールポイントも しっかり抑えるようにして下さい。

頑張ってください!・・・目指せ 大番頭!!


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