ストリングスは“張力指定”で張ることが世界基準です。それでもアートスポーツは『面圧指定』で張ることにこだわり続けます。

面圧とは・・・

面圧は張り上がり後のセンター部分の圧力を測る張り方です。


そもそも“張力”とは、ストリングマシーンの目盛りを指定の数字に合わせて張る方法です。張力でだけを指定して張るとマシーンが変わるだけでも張りあがりの硬さが変わります。 さらに言えば、フェースサイズが変わっても強さは変わります。 ストリングの本数によっても強さは変わります。 ところが面圧で指定していただくといつもセンター部分の強さは一定の強さに仕上がります。



なぜ、一定に仕上がるのか。その秘密はデータの蓄積です。

・アートスポーツでは歴代のストリンガーの張上げたラケットの情報を絶対に殺さずに、それこそ十数年も前から積み上げているのです。 例えば全く新しいパターンのラケットが現れたとします。そんな時は長年の情報を総動員しても希望のテンションに張りあがらない、という場合があります。しかし一度張ったストリングスはデータとして残り、さらに他のストリンガーにその情報がいきわたります。
つまりこのデータのストックこそが私達アートスポーツのストリンギングの誇りであり、安心できる面圧の良さでもあるのです。

例えば・・・

・わかりやすく車に例えて説明しましょう。
車のアクセルを踏み込む強さ(タコメーター)がストリンギングの“張力”で、走行しているスピード(スピードメーター)が『面圧』に当たります。
同じエンジン回転数(タコメーター)になるようにアクセルを踏み込むと仮定します。排気量が2000ccの乗用車と軽自動車だと、同じアクセルワークでもスピードの出方は違ってきます。2000ccの乗用車が60kmのスピードの時、軽自動車では40km程度のスピードしか出ません。
逆に同じスピードを出すためには、軽自動車のアクセルをさらに踏み込んで回転数を上げなければなりません。
ストリンギングも同じことで、ストリングマシーンの性能の違い、ストリンガーの張り方の違い、ラケットフェース面の違い、ストリングパターンの違い、フレーム変形率の違い、ストリングの種類(ナイロンとポリエステル)などによって、同じ“張力”(エンジン回転数)で張り上げた場合でも、同じ『面圧』(スピード)にはならないのです。例えば、ヘッド/プレステージMP(98平方インチ、18×20)とプリンス/イグナイト98(98平方インチ、16×18)を“張力”45/45で張った場合、『面圧』はプレステージMPは〈65〉、イグナイトプロ98は〈58〉で仕上がり、〈7〉も仕上がりに差が出てしまうのです。(※同じストリング、ストリングマシーン、ストリンガーで張った場合)車で例えたら、乗用車と軽自動車くらいの差になると思います。
“張力”で張るということは、60kmのスピードで走るつもりでアクセルを踏み込んでも、40kmしか出ない場合もあるということです。 『面圧指定』で張るということは、60kmのスピードで走るためのアクセルワーク(エンジン回転数)をストリンガーが決定してくれることなのです。もしプレステージMPを使用している人がイグナイトプロ98を『面圧』65にしたい場合、“張力指定”でしか張れない場合は最初に45/45で張り、緩く張り上がった失敗をもとに、2回目以降からオーダーする側が調整していかなければなりません。 『面圧指定』の場合、ストリングマシーンの違い、ストリンガーの張り方の違い、ラケットのフェース面積の違い、ストリングパターンの違い、フレーム変形率の違い、ストリングの種類の違いなどを、オーダーする側は気にする必要はなく、「面圧65」とオーダーするだけで良いのです。(※同一選手には同一ストリンガーが張ることが義務づけられています。) アマチュアの場合、店を変える毎、ラケットを替える毎にその調整をしなければならず、時間的にも金銭的にも大変な作業です。 アートスポーツが『面圧指定』の張上に25年間こだわってきているのには他にも理由があります。 使用中のラケットの面圧を測定し、その数値を参考に「何ポンドゆるんだから張り直そう」とか「今の面圧より5ポンド上げよう」とか微調整や張替時期の確認が可能になるのです。“張力指定”だと、張った時の強さはわかっても使用中の張力はわかりません。

面圧の測り方1

・張力を42Pで合わせて張り上げたサンプルを今回は使用しました。

面圧の測り方2

・計測ポイントをセンターに合わせてラケットを固定します。

面圧の測り方3

・メモリをニュートラルに。

面圧の測り方4

・分銅を使いセンターにプレッシャーをかけます。

面圧の測り方5

・計測完了!今回の面圧は52Pとなりました。