今までアレルギー性皮膚炎についてお話しさせていただき
それぞれに少しずつ治療方法は記載しておりますが
皆様方におかれましてはその疾患がどのようなものであれ
『「なぜそうなるのか」それは分かった。
だからどうなんだ、問題は少しでも治せる方法はないのか、
少しでも楽になる、少しでも楽にしてあげるそんな手段はないのか。』
とお考えになられるかもしれません。
このようなお気持ちはお悩みになられている方々の事を考えますと最もなことだと思っています。

ただそのためには、病気を理解するのは大切なことです。
理解をすることで分かってくることもたくさんあると思います。
そこで、今回から数回に分けて
アトピー性皮膚炎・アレルギー性皮膚炎における治療法
を考えてみたいと思っています。




まず、わかっておかなければならないのは、
愛犬・愛猫の痒みに対する反応と対応ではないでしょうか。
乳幼児のそれに似通っている場面もあるように思っています。
それは愛犬愛猫の意思が働き自ら痒みに対する行動を
やめることがないという点だと思っています。
また愛犬愛猫は、
掻き続けることや噛み続けることまた舐め続けることで、
皮膚そのものに傷をつけたり皮膚組織の欠損にまでおよぶ行為に至る場合が少なくはない
ように思います。
また、その行為はひどくなればなるほどエスカレートする傾向にあり、
すなわちより重篤な結果を招く場合がある
ということになろうかと思います。

獣医師はこのような状態になる前に痒みや炎症を抑えなければならない。


ということで、
グルココルチコイド(副腎皮質ホルモン:ステロイド)
をはじめとする抗炎症剤を主体とした治療を行っている。
と思っています。

しかし、このステロイドにおいては
獣医師やその近親者に自身の治療としてグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)が処方されたならどうだろう。
おそらく慎重になることでしょう。
そのように考えれば、親御さんがステロイドの使用に対し慎重になっておられたり、
ステロイドの使用をひかえたい趣旨をお話になられたりされることは
自身に置き換えてでも理解しなければならないことだと思っています。
ではどのように考えていかなければならないのでしょうか。




もちろんステロイドの使用が必要な場合も多く見受けられます。
ところが、同じ様な症状や痒みでもステロイドの使用をひかえたい親御さんに対して、どのような医療をおこなえばよいのか行き止まってしまうのではないでしょうか。

アレルギー性皮膚炎・アトピー性皮膚炎での治療の成功のカギは、
幾度となくお話しさせて頂いているとは思いますが、
愛犬愛猫それぞれ、
一人一人、
個体個体、
個々、
同じ症状であっても同じ痒みであっても、
それぞれの環境の違い
それぞれの食生活の違い など
同じものは何一つないと思って診なければならないと思っています。

治療に際して獣医師の判断において抗炎症剤を必要とした場合は、
それらの特性を親御さんに十分理解してもらったうえで使用する必要あるように思います。


では、親御さんが抗炎症薬やグルココルチコイド(副腎皮質ホルモン)などの免疫に関与する薬の使用を差し控
えたい(望まない)と要望があった場合
「それでは何もできません!」と無理強いするのか、
あるいは手をこまねいて見ているだけのか。

我々獣医師は、そうではなく、ステロイドなどの薬を用いない治療方法を常に模索しておかなければなりません。
そして、それらを親御さんと話し合いながら家庭内治療として進めつつ、
診療を行い、試行錯誤しながらその都度親御さん・愛犬愛猫・獣医師 の 三人四脚 で良い方向に導いていく
必要があると
思っています。
もちろんその途中で獣医師は経過を診て治療を修正しながら、
その都度、親御さんのご理解の上、薬の選択を行いながら進めていくべきだと思っています。




次回からは
グルココルチコイド(副腎皮質ホルモン:ステロイド)
抗炎症剤
などを使用しない治療として報告されているいくつかの方法を
お話しさせていただきたいと思っています。